1955年 イギリス 97分
監督:アレクサンダー・マッケンドリック
出演:アレック・ギネス、 ピーター・セラーズ
犯罪コメディ。 ★★☆
60年あまりも前のイギリス映画。
ということで、どこか懐かしくなるようなゆったりとしたテンポと、上品な仕上がりの作品となっている。
ただ、終盤になると、かなりのブラック・ユーモアぶりである。
一人暮らしの老婦人が二階の部屋を間貸しすることに。
練習場所を探していたという5人の楽団員が部屋を借りるのだが、実は彼らは現金輸送車を狙う強盗団だった。
こうして前半は、悪事の計画を練る5人組と、気のいい善良な老婦人のお節介がコミカルにぶつかり合う。
このポスターの真ん中の人物、これがアレック・ギネス。なんと、若い。
ピーター・セラーズなんて、いわれてもなかなか判らなかった(汗)。
それに老婦人が実にとぼけた好い味を出していた。
強盗たちが悪事を画策していると、気の良さからのおせっかいで邪魔をする。
強盗たちの方も、あまりに気のいい老婦人なので邪険に対応できずに、なんとか上手くやり過ごそうとする。
そのあたりの上品さがいかにも英国風味だった。
判らなかったのは、あの強盗計画になぜわざわざ老婦人が必要だったのかというところ。
札束の入ったケースの受け取りに自分たちの顔姿をあらわしたくなかったのだろうけれど、単純に自分たちでさっさと運んでしまえばよかったのでは?
さて、後半になると、次第に血なまぐさくなってくる。
札束を見られてしまった老婦人を、強盗事件を隠すためには殺さなければならない。
でも、悪役5人とも、俺は嫌だよ。
さあどうする? 殺す役はくじ引きで決めることにしようか。
結局、悪事は報われず、おせっかい老婦人は今日も日傘をさして町を歩いている・・・。
100分足らずの尺も手頃で、よくできた映画でした。
コーエン兄弟が「マダム・キラーズ」というタイトルでリメイクをしているとのこと。
強盗の首領をトム・ハンクスが演じているとか。どんなだ?