2015年 ドイツ 106分
監督:オズギュル・ユルドゥルム
記憶喪失サスペンス。 ★★☆
目がさめたら、あれ? 自分は誰? ここはどこ? という記憶喪失ものは、はじめから興味を惹きつける。
そして過去の自分からのメッセージを見つけるという展開。
これは面白いよなあ。
この映画の主人公サムは、記憶を失って地下鉄の駅をふらふらと歩いていると、いきなり警官に逮捕されそうになる。
そして、ポケットに入っていた宣伝カードを頼りにたどりついたレストランのトイレで、1冊のノートを見つける。
それは、今これを読んでいる自分へ、という過去の自分からのメッセージ。
そうか、自分はこんな目にあっていたのか。
サムは軽犯罪を犯した青年たちが強制的に入れられた厚生施設で奇妙な生活を送っていたのだ。
この施設では、なにかおかしな事がおこなわれているようなのだ。
そして、そこからの脱走、そして、殺人事件への巻き込まれ。
そうか、自分はそういうことで今ここにいるのか。
映画は、サムのメモに書かれていたことを映像化して見せてくれる。
それにしたがって少しずつ忘れていた事柄が明らかになっていく。
何故かかたわらにはサムを助けてくれる、これも記憶喪失になっている少女がいる。
さあ、二人で一緒に逃げましょ。
この映画の鍵になるのがマイクロIDと呼ばれる小さなチップ。
このマイクロIDを首筋に埋め込まれると、その人は記憶を奪われ、支配者の命令に従うようになってしまう。
そして、そのマイクロIDがショートさせられると、脳卒中のようになって死んでしまうのだ。
サムも、その少女も、首筋にはマイクロIDが埋め込まれてしまっている。
さあ、どうすればいいんだ?
宣伝コピーでは、現在の自分が過去を探るということで、あの「メメント」に引っかけたようなものもあった。
しかし、あの映画とはまったく似ていません。
飛び抜けた部分はないものの、どうなるのだろう?と興味をつないで、普通に面白い映画でした。
(以下、ネタバレ)
サムを助けてくれていた(ようにふるまっていた)少女は、実は敵に操られていた、というのは、よくできたどんでん返しだった。
あのときの少女のこういう行為は、実はこういうことだったのか、と後で分かるのはなかなかに面白かった。
しかし、サムもさっさと少女のマイクロIDを取り出してあげておけばよかったのに。
何やってるんだ、サム。