あきりんの映画生活

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「クリーピー 偽りの隣人」 (2016年)

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2016年 日本 130分
監督:黒沢清
出演:西島秀俊、 竹内結子、 香川照之、 藤野涼子

サイコ・サスペンス。 ★★★

元刑事で今は犯罪心理学の教師である高倉(西島英俊)は、妻の康子(竹内結子)と2人で郊外に引っ越しをしてくる。
挨拶回りで訪れた隣人の西野(香川照之)が、ちょっと変な人物像で途惑ってしまう。

西野は、猛々しい態度をとったかと思うと、次の時には猫なで声で親しげに話しかけてくる。
つい気を許すと、手のひらを返したかのような拒絶にあったりする。
それでいて、こちらが断れないような巧みな話術で他人の領分に次第に入り込んでくる。
いったい彼はどんな人物なのだ?

この映画、一応主役は西島秀俊竹内結子演じる夫婦なのだろうが、実質的な主役はなんといっても西野役の香川照之だった。
彼の不気味な存在感なしにはこの映画は成立しなかったのではないだろうか。

西野の不気味な存在と平行して、6年前に起きた未解決の一家失踪事件も描かれる。
高倉は元同僚の刑事に乞われるままに、その事件の分析をおこなう。
ん、この失踪事件でいなくなった家族は、もう殺されている? 誰が殺した?

ここで映画のキャッチコピーとでもいうべき、西野の娘、澪(藤野涼子)が高倉に言う台詞。
「あの人はお父さんではありません。ぜんぜん知らない人です。」・・・
えっ?親子ではない? それでは西野は誰なんだ?

前半の約1時間は、ねっとりとまつわりついてくるような不気味さがあって、すばらしい出来だった。
観ている者は、高倉たちと同じように、西野を不可解な人物として途惑っている。
ところが、後半に入り、西野の側からの映像が映りはじめる。
一家失踪事件ともつながりはじめて、言ってみれば、物語の種明かしが始まる。

うへえ、西野はそんなことをしていたのか。
ということで、そこからの後半は、普通のサイコパスものになってしまった。
何とも残念。

(以下、ネタバレ)

ツッコミどころとしては、あの注射薬があった。
次第に廃人になっていくところをみると、麻薬のようなものなのだろうが、打った途端に意識を失ったりするのはちょっと都合がよすぎる感じだった。

結末もあっけなかった。
どうせなら、もっとどろどろと気持ちの悪い余韻を残して欲しかったぞ(苦笑)。
原作は未読なのだが、後半の展開はまったくの映画オリジナルだとのこと。
後半の展開で、評価の☆が減ってしまったなあ(涙)。