あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「ワイルド・アット・ハート」 (1990年)

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1990年 アメリカ 124分
監督:デヴィッド・リンチ
出演:ニコラス・ケイジ、 ローラ・ダーンウィレム・デフォー

恋人たちの逃避行。 ★★★

愛しあう(無軌道な)恋人たちの逃避行なのだが、なんといってもリンチ版なので、すべてにどぎつい。
そこがリンチたる所以。

恋人ルーラ(ローラ・ダーン)の母親マリエッタは、娘の恋人セーラー(ニコラス・ケイジ)を殺そうとする。
しかし反対にその殺し屋を殴り殺してしまったセイラーは刑務所へ。
出所したセイラーを、ルーラは蛇革のジャケットを持って迎えに行く。
オーケイ、ベイビー、このジャケットは俺の自由な心のシンボルだぜ。

エルビス・プレスリーを念頭に置いたという主人公のセイラーだが、黒髪のニコケイ(!)が結構はまり役で演じている。
相方のローラのモデルは誰かと言えば、こちらはマリリン・モンローとのこと。
リンチ監督、考えることがやはり普通じゃない(笑)。

若い二人はセックスと踊りに明け暮れる。
そして執拗に二人を引き離そうとするマリエッタを逃れて、二人は執行猶予を無視してカリフォルニアへと旅に出る。
はたしてマリエッタは、私立探偵や、さらに悪党であるギャングの手を借りてセイラーを殺そうとする。

このマリエッタが怖ろしい人物。
一人で鏡の前で、口紅で顔を真っ赤に塗りたくってしまう有り様は、どこか異常な精神をまざまざとみせつけていた。
マリエッタを演じた女優さんは、なんと娘役のローラ・ダーンの実の母親だとのこと。へえ~。

ところどころで意味不明な老人が登場したりする。
誰の想念なのか不明な炎の映像も挟み込まれる(これはローラの父の死に関係していたことが次第に判ってくる)。
まあ、リンチの映画なので、少々のおかしな映像は気にならない(苦笑)。

無軌道な生き方しかできないような二人。それだけ純粋なんだぜ、いぇ~ぃ!
ローラは妊娠してしまうわ、お金が欲しいセイラーは銀行強盗の片棒を担ぐわ・・・。
いったい、この二人の行き着く先はどこなんだ?

セイラーを銀行強盗に誘う悪役がウィレム・デフォー
実は銀行強盗は失敗に終わり、デフォーも死んでいくのだが、その場面が何とも強烈。
おいおい、ブラック・コメディにしても、・・・やり過ぎなんじゃないか・・・(汗)。

オズの魔法使いのイメージもいたるところで出てくる。
逃避行の二人の車の横を、箒にまたがった悪い魔女(マリエッタが扮している)はでてくるし・・・。
最後にセイラーを励ましてくれるのは善い魔女だったりする。

色彩も、登場人物たちの行動も、とにかく派手。リンチらしい作品。
最後は、なんとニコケイがプレスリーの「ラブ・ミー・テンダー」を(感動的に)歌い上げます。
カンヌ映画祭ではパルム・ドールを受賞しています。