あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。1800本余りの映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。

「街のあかり」 (2006年)

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2006年 フィンランド 78分
監督:アキ・カウリスマキ
出演:ヤンネ・フーティアイネン、 マリア・ヤンベンヘルウミ

孤独な男の不幸。 ★★★

“敗者三部作”というアキ・カウリスマキ監督の三作目。
たしかに主人公は孤独な人生の敗北者。そんな主人公がさらに不幸な目に逢う。
笑わない無表情な登場人物たちが、淡々とその顛末を見せてくれる。

登場人物は4人だけ。
主人公のコイスティネン(ヤンネ・フーティアイネン)は、暗い馬鹿正直な男。
女性にも初心なようで、おどおどとしている(顔は強面なのだが 苦笑)。
宝石店の警備員をしているために、甘い罠にかけられてしまう。

そんな彼におそらく秘かな恋心を抱いているのが、彼が立ち寄るホットドッグ屋の女店主。
でもコイスティネンはそんな女心には気づかない。

このホットドッグ屋が野原の外れの寂しいところにある。
あんな人も通らないようなところでお店を出していてどいうするんだ?と思ってしまうが、その薄ら寒い雰囲気は溜まらなくすばらしい。

コイスティネンに近寄ってくる美女ミルヤ(マリア・ヤルヴェンヘルミ)。
実は彼女はマフィアの情婦。
初心な彼を巧みに手玉にとって宝石店の暗証番号を盗み出してしまう。

マフィアは宝石店を襲い、コイスティネンは罠にはまってその犯人にされてしまう。
(彼はミルヤの罠を知りながらも、それを諾々として受けいれている節も見うけられる)
それからどうなったか。

笑わない主人公の、背中のあたりから薄寒くなってくるような感じが独特の魅力をたたえた作品。
78分と短く、無駄な場面が全くなく、淡々としているのだが、緩むこともない。

ある解説によれば、カウリスマキ小津安二郎ロベール・ブレッソンの映画の手法を巧みに取り入れているとのこと。
なるほどなあ。

(以下、ネタバレ)

服役を終えて出所してきたコイスティネンは、マフィアのボスといっしょにいるミルヤを見かける。
マフィアに仕返しをしようとするコイスティネンだが、反対に屈強な用心棒達に叩きのめされてしまう。
寂れた場所で倒れている彼をホットドッグ屋の女店主が介抱する。
手を取り合った二人が見つめる先に、小さな街のあかりが灯っている。

なんというラストだ。
地味で、暗くて、静かで、華やかさがこれっぽっちもない映画だが、なぜか、印象に残る。