あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。1800本余りの映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「日の名残り」 (1993年)

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1993年 イギリス 134分
監督:ジェームズ・アイボリー
出演:アンソニー・ホプキンス、 エマ・トンプソン、 クリストファー・リーブ

カズオ・イシグロの文学もの。 ★★★★

ブッカー賞を受賞したカズオ・イシグロの小説が原作の文芸もの。
今年のノーベル文学書を受賞したことから、書店には原作本が平積みされている。
まずはお手軽に(!)映画鑑賞から(汗)。

主人公は貴族の生活を支えることを自分の天職と考えている執事スティーブンス(アンソニー・ホプキンス)。
広大な館で、侯爵の日常を取り仕切り、他の奉公人たちの指図する毎日。
そのプロフェッショナルであるためのストイックな姿に呻ってしまう。
主人の生活のためには、自分の感情はすべて押し殺しているようなのだ。

すごい。
すごいのだが、彼の人生はそれがすべてである。それだけでいいのかいな?

画面は落ちついた色調で、英国のシックな古城の伯爵館を映す。
重厚な調度品、館のまわりの広大な庭など、第二次世界大戦前の優雅な貴族の生活である。
ナチスの影がヨーロッパを覆い、古き良き時代が失われようとしている時代でもある。

この映画の主題は、職務に忠実なあまり実らなかったスティブンスの淡い恋心。
新しく雇い入れた女中頭のミス・ケントン(エマ・トンプソン)は有能で、執事の彼にも自分の意見を言うようなしっかりとした女性。
そんな彼女に彼は心惹かれていく。
そして彼女の方も、そんな彼からのアプローチを待っていたようなのだ。
しかし、いつまでも無表情な彼を待ちきれなくなった彼女は、他の男性からの求愛を受けいれて彼のもとを去ってしまう。

この映画の魅力は、なんといってもアンソニー・ホプキンスの演技に尽きる。
感情をあらわさない無表情で、無礼にはならない程度の慇懃さがあり、執事とはこういうものかと思わされる。
もとより名優であることは誰もが認めるところだが、その彼の映画の中の最上級に入る映画だろう。

(余談)
ちなみに、彼の映画でもう1本あげろと言われれば、本作とは好対照の老人を描いた「世界最速のインディアン」。
この映画も好いですよ。みんなにお勧めできる映画です。

映画は、時代が移り老いたスティーブンスが当時を回顧する形式となっている。
そして今の時代の彼は、(ご主人の車を借りて)もう一度ケントンに会いにいくのだ。
二人の再会は、どうなる?

格調の高い良識あふれる映画でした。好い映画を観ました。
それだけに、もう原作小説を読んだような気になってしまうのが、弊害?(苦笑)。