2015年 中国 122分
監督:シー・チン/他
出演:ファン・ビンビン、 レオン・ライ
傾国の美女の一代記。 ★★☆
楊貴妃といえば世界三大美女の一人(クレオパトラと、あと一人は誰だっけ?)
その楊貴妃の美しさが時の皇帝を虜にしたために、唐の国が危うくなってしまったとされている。
この映画は楊貴妃が朝廷に召されてから死までを描いている。
監督としては6人ぐらいの名前が連名となっている。どうやって分担した?
なかにはチャン・イーモウの名前もあるが、中心になったのはシー・チンという人らしい。
冒頭に、戦で亡くなった兵士を弔うための儀式で舞がおこなわれている。
舞台で踊っているのは楊玉環(後の楊貴妃、ファン・ビンビン)。
長い薄衣のたもとが、裾が、風になびき、その華麗な画面作りには、チャン・イーモウが加わっているのだろうな。見事。
衣装担当はワダ・エミ。さすが。
一目でその玉環の美しさに魅せられた玄宗皇帝。
それを察知した妻は(女の直感は怖ろしい 笑)、とっさに玉環は息子の婚約者だと嘘をついて、本当に息子と結婚させてしまう。
こうして玉環は玄宗皇帝の義娘になるのだが・・・。
どこまで史実に忠実なのかはわからないのだが、王宮では皇帝の後継者争いの陰謀も渦巻く。
美しすぎる玉環をめぐっての父子のいざこざまで起こる。
う~ん、美しさは罪か(笑)。
たしかにファン・ビンビンは美しい。
まるで彼女のプロモーション・ビデオを観ていると思ってしまうほどに、美しい。
しかし、美しく生まれたことは本人の罪ではない(当たり前だ)。
嫡子の座を得ようとして玉環を利用とした夫に絶望した彼女は出家してしまう。
すると、皇帝は玉環を得ようとして、これでも駄目か、これではどうだ、と、彼女の情に訴えかけてくる。
皇帝も純情といえば純情、一途といえば一途なのだが、あんた、皇帝なんだから他のこともちゃんとやれよと言いたくなる。
楊貴妃が美しすぎたために起きる皇帝の身勝手さ。たしかに傾国の美女だ。
皇帝のあまりの求愛にほだされて玉環は王妃となり、ここに楊貴妃が誕生する。
これで幸せな一生をおくれれば楊貴妃も好かったのだが、美人には悲劇がつきまとうのだよ。
いけなかったのは、皇帝が楊貴妃の従兄弟を重用して宰相としてしまったこと。
それに対立した安録山が謀反を起こし、唐の国は危機的敗北をつづける羽目になる。
敗走をつづける唐の軍勢は内乱の原因となった楊貴妃一族の全員処分をもとめるようになる。
映画は、皇帝と楊貴妃の最期の同衾の場面で終わっていく。
全身で歓喜をあらわす楊貴妃を捉えているようなのだが、実はこのとき楊貴妃は自ら毒をあおっていたのだ。
歓喜と苦悶は実に紙一重のものとして表現されている。
ということで、ファン・ビンビンの美しさを堪能する映画でした。
それに、とてもエロティシズムにもあふれている映画でした。
(あまりに激しい場面があり、公開直後に上映中止となり問題場面がカットされて再度上映されたとか)