あきりんの映画生活

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「15時17分、パリ行き」 (2018年)

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2018年 アメリカ 94分
監督:クリント・イーストウッド
出演:(実際に事件に遭遇した人たち)

実際にあった列車内テロ事件。 ★★★

2015年にフランスの高速鉄道で銃乱射テロ事件があった。
この映画は、偶然その場に居合わせて、犯人を取り押さえて大惨事を阻止したアメリカ人青年3人描いている。
その3人は、幼なじみのアンソニー、アレク、スペンサー。

感心するのは、監督の関心が事件そのものではなく、それに関わった人間性にあること。
前作の「ハドソン川の奇跡」でもそうだった。

だから、映画でも実際の事件そのものが描かれている時間は短い。
大部分は3人の少年時代からの生い立ちや、青年になってからの生活背景などである。
イーストウッド監督のすごいところは、そうしたなんでもない市井の人を描いて、ちゃんと飽きさせないで魅せてしまう技にある。
これは何なのだろう?

さて、仲のよかった3人の少年たちは学校では問題児だったようだ。
しかし、母親の心配をよそに彼らは成長し、ミリタリー・オタクだったスペンサーは一念発起して軍隊へ入隊する。
そして他の二人も誘って休暇にヨーロッパ旅行へ出かけたのである。

今回驚くのは、3人の主人公を実際の本人が演じていること。
さらにその日、列車に乗り合わせた乗客役の大半も実際に当事者が演じているとのこと。
よくTVでおこなわれている”再現ドラマ”の究極版である。すごい発想をするなあ。

94分という短い時間に、無駄なく簡潔にまとめられた映画である。
監督の描こうとしたものは充分に伝わってくる内容であった。

やや不満に思ったのは、小さい頃からミリタリー好きで、それが高じて軍隊に入り、という人間性をあるがまま以上に賞賛しているような雰囲気があったこと(私の考えすぎ?)。
その人間性は、たとえばイーストウッド監督が「インビクタス/負けざる者たち」で描いたものとは全く違った。
もちろん、そのことが幸いして、この事件を死者なしで防げたことは大変に素晴らしい出来事だったのだが。

実際に事をなし得る能力もない者が偉そうなことを言うな、といわれれば、それはその通りなのだが・・・。

80歳を超えてなお意欲的なイーストウッド監督、次はどんな人間ドラマを描いてみせるのだろうか。