2016年 アメリカ 116分
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:エイミー・アダムス、 ジェレミー・レナー、 フォレスト・ウィテカー
SF・ファースト・コンタクトもの。 ★★★
「ブレード・ランナー2049」も監督したドゥニ・ヴィルヌーヴなので、少なからぬ期待を持って鑑賞。
原作はネビュラ賞を受賞したテッド・チャンの「あなたの人生の物語」(未読です)。
ある日、巨大な歪んだ楕円形の飛行体が地球の12ヵ所に飛来する。
それは何をすることもなく、ただ上空に静止している。
何者が乗っている? 彼らの目的は何?
人々は騒然としているのだが、この飛行物体の映像が画面にはなかなか映らない。
気を持たせる(ま、ポスターでは既にお馴染みなのですが・・・ 苦笑)。
この映画のヒロインは、幼い娘ハンナを亡くした言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)。
娘との思い出に苦しめられている彼女だったが、そんな彼女にアメリカ軍はエイリアンとの接触に際しての協力を求めてくる。
そうして彼女は物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)とともに、謎の飛行物体の内部へ踏み込んでいく。
7本足姿のエイリアンは、やがて彼らの言語での会話をおこなおうとする。
このエイリアン言語には感心した。
彼らの文字は、模様のような修飾部分を持つ円形のものなのだが、それが墨絵のようにあらわれてくる。
解読された言葉の中には、武器、などといったものも含まれている。
彼らは何を伝えたいのか。
当然地球のある国々は、エイリアンを危険な存在と見做して攻撃をするべきだと主張する。
エイリアンの登場するSFだが、派手な部分はまったくない。
どちらかといえばとても哲学的な映画。
そして後半になるにしたがって時間軸が捩れていく。
はて、これはどちらが先に起こった出来事なのだ?
(以下、完全ネタバレ)
やがてエイリアンは去っていく。そして共に事に当たったルイーズはイアンと結ばれる。
そして彼らの間に生まれるのがハンナだったのだ。
これは? どちらが先に起こった出来事なのか?
過去は未来であり、未来はすでに過去であるようなのだ。
エイリアンが残した”武器”というのは、どうやら時間軸から解放されることであったようなのだ。
これはタイムトラベルどころの話ではない、極限の4次元世界へ続いていく物語だったのか。