監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:サリー・ホーキンス
異形への愛。 ★★☆
ご存じアカデミー賞では監督賞、作品賞などを、ヴェネティアでは金獅子賞も獲っている。
まさか”異形フィギュア・オタク”のギルレモ・デル・トロ監督がアカデミー賞を取るとは、正直なところ、思ってもいなかった。
ご免なさい。
内容は、これももう宣伝され尽くしているように、口の利けない孤独なヒロインと、政府機関に捕らえられた半魚人のような異形のものとの恋物語である。
米ソ冷戦時代を舞台にした、見方によっては少し不気味なファンタジーである。
政府機関で掃除婦として働くイライザ(サリー・ホーキンス)は、研究所の水槽に囚われている奇怪な半魚人(?)と出会う。
そして、言葉の通じない二人だったが、次第に心を通わせていく。
うわべだけ見ればファンタジーなのだが、かなり大胆な部分もある。
何しろ冒頭はヒロインのバス・タブでの***であるし、敵役の夜の営み場面もある。
う~ん、こんな場面、必要だった?(苦笑)
おまけに、最後近くには、いきなりのミュージカル・パロディのような部分もあった(苦笑)。
それはともかく、大筋は異形のものとの恋物語である。
ということで思いだした映画がある。かなり前の映画だが、トム・ハンクス主演の「スプラッシュ」である。
あちらは主人公の青年が、人魚(ハンナ・ダリルが演じていた)に恋をする物語である。
ヒロインはきれいな人魚であり、コメディ・タッチもあり、正当なラブ・ファンタジーで、映画の雰囲気はまったく異なる。
しかし、人魚を研究材料にしようとする悪役が出てきて、最後は二人で海へ逃げていく・・・という筋立ては一緒だった。
映画評論などを拾い読みすると、どれも絶賛の記事ばかりだった。
たしかに、造形はギレルモ監督らしく凝ったものになっている。
それに、ヒロインの周りで彼女を助けてくれるのは黒人であったり、ゲイであったりと、社会から疎外されているマイノリティの人であり、監督の譲れない主張のようなものも感じ取れる。
しかし、個人的には、ん~、これがアカデミー賞か・・・という感じだった。
私の鑑賞眼は、かなり鈍い?