あきりんの映画生活

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「万引き家族」 (2018年)

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2018年 日本 120分
監督:是枝裕和
出演:リリー・フランキー、 安藤サクラ、 城繪束、 松岡茉優

疑似家族の物語。 ★★★★

カンヌ映画祭パルムドール賞を受賞した本作。
是枝監督は徹頭徹尾、家族というものにこだわって映画を撮っている。
「誰も知らない」もそうだったし、「そして父になる」や「海街diary」もそうだった。
この映画も疑似家族の物語である。

今にも壊れそうな古い家に、治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀、それに祖母の初枝(樹木希林)が暮らしている。
彼らは細々と働き、初枝の年金を頼りにしているようだ。
それに治と翔太の万引き。

事前の情報で、彼らが本当の家族ではない、という設定であることは知っていた。
しかし、どういう関係なのかは知らなかった。
信代と亜紀が姉妹であることも後の方までわからなかったし、初枝が誰の祖母なのかもわからなかった。
でも、それはこの映画館賞にはあまり大したことではなかった。とにかく疑似家族なのだ。
そして、虐待されていた幼い少女を冬のベランダから家に連れ帰ってくる。

彼らは喧嘩をしながらも笑いあって仲良く暮らしていた。
貧しくその日暮らしなのに、それでも文字通りに肩を寄せあって(暮らしている、と言うよりも)生きている。
見えない花火をみんなで見上げている場面は、好かった。

しかし、万引きは見つかれば犯罪である。
彼らのしていたことも、見つかれば犯罪である。
うわべだけ見れば、彼らのしたことは幼児誘拐であり、死体遺棄である。
警察はなんにも間違った捜査はしていないし、私たちもマスコミ報道で知るニュース以上には興味を持たずに通りすぎてしまう。

しかし、映画を観ていれば、幼児誘拐ではなくて善意の保護だろう、と言いたくなる。
年金詐欺目的の死体遺棄だって、おばあちゃんは許してくれていたのではないか、と思えてくる。

取調室で刑事の尋問に対して安藤サクラが涙をぬぐう場面は圧巻だった。
感情が溢れてきて、溢れてきて、言葉が出てこない。
ただ体裁も何もなく顔をぬぐい、髪をかき上げる。
カンヌの審査員だったケイト・ブランシェットがこの演技に最高の賛辞を送っていたが、宜なるかな

疑似家族が崩壊して、お金のためだったのか、と呟きながらも、誰もいなくなった家を訪ねる亜紀。
決してそれだけではなかったことは彼女自身が一番好く分かっていたのだろう。

そして最後、もう父親ではなくなるぞと言った治が、翔太の乗ったバスをどこまでも走って追いかける場面も好かった。
リリー・フランキーもやるなあ。

ホントの脇役なのだが、柄本明演じる駄菓子屋のおやじさんが駄菓子をくれながら翔太に、(翔太が万引きをする前のおまじないの仕草をしながら)妹にはやらせるなよ、と言う場面も好かったなあ。

現代の社会問題を突きながら、それでも彼らの擁護をしているわけではないところが是枝監督のすごいところ。
問題を突きつけてくる、お前はどう考えるんだ? と。