2018年 日本 123分
監督:原田眞人
出演:木村拓哉、 二宮和也、 吉高由里子
検察サスペンス。 ★★★
これまではタブーとされていたというジャニーズの人気者二人の共演映画。
かってはキムタクも嫌いではなかったし、ニノは今でも好きだし。ということで、鑑賞。
原作は雫井脩介。かなりの長編のようだが、未読。
キムタクはエリート検事の最上。ニノはその部署に配属される若手検事の沖野。
二人は老夫婦殺人事件を担当することになるのだが、容疑者リストを眺めていた最上は松倉という人物に反応する。
実は松倉は、かっての最上の幼なじみだった少女殺害事件の重要参考人だったのだ。
結局は未解決となったその事件の犯人は松倉にちがいない、と最上は確信している。
なんとしてでも松倉に罪をつぐなわせなければならない、と最上は執念を燃やす。
ということで、歪んだ正義感から罪人への道を歩きはじめる最上。
その最上を敬愛しながらも、それはやはりおかしいと彼の罪を暴いていく沖野。
沖野の担当事務官の吉高百合子。彼女も実は訳ありだったのだが・・・。
その松倉役を演じた酒匂芳という俳優さん。
初めて観たと思うのだが、まあ、松倉のその嫌~な人物像を完璧に演じていた。
相手を馬鹿にしたような、たぶらかすような、口をパッと開ける仕草など、憎たらしい以外の何ものでもなかった。
さてキムタクとニノの競演ということで話題になったのだが、やはり演技力はニノの方が上だと思えた。
特に松倉の尋問で豹変して追い詰める場面は迫力だった。
殺気だった雰囲気さえ漂わせて早口で相手をなじって追い詰めていく。
そして松倉の専売特許だったあの口をパット開ける仕草もしてみせる。
これは凄かった。
好かったのは脇役の松重豊。
裏社会の便利屋のような男・諏訪部を演じていたのだが、狡猾に人なつこしさと怖ろしさを同居させている。
父親の戦争体験に固執していて、最上に「その話を聞かせてもらえれば、諏訪部はいつでも貴方のポチになります」と言って大袈裟に礼をするところなど、見事なものだった。
TVの「孤独のグルメ」で食べ歩きをしていた人物とは、とても思えない(苦笑)。
物語としてはやや甘いところも少なくなかった。
最上が実際に”悪事”を働く場面は迫力不足だったし、沖野と担当事務官の関係も、あれあれ?という感じだった。
それに最後。
最上はあんな事でいいのだろうか。沖野の叫び声だけで終わってしまっていたが・・・。
でも二人のファンなら観る価値は充分にあります。
それに脇役の二人、松重豊と酒匂芳を観るだけでもいいかな。二人ともいい仕事をしていました。