あきりんの映画生活

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「カメラを止めるな」 (2018年)

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2018年 日本 96分
監督:上田慎一郎

ゾンビ映画を作る映画。 ★★★☆

世間で大評判となった映画である。
ひっそりと上映が始まったのに、SNSで評判がひろがり、あっという間にシネコンでも上映されるようになった。
じゃあ、観ておくかな。
あまり事前情報を入れずに観る方が面白い、という事前情報(苦笑)を仕入れて、観に行った。

廃墟で”ゾンビ映画を撮影している一団”を撮っている撮影隊がいた。
ゾンビものの専門チャンネルの注文で、37分ワンカットのゾンビ映画を撮っているのだった。
その映画の内容は、ゾンビ映画の撮影クルーが本物のゾンビに襲われる、というもの。
映画を撮っている様を映画に撮る、ここがこの映画のポイントなのだよ。

で、冒頭にその作られた映画が映し出される。
つまり、映画を撮っていたら本当にゾンビに撮影クルーが襲われたという映画、が(映画として)映し出される。
これはもう、チープな画像も粗いいかにもな作りの映画。安っぽいゾンビ映画そのもの。

しかし、それでは終わらない映画だ、ということは知っていた。
そこからが本領発揮の映画なのだ、と。

映画は、そこから1ヶ月前に飛び、チープな”ゾンビ作成映画の映画”を作ることになったところからのお話となる。
まあ、たしかに好くできた脚本で、面白く作っている。

ここからはあまり詳しくは書けないのだが・・・。
(以下、ネタバレ気味)

出演予定だった監督役や、メイク役の俳優が急遽出演できなくなって、代役となるのが、・・・あれあれ、そういうことになるのか。
禁酒を誓ったアル中俳優が、やはり飲み過ぎて撮影中に大変なことになったり。

これらが、最初のチープなゾンビ撮影映画でああいう映像になっていた裏側の出来事だったのか、と楽屋落ちを見せてくれる。
最初の映画で、ここはどうしてこんな奇妙な感じに映っているんだ?という場面も、ああ、なるほどね、と思わせてくれる。
前半に出てきた小ネタが後半でみごとに回収されていくのには感心した。

監督の奥さんと娘が、前半の普通人ぶりから、後半にはあれあれというぐらいに変貌していくのには、笑ってしまった。上手い。
痴漢撃退の隠し技の”ポン!”。これも巧みに使われていて、無駄なく面白かった。

なんでも300万円ぐらいで作った映画とのこと。
それでも充分に楽しめる映画は作ることができるのだな。
誰かが、ディズニーランドへ出かけて高いお金を払って楽しむのではなくて、近所の公園でお手製の遊具で充分に楽しむようなもの、と言っていたが、たしかにそんな感じ。

舞台劇のパクリとかいう話も聞こえてきているが、それはそれとして、野心的な映画としてお勧めです。