2012年 フランス 111分
監督:レジス・ロワンサル
出演:デボラ・フランソワ、 ロマン・デュリス、 ベレニス・ベジョ
洒落た恋愛もの。 ★★★
パソコンもワープロもできる前は、文字種類の多い日本では文章を書くのはすべて手書きだった。
しかし、表音文字を使う外国には便利なタイプライターがあった。
この映画の舞台は1950年代のフランス。
その頃の有能な秘書は、タイプライターが使いこなせなければならなかったのだ。
都会に憧れて田舎から出てきたローズ(デボラ・フランソワ)は、ルイ(ロマン・デュリス)の会社秘書なる。
失敗ばかりしているローズだったが、タイプだけは早く打てた。
実は彼女の家には古いタイプライターがあり、彼女は幼い頃からそれで遊んでいたのだ。
ローズのその才能に目をつけたルイは、なんとタイプライターの早打ち大会へ出場をさせる。
しかしそんなに話がうまくいくわけがない。
ローズは地方予選であっさり負けてしまう。
すると、ルイは孟特訓を始めるのだ。
ということで、タイプライターの早打ち世界大会に挑むヒロインを描くエンターテインメント作品。
1本指タイプだったローズに5本指タイプを教えるルイ。
なんと、打つ指ごとにキーボードを5色に色分けして、打つ指もそれに合わせた5色のネイル。
なるほど、これは上達が早いかも知れない。
(ちなみに私は今でもブラインド・タッチはできなくて、基本的に1本指タイプ 笑)
背筋を伸ばして、キーを打つべし、打つべし!
どこかで聞いたような言い回しだが、手首を捻ってえぐるように、打つべし、打つべし!
ああ、そうか、丹下団吉の不滅の教えだった(笑)。
厳しいトレーニングをおこなってローズは見事に地方大会を勝ち抜く。
このタイプライターの早打ち大会というのも面白い。
一斉に決められた文章をタイプで打つのだが、1行打つごとにレバー操作で紙送りをする。
その動作で誰がリードしているのかが観ている者にもわかるわけだ。
そして5分の試合時間が終わる合図で、選手は一斉にキーから離した両手を上に上げる。
なるほどなあ。
(でも、1文字、2文字の差で世界記録になるというのに、ちょっと曖昧な感じもあったなあ。)
地方大会の次は、全国大会。
そしていよいよパリで開かれる世界大会。
さあ、ローズはどうなる?
もちろんその試合経過にからめて、ローズとルイの恋模様も描かれる。
ヒロインの名前のローズにあやかってのピンク色のタイプライター。
それも含めて衣装とか小物とか、女の子が好きそうな雰囲気にあふれている映画。
適度にコメディ・タッチもあって、軽い気持ちで観ることができる根性もの+恋愛ものでした。