あきりんの映画生活

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「女神の見えざる手」 (2016年)

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2016年 フランス 132分
監督:ジョン・マッデン
出演:ジェシカ・ジャスティン、 マーク・ストロング

女性ロビイストの戦い。 ★★★☆

主人公のスローン(ジェシカ・ジャスティン)はすご腕ロビイスト
しかし、そのロビイストというのが、果たしてどんなものなのか、どんなことをおこなうのか、そんなことも知らなかった。
そこで調べてみると、特定の個人や団体の主張を政府の政策に反映させようとして政党や議員などに働きかけることを仕事とする人、のことであるらしい。

この映画で問題となる政策は、アメリカでは重大事項である銃規制法案。
銃社会であるアメリカならではの論争になるわけだ。
(安全な)日本に住む身にとっては、銃の所持が何故、自由に許されているのかも疑問に思ってしまうのだが、アメリカでは利権団体の思惑などが絡んでいるのだろう。

スローンは、大手会社の銃規制法反対派の要請を断り、銃規制法賛成派の小さな会社に仲間を連れて移籍する。
なぜ、彼女が銃規制賛成の立場に身を投じたのかは、はっきりとは描かれていない。
彼女の過去に何かがあったのだろうか?
それはともかく、彼女は請け負った目的のためには手段を選ばずにビシバシと行動する。

ジェシカ・ジャスティンはそんな強い意志で冷静な行動をとる。
ときに非情ですらある判断をしていく。
目的のためには自分を信頼してくれる仲間も、容赦なく利用する。すごい意志である。

スローンを引き抜いた小さな会社の代表シュミットにマーク・ストロング
いかにも善人で裏のない人物の感じ。だから、彼の存在がスローンの冷徹さを一層際立たせている。
彼はなんとなくスタンリー・トゥーリッチと似ている。二人とも贔屓だな。

銃規制法案に反対か賛成かをまだ決めていない議員を賛成派に取りこもうと、あらゆる手段を使っての説得工作を画策していく。
彼女の口癖は、敵の戦略を読み切っておかなくては勝てないわ。戦略というのは相手の手の内を全部引き出してから反撃する事よ。
この彼女の言葉は、最後にきちんと回収される。やるなあ。

実はこの映画は、スローンが聴聞会にかけられている場面からはじまっている。
彼女はいったいどんな罪に問われたのか。彼女はどこで失敗したのか。
完全と思っていた戦略のどこにミスがあって、どんな証拠を突きつけられたのか。

(以下、ネタバレ)

しかし、ここで彼女は一発大逆転の反撃に出る。
敵がすべての切り札を切り終わった後で、こちらの切り札を出したのだ。
そうか、はじめからそういうことを計算していたのか。

懲役が5年間だと知っていて、あえて自分の身をその刑に捧げてまで目的を完遂したスローン。すごい。
その人間性が全面的に共感を呼ぶわけではないが、この意志の強さはやはり、すごい。
目的のためには仲間を利用する非情さもあったわけだが、自分自身をも利用して目的を果たしたわけだ。

刑を終えて出所してきた彼女が映画の最後に振り向く。
そこにいたのは誰?