2017年 イスラエル 113分
監督:サミュエル・マオズ
運命のいたずらに翻弄される家族。 ★★★
今度はイスラエル映画。
三幕から成るギリシャ悲劇のように、3つの章からこの作品は構成されている。
皮肉な、そして辛い人生ドラマである。
第1部。ミハエルとダフナ夫妻のもとに、出征していた息子のヨナタンの戦死の知らせが届く。
ああ、なんということだ。夫妻は打ちひしがれ、親戚の者が葬儀の段取りなどを勧めてくれる。
と、戦死の知らせは誤報だったという知らせが届く。
父親は怒る。えっ、何だって。お前たちのいうことはもう信用できない。明日にでも息子を帰還させろ!
ま、そりゃそうだろな。絶望感と、それが手違いによるものだとすれば、そりゃ怒るよ。
さて第2部。その息子ヨナタンは、軍務にはついていたのだが、実はそこは戦場から遠く離れた砂漠の中の検問所。
敵どころか、通る人さえめったにいないような砂漠のど真ん中。
ヨナタンは3人の仲間の兵士と単調な毎日を送っている。
この部分は結構延々と続く。何にも起こらない毎日なのだ。時にラクダがのんびりと検問所を通っていく・・・。
ところが、ある日、予想もしなかったような事件が起きてしまう。どうする?
そして第3部。ふたたびミハエルとダフナ夫妻。
ぶじに息子が帰還することになっていたはずなのに、二人は絶望の淵にいる。
妻は夫をなじっている、貴方のせいよ!
いったい何が起きたのだ?
息子の戦死という誤報に翻弄された家族の不条理な運命。
ああ、そういうことになってしまったのか。
あの検問所をのんびりと歩いていたラクダの仲間が、ヨナタンの運命を変えてしまったのだったか。
皮肉な、と言うべきか、人生の怖ろしさというべきか。
邦題は、あの「会議は踊る」をなぞったのだろうが、あまりしっくりとはしていない。
ヴェネチア国際映画祭で審査員グランプリをとっています。