2016年 アメリカ 137分
監督:ケネス・ローガン
出演:ケイシー・アフレック、 ミシェル・ウィリアムズ
辛い過去と向き合う人間ドラマ。 ★★★
”マンチェスター・バイ・ザ・シー”というのは、実在する街の名前。
マンチェスターといえばイギリスの都市の名だが、アメリカにもそれにちなんだマンチェスターという都市がある。
それとの区別するために、わざわざ”海のそばのマンチェスター”にしたとのこと。人口5,000人ぐらいの港町とのこと。
故郷のその街を離れて便利屋のような仕事をしているリー(ケイシー・アフレック)。
人付き合いが悪く、短気。すぐに諍いを起こす。
なにかトラウマを抱えていて心がささくれ立っている主人公を、アフレックが上手く演じていた。
ところどころで、かっての日にリー、兄のジョー、そしてまだ幼かった甥のパトリックが楽しげに遊んでいる姿がはさみこまれる。
そういうマンチェスター・バイ・ザ・シーでの日もあったのだ。
ところが、故郷で暮らしていた兄ジョーが亡くなり、彼の遺言でリーは16歳の甥のパトリックの後見人になる。
男を作った母親は家を出ていて、頼るのは叔父のリーしかいなかったのだ。
しかし、これは困ったぞ。
仕方なく。パトリックにボストンで一緒に暮らそうと提案するリー。
このパトリックが意外に発展家。
何人ものガールフレンドと付き合い、バンドに精を出している。
この街から離れるなんて絶対に嫌だよ。
(彼がガール・フレンドとHをしたくてたまらないのに、邪魔が入ってなかなか出来ないところなどは、ちょっとコミカルだった)
やがて描かれるリーの過去。
彼が故郷を捨てた理由も明らかになる。
彼が故郷に帰ってくることができない理由があったのだ。辛い過去を背負ってリーは生きていたのだ。
海辺の街のどこか寒々とした風景は美しい。
そこで生きている人々も、どこか寒々とした気持ちを抱えているようだ。
簡単に乗り越えられるようなものではない。
明確な解決策があるわけでもなく、それでも何とかして生きていかなければならない。
アカデミー賞では主演男優賞、脚本賞を取っています。