2017年 ドイツ 106分
監督:ファティ・アキン
出演:ダイアン・クルーガー
復讐劇。 ★★★
夫と息子をテロで殺された女性の復讐劇だということは知っていた。
そしてポスターの、フードを深く被って雨の街を歩く写真から、サスペンス・タッチの作品かと思っていた。
まったく違っていた。もっと重く静かな作品だった。
物語は珪呂吠けられて提示される。
まず事件が起きる「家族」。
トルコ系移民のヌーリと結婚し、息子にも恵まれた生粋のドイツ人のカティヤ(ダイアン・クルーガー)。
ある日、ヌーリの事務所前に仕掛けられた爆発で夫と息子は殺されてしまう。
移民を狙ったネオナチによるテロだったのだ。
第二章は「正義」。意外にもここはしっかりとした法廷劇だった。
爆破事件の犯人と思われるネオナチの若い夫婦の裁判がおこなわれていく。
誰がみたって犯人に決まっているし、有罪に決まっていると思う。
しかし、裁判はそんな感情でものごとが進む場所ではなかったのだ。犯人側の弁護士の嫌みったらしいことといったら。
この法廷劇のパートが、映画の中心になっていると思えるほどの緊張感だった。
カティヤは爆弾を仕掛けた女を目撃もしているのだ。
それを証言しているのに、弁護側はそんな反論をしてくるなんて!
なんと理不尽な。なんと歯がゆく、いらだたしいことか・。
そして最終章が「海辺」。
法が裁いてくれない犯人達をどうしても許すことができないっ!
カティヤはひとりで犯人夫婦を追い求める。
そして海辺のキャンピングカーで隠れるように生活している夫婦を見つける。
彼女の”決断”とは・・・。
思っていた以上に暗く沈んだ映画だった。
カティヤのような立場に置かれたらと思うと、彼女の思いも行動も判る気はする。しかし、どうしても虚しさが残る。
ダイアン・クルーガーの厳しい表情が印象的です。
カンヌ映画祭で主演女優賞を取っています。