監督:パク・フンシク
出演:キム・ガンウ、 ソン・テヨン
偶然に出会った二人が、それぞれの深い絶望からゆっくりと浮かび上がってくる。 ★★☆
京義線というのは韓国のソウルから北朝鮮までつづく路線の名前。
真面目な地下鉄の運転手のマンス(キム・ガンウ)は、飛び込み自殺に遭遇してしまう。その心の痛手から特別休暇を貰って、ふらりと京義線に乗り込む。
一方、先の見えない不倫を続けていたハンナ(ソン・テヨン)は、相手の奥さんに罵倒されて傷つき、京義線に乗り込む。
韓国側の終着駅で降ろされた二人は、あてもなく雪の中を歩き、互いの苦しみを互いが拭うようにして一夜を過ごす。
明るいホームから暗いトンネルに入っていく映像が、マンスの心を表しているようである。
人身事故を起こしてしまった地下鉄の運転手の苦しみがよく伝わってくる。
それにしても、飛び込み自殺をした売店の売り子さんの背景はもう少し語られてもよかったのではないか。
運転手に顔が見えないように毛糸の帽子をぐっとふかく被って地下鉄に飛び込むシーンは印象的。
最後は急に一年後の後日談となって、ほっとしたような、肩すかしを食らったような・・・。
蛇足だが、ソン・テヨンはクォン・サンウの奥さんになった人だそうだ。
平板ではあるがしっかりと作られている。
ゆっくりとした時間に、静かな余韻を少しだけ味わいたいときに。