監督:スティーヴン・ダルドリー
出演:ニコール・キッドマン、 ジュリアン・ムーア、 メリル・ストリープ
重厚な文芸作品。 ★★★★
3つの時代の女性の1日を描いている。
その3つの物語が絡み合いながらすすむので、始めはすこしとまどってしまう。
その3つとは、1923年の小説「ダロウェイ夫人」を執筆している作家のヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッドマン)、
1951年の小説「ダロウェイ夫人」を読んでいる妊婦のローラ・ブラウン(ジュリアン・ムーア)、
2001年の小説の主人公と同じ名前のクラリッサ・ヴォーン(メリル・ストリープ)。
3人の女性はそれぞれに少しずつ精神を病んでいる。
午後からのパーティに出かけなくてはならないヴァージビア・ウルフは、冒頭に悲劇的な行動をとる。
それは映画の最後にもフラッシュバックされる。
夫の誕生日ケーキを焼こうとするローラは苛立っている。
息子がひたすらに母親を慕う姿が印象的なのだったが、実はその息子が驚きの物語の展開となっていく。
クラリッサはHIVのために余命が短い詩人のためにパーティを開こうとしている。
しかし、肝心の詩人が思いもかけない行動をとる。
そして2つの物語がつながり、一気に言葉を失ってしまった。
付け鼻をして顔つきまで変えたニコール・キッドマンもすごかったが(この作品でアカデミー主演女優賞をとっている)、微笑の奥に自分でもどうしようもないいらだちを抱えていたジュリアン・ムーアの姿も忘れがたい。
深い気持ちの揺れがいつまでもおさまらないで、いつまでも思い出される作品。