1960年 フランス 93分
監督:ルイ・マル
出演:カトリーヌ・ドモンジョ
ヌーベルバーグ時代の、それこそ有名な映画。 ★★★
パリにやってきて叔父の家に預けられたこまっしゃくれた女の子が起こす騒動が描かれているのだが、スラップスティックというのか、奇想天外というのか、めちゃくちゃなコメディ調がつづく。
正直なところ、前半は全く面白くなかった。
ルイ・マル監督の描き方は、時間軸に沿って単純に物語がすすむばかりで深みに欠けるなあ、と思って観ていた。
ところが、中間あたりで追いかけっこのどたばたがすぎて、エッフェル塔の場面辺りからやけにシュールとなってくる。
俄然、面白くなってくる。
もう止まらないほどの、意味の捉えがたい、ナンセンスな不思議な話となって展開しはじめる。
当時は斬新だったと思える撮影技法も現代では幼稚といえるのだろうが、そんなことは気にならないほどの表現欲求への斬新さがある。
エッフェル塔の階段を延々と下りるシーンも印象的。
妙にクラウディア・カルディナーレに似た叔母さんがきれいだった。
タイトルからは、地下鉄に乗って一日を過ごすのかと思っていたのだが、実は地下鉄はストライキで止まっている日の出来事である。
最後に、迎えにきた母親の「楽しかった?」 という問いに、ザジが「年をとったわ」と答えるのがにくい。
映画版「不思議の国のアリス」でも観るつもりで。