1966年 フランス 120分
監督:ルイ・マル
出演:ジャン・ポール・ベルモンド、 ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド
一人の泥棒の伝記といった造り。 ★☆
親を亡くし、後見人だった叔父に財産を奪われ、泥棒になっていった男の一生が淡々とつづられる。
財をなした後も、盗みの快感が忘れられずに泥棒を続けていく主人公。
主演のジャン・ポール・ベルモントは好きな俳優だし、あの「死刑台のエレベーター」のルイ・マル監督であるから、それなりに緊迫したスリルが味わえる映画だろうと期待していた。しかし、期待はずれであった。
薬品で金庫を溶かしたり、バールでたたき壊したりと、盗みの方法も知的でも美的でもなく、ありきたりの感は否めず、これで大泥棒として活躍したとは、ちょっと言い難いのではないかなあ。
従妹との恋物語がからんだりもするのだが、あっという間に何年も話が進んだりして、まるで伝奇のあらすじを読むような感じであった。
だから、全体的に説明的で、情移入が十分に出来ないままに終わってしまった。
ルイ・マルといえば「地下鉄のザジ」も有名だし、アメリカに渡ってからは「アトランティック・シティ」なんかも撮っている。
なんだか作品の傾向もばらばらで、作品のできにムラがあるような気がする。
ある時代のフランスの娯楽映画を楽しむ、そういう作品なのでしょう。