あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「アヒルと鴨のコインロッカー」 (2006年)

f:id:akirin2274:20210724102031j:plain

2006年 日本 110分
監督:中村義洋
出演:濱田岳、 瑛太、 関めぐみ

純愛復讐劇サスペンス。 ★★★

 

吉田修一の小説はいくつも映画化されているが、それと並んで映画化されているのが伊坂幸太郎
彼の映像化作品では、「フィッシュストーリー」と「重力ピエロ」が好きだった。
今作も同名小説の映画化。原作は読んでいたので、その要となるカラクリは知っていた。
しかし、あの叙述トリックをどうやって映像化した?

 

大学入学で仙台に引っ越してきた椎名(濱田岳)はボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさんでいて、アパートの隣人の河崎(瑛太)に声をかけられる。
ボブ・ディランの声は神様の声だよな。ええ、そうですね。
ところで、一緒に書店を襲撃しないか。仲間ができるのを待っていたんだ。

 

こうして奇妙な出来事に巻き込まれていく椎名。
一緒にモデルガンを片手に書店強盗をして、河崎と親交を深めていく椎名。
盗んだ辞書はブータン人のドルジにプレゼントしてやるんだ。
彼の恋人の琴美は二年前に死んでしまったんだ。落ち込んでいるドルジを励ましてやりたいんだよ。
でも、どうして辞書なの? どうしてわざわざ書店から盗むの?

 

椎名の目線で描かれる現在の話と、河崎が語る二年前の物語が交互に展開される。
二年前、河崎の元カノだった琴美は留学生のドルジと恋人同士になる。
そして、ドルジと琴美は動物を虐待している悪い奴らに遭遇して・・・。

 

伊坂孝太郎原作・中村義洋監督のコンビ作では常連の濱田岳
小柄でちょっとおどおどしていて人が好さそうで、そんな雰囲気がこの映画でも役柄によくマッチしていた。
そして瑛太。ある意味ではこの映画の本当の主役である。
冒頭からなんだか胡散臭い雰囲気を出しているのだが、その理由も明らかになってみれば、なるほど。
途中から顔を出してくるのが松田龍平。彼に関してはコメントせず(苦笑)。

 

いたるところに奇妙な謎が散らばっていて、その伏線の回収もうまい。
河崎が盗んだ辞書が「広辞苑」ではなくて「広辞林」だったり、なぜ椎名の部屋から本が盗まれたのか、だったり。
なるほど、そういうことだったのか。
それに、河崎が裏口からの逃走にこだわったのにも、ちゃんと悲しいわけがあったのだな。

 

事件が終わり、最後、神様に内緒にしてもらおうよ。とボブ・ディランを鳴らしているラジオをコインロッカーに入れる。
ヒルと鴨って、ドジルと河崎のこと?

 

とても不可思議に見えていた事柄がちゃんと収まって、終わってみればどこか切なさが残る作品。
小説もよかったけれど、映画も充分に魅力的でした。

 

「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」 (2021年)

f:id:akirin2274:20210722105433j:plain

2021年 日本 131分
監督:江口カン
出演:岡田准一、 堤真一、 木村文乃、 平手友梨奈

痛快アクションものの続編。 ★★★☆

 

前作はあまりに面白かったので原作コミックも読んでしまった。
岡田准一のアクションと、それとはゆるくミスマッチな呆けぐあいがとても好かった。
ということで、期待して続編鑑賞。

 

6秒でどんな相手でも倒してしまう伝説の殺し屋ファブル(岡田准一)。
ボスの命令で、殺しを禁じられた彼が佐藤アキラという一般人のふりをして”フツーの生活”をおくっているというのが設定。
相棒として妹役のヨウコ(木村文乃)が一緒に暮らしている。
このあたりは前作で説明されていたので、今回は冒頭からアクション全開。

 

いきなりのファブルの鮮やかな殺し。そして屋上駐車場でのすさまじい暴走車とのアクション。
どこまでCGを使っているのか判らないが、トム・クルーズも真っ青の岡田准一の体を張った演技がすごい。
今の邦画アクションでは、現代劇なら岡田准一、時代劇なら佐藤健、だな。

 

さて、今回の敵は、かつてファブルに弟を殺された宇津帆(堤真一)。
慈善団体の代表の仮面の裏で、残酷な殺しも辞さない悪事をしているというサイコパスのような奴。
計算高い冷静さを持ちながらも、どこかキレている精神状態の気持ち悪さを、堤真一が好演。
ファブルへの執拗な復讐打倒に燃えている。
やはり悪役はこうでなくてはね。

 

このシリーズの面白さは、殺人マシーンであるファブルが”フツーの生活”をしようとして真面目な顔をしてかます呆けにもある。
バイトの時給を上げてもらって無邪気に喜んだり、徹夜をしてサンタクロースのほのぼのイラストを描いたり。
超猫舌であるところも好い味を出している。

 

宇津保の悪強そうな手下が、ファブルの妹を捕らえようとして銃を手にしてヨウコのアパートにやって来る。
しかし、このヨウコも実は凄腕だったのだということは前作で明かされていた。
で今回もその凄腕ぶりをまざまざと見せつけてくれる。

 

敵の銃を奪ってフルぼっこにしてしまうまでにたったの9秒である。
命のやり取りをしたあとで、おかげで作りかけだった麻婆豆腐が煮詰まってしまった、とぼやくヨウコ。
この落差が何とも痛快。

 

ファブルが今作で救おうとする足の不自由な少女役に平手友梨奈
彼女は天才少女作家役で初めて知ったのだが、すごい目力の役者だと思っていた。
今作では彼女の扱い方がやや紋切り型だったところが残念だった。

 

高層に組まれた足場で襲ってくる敵大集団とのファブルの戦い。跳ぶわ、跳ねるわ、殴るわ、蹴るわ。
ファブル、すごい。そして岡田准一すごい。
崩れかかるパイプの足場に片手でぶら下がりながら敵と格闘しているファブル。
双眼鏡でそれを見たヨウコが叫ぶ、お兄ちゃん大丈夫?
ファブルはいつものように冷静な声で答える、 ああ、全く問題ない。
ヨウコが絶叫する、ど~こ~が!?

 

このあともシリーズ化を期待。
しかしこのあと、どうやって新しい面白さを付け加えていけるか、だな。

 

「キャラクター」 (2021年)

f:id:akirin2274:20210720223445j:plain

2021年 日本 125分
監督:永井聡
出演:菅田将暉、 Fukase。 小栗旬、 高畑充希

サイコ・サスペンス。 ★★★

 

絵は上手いのだが、魅力的なキャラクターが描けない漫画家の卵の山城(菅田将暉)。
ああ、もう漫画家になるのはあきらめよう。
と思っていた矢先に、凄惨な一家4人皆殺しの現場に行き当たってしまう。
しかも、現場から逃走していく犯人の顔も目撃してしまう。

 

子供の頃から絵を描くのが好きだった少年少女にとって、漫画家は憧れの職業だろう。
鬼滅の刃」にせよ、「進撃の巨人」にせよ、ヒットすれば文字通りの億万長者にもなれる。
なによりも、自分の描いた漫画で何万人もの人が喜んでくれるというのは、作者冥利に尽きるだろう。
しかし現実では、漫画家になるにはそれなりの才能が必要なわけで、当たり前のことだが、憧れだけでなれるものでもない。
そんな漫画家の生活を描いた映画が「ばくもん。」だった。なかなかに大変なわけだ。

 

さて。
事件の第一発見者となった山城だったが、なぜか、犯人目撃に関しては警察に嘘をつくのだ。犯人の顔は見ていません。
えっ、どうして?
そして、自分だけが知っている犯人をキャラクターにして漫画を描くのだ。
もともと絵は上手かった山城なので、サイコパスな特異なキャラクターを得て、その漫画は大ヒットをする。
おいおい、いいのか、お前が警察に情報を提供しないから犯人は野放しだぞ。

 

それどころか、サイコパス犯人は、山城が描いた漫画そっくりの猟奇殺人事件を起こすのだ。
そして山城に接触してくる。
先生の描いた漫画の通りに殺人をしておきましたよ。完璧でしょ。
その特異な犯人のキャラクターに刺激されて、さらに漫画を描きつつづける山城。
おいおい、いくら漫画家魂に火がついたとしても、これじゃ、お前が猟奇殺人を教唆しているようなものだぞ。

 

犯人を追う真面目な刑事役に小栗旬
小栗は「罪の声」でも人情味のある刑事役をやっていた。違和感がない。
彼は山城の漫画のファンだと言い、いち早く山城の描く漫画と実際の事件の酷似に気づく。
現場で凶器を必死に捜している捜査員の目の前で、もしかしたら、と車のサンバイザーの裏から見つけてみせる
どうして凶器の隠し場所分かったんだ? ほら、この漫画に描いてあったんですよ。

 

当然のこととして警察は山城を犯人、もしくは犯人の何らかの関係者と見做す。
しかし、小栗刑事はあくまでも山城を信じてくれる。
好い役どころ。しかし、まさか途中で彼が・・・。びっくり。

 

犯人役のFukaseについてはまったく知らなかったのだが、ロックバンドの人らしい。
彼の不気味さが好い。サイコパスの雰囲気をよく出していた。

 

犯人がなぜ幸せな4人家族を狙うのか、という謎も絡む。
そしてついに、犯人を捕まえなくては、という決意をかためた山城が選んだ道はとても危険なものだった。

 

(以下、ネタバレ)


それは、犯人が4人家族の自分を襲うという漫画を発表すること。
そうすれば、漫画の通りに犯行をおこなっている犯人は、必ず自分を殺しにやってくるはず。そこを逮捕すればいい。
はたしてその作戦は上手くいくのか・・・。

 

4人家族ということの意外などんでん返しもあって、最後まで緊張感が持続する。

 

エンドロールが終わるまで席を立ってはいけません。
最後に微かなもの音が2回きこえるのです。これは?
そう、それはまさしく刃物を研ぐ音。この後に続く物語を予感させる不穏な音だった。
山城の子供は二人だったよねえ。

 

「ストレイ・ドッグ」 (2020年)

f:id:akirin2274:20210718113034j:plain

2020年 アメリカ 121分
監督:カリン・クマサ
出演:ニコール・キッドマン

刑事物サスペンス。 ★★★

 

人気のない郊外での殺人事件。
そこにやって来た女性刑事エリン(ニコール・キッドマン)は紫のインクが付着したドル紙幣を見つける。
居合わせた刑事たちに、エリンは、私は犯人を知っているわよ、とうそぶく。
そう、確かに彼女は犯人を知っていたのだ・・・!

 

署に戻った彼女あてに差出人不明の封筒が届いており、中には同じようなインクで汚れた紙幣が入っていた。
差出人はあの憎いネイサンだと、エリンは理解する。
彼がまた悪事を企んでいる。おのれ、今度こそ逃がすものかl。
それは彼女の17年前の苦い思いをともなう潜入捜査に関わるものだった。

 

この映画を見始めてまず驚いたのは、荒んで衰えた顔のニコール・キッドマン
彼女本来の華やかさとは真逆の容貌、雰囲気。
ここまでの老け顔をさらすとは、いくらメイクだとは言え、ものすごい役者根性があるといえる。
役に賭ける情熱もすごいし、またそれだけの自信もあるのだろう。

 

時間軸が遡り、17年前に物語は移る。
若く美しいころのエリンは、相棒のクリスと恋人を装って銀行強盗団に潜入捜査をしていた。
強盗団ボスのネイサンは極悪なサイコ野郎。
彼に率いられた強盗団が銀行を襲おうとする。よし、彼らを捕らえる絶好のチャンスだ。
しかし、エリンたち二人は奪ったお金を自分たちでネコババしようとも計画する。

 

そうなのだ、17年前のエリンも決して正義感溢れるヒロインではなかったのだ。
辛い生い立ちを経験してきている。彼女は、その頃からすでに”野良犬(ストレイ・ドッグ)”だったのだな。
そして強盗団が銀行から奪ったお金には、盗難目印用の紫色インクが付着していたのだ。
恋人のクリスもネイサンに殺され、ひとりエリンが取り残される。

 

そして今、ネイサンを追い求めるエリン。
酒に溺れているヒロインは疲れ切っており、映画の雰囲気はひたすら暗い。
風貌もそうであるし、きれい事だけではない捜査行動からも、共感できるようなヒロインではない。
もう汚れきったノワール・サスペンスの緊迫感で見せていく作品である。

 

エリンは自分の未来などは捨て去っており、ただ過去の後悔をぬぐうための執念だけがある。
そしてクリスとの間にできていた娘のことだけを案じている。
果たして、エリンはネイサンを捕らえることができるのか。

 

(以下、ネタバレ)

 

まさか冒頭の場面でも時間軸がずれているとは思わなかった。
これにはすっかりやられた。

 

すると、ネイサンから追跡塗料が染みた紙幣が送られてきたのは、冒頭の殺害の前ということになるわけだ。
しかし、ネイサンがわざわざ紙幣を送ってきた理由が判らんぞ。
なにか、見おとしていたことがあった?

 

ニコール・キッドマンが受賞はできなかったものの、ゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネートされた作品です。

 

「アバター」 (2009年)

f:id:akirin2274:20210716212644j:plain

 

2009年 アメリカ 162分
監督:ジェームス・キャメロン
出演:サム・ワーシントン、 ゾーイ・サルダナ、 ミシェル・ロドリゲス、 シガニー・ウィーバー

SFアクションもの。 ★★★★

 

希少鉱物を求めて異星に侵略した人類。
当然のこととして、母星を守ろうとする前近代的な生活の原住民との争いが生じる。
さあ、主人公が戦うべき相手は・・・。

 

人類は衛星パンドラでの希少鉱物の採掘事業をおこなっていた。
パンドラの環境は人間には有害なため、そこで活躍するのが”アバター”である。
アバター”は、先住民ナヴィと人間のDNAを掛け合わせて作られた人工肉体である。
装置の中で横たわった人間はアバターと意識を結び、遠隔操縦によりアバターを操縦するのだ。

 

主人公は戦争で下半身不随となった元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)。
アバターを介して自由にうごかせる身体を得たジェイクは、パンドラの森へ出かけ、そこでナヴィ族の女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と出会う。

 

この映画が10年以上前に公開されたときは、3D映画の傑作として大々的に宣伝された。
確かにその映像体験は素晴らしいものだった。
当時の3D映画は、たとえば「2012」などのように画面から飛び出してくる効果を狙ったものが多かったのだが、この映画は奥行きを感じさせるものだったのだ。
映像は、美しい森の神秘的な広がりを効果的にみせていた。

 

ネイティリを通してナヴィ族との親交を深めていくジェイク。
深い森の中で暮らすナヴィ族は、神秘的な能力をもつ巫女のような長老によって統率されている。
高くそびえる木々の枝を渡り歩き、特別に意識を通い合わせる怪鳥とペアになったりもする。

 

当時はジプリ作品、「もののけ姫」や「風の谷のナウシカ」、「天空の城ラピュタ」などの影響が言われていた。
たしかにつながるものは随所に感じられる物語だった。
物語の組み立てにはそれほど独創的なものはないし、主人公の行動もこんな風にするのだろうなと想像がつくものだった。
ミシェル・ロドリゲス姐さんが例によって太っ腹な女気を見せるのだが、ちょっと唐突だったな 苦笑)

 

希少鉱物が欲しい人間たちは、その採掘のために森を破壊しようとする。

そしてナヴィ族の信仰の中心である大木までも切り倒そうとする
この惑星征服用の重戦車や攻撃へリでの攻撃に、弓や槍などの原始的な武器で抵抗しようとするナヴィ族。
アバターを操るジェイクと、その上官(シガニー・ウィーバー)はナヴィ族と共に戦う。
しかし武器の性能の差は如何ともしがたい。どうなる?

 

少し厳しい言い方をすれば、映像を見せるために物語があるのであって、物語を語るために映像があるのではない、という映画だった。
それがこの映画のすべてであろう。
しかし、これだけの映像を見せられると、今でもやっぱりすごいよなあとしか言えない。
映画を観る楽しみをどこに置くかでこの映画の評価も変わるのだとは思う。

 

今観直しても充分に楽しめるものになっている。
キャメロン監督渾身の一作だったのではないだろうか。
(評価には初見当時の感嘆度も加味されています 汗)

 

 

「グッバイ、サマー」 (2015年)

f:id:akirin2274:20210714223850j:plain

2015年 フランス 104分
監督:ミシェル・ゴンドリー

少年ふたりのひと夏の冒険譚。 ★★☆

 

中学生なのに小柄なダニエル。女の子のような容姿で、クラスメイトからからかわれている。
そんなある日、改造自転車を乗り回すエンジンオタクのテオが転校してくる。
変わり者同士の二人は、なんとなく仲良くなる。

で、二人はスクラップを集めて自分たちで作った自動車で夏休みの旅に出る。
ミシェル・ゴンドリー監督が自分の少年時代の体験をもとにした物語とのこと。

 

二人が作った自動車というのが変わっていて、面白い。
手製の自動車なんて正式には認めてもらえない。そこで周りをベニヤ板で覆って家の形にしてしまう。
これはよく考えたなあ。本当に小さな家に見える。
これなら警察が来たら道ばたに建っている家の振りをすればいいし、家だから中で寝ることも出来るよ。

 

少年二人のひと夏のロード・ムーヴィーといえば、ファティ・アキン監督の「50年後のボクたちは」があった。
あちらは学校ではみ出し者の二人が車を盗んで旅をする物語だった。
清々しくも切なさも漂う作品だった。

 

こちらの映画の二人も珍妙な旅を続ける。
パトカーが来たので急いで道ばたの家の振りをする。
すると警官が降りてきて近づいてくる。
これはヤバイ! と思ったら、警官は”奇妙な家”の前で記念写真を撮って立ち去っていった。やれやれ。

 

テオがダニエルに言う、女の子みたいだと言われるのが嫌ならその髪を切れよ。
嫌だ、人と同じようにはなりたくない。自分でいたいんだ。
そうか、これは自由奔放な映画を撮るゴンドリー監督の基本的な立ち位置なのだな。

 

そのうちに、ダニエルは自分の決断だと言って髪を切る決意をする。
折角髪を切る決意をしたのに、あれ、散髪屋がない。どうしよう。あ、ここが開いている。
しかしそこは性風俗店だったのだ。で、純真な少年はすったもんだの大騒動。

 

主役の少年が、まあ、可愛い。
長髪の時もそうなのだが、坊主頭になったらますます女の子のように見えてきていた。
これからどんどん美青年になっていくのだろうか。
それとも、長じるにつけて普通の容貌になってしまうのだろうか?

 

二人は喧嘩もしたりして、ある事件で二人の車は失われる。
旅の終わり。ひと夏の終わり。
二人はそれぞれの学校生活の日々に戻っていく。
しかし、この映画はそれほど感傷に溺れることはない。比較的あっけらかんとしている。

 

最後、ダニエルが好きだったちょっとませた同級生の女の子が映る。
母親(オドレイ・トトゥ)と一緒に去っていくダニエルを見送りながら、振り向いて、と願う。
おやおや、彼女もダニエルのことが好きだったのか。
思いが通じるなら振り向いて、3つ数えるうちに、・・・駄目なら7つ数えるうちに、・・・それでも駄目なら、無限・・・。

やはり、青春は少し甘酸っぱいか。

 

「グリーンランド」 (2020年)

f:id:akirin2274:20210712124455j:plain

2020年 アメリカ 119分
監督:リック・ローマン・ウォー
出演:ジェラルド・バトラー、 モリーナ・バッカリン

厄災の日にどうする? ★★☆

 

突如地球に近づいてきた無数の彗星が、あっ、地球に落下してくるようになったぞ。
そして次々に落下した隕石で都市が壊滅していく。
ついに地球全体が崩壊する規模の彗星落下が予告される。
残された時間は48時間だけ・・・。

 

すると、不意に政府からの緊急告知が国民になされる。
次に指名するものたちは指定の空軍基地へ速やかに赴くこと。携帯できるのは鞄1個のみである。
実は、アメリカ政府は強固なシェルターに限られた人だけを避難させようとしていたのだ。
それは壊滅する人類の再建に有用な人たちだった。
建築技術を持つジョン(ジェラルド・バトラー)と妻、息子の一家も指名されて空港へ向かう。

 

そりゃこんな事態になれば、全人類を救うことができないことは誰にでも判る。
後のことを考えて生き残る人を選ぶことも、そりゃ理屈としては判るよ。
でも、隣の家のジョン一家が助かって、どうして我が家のみんなは死ななければならないんだっ!
こんな風に叫ぶ人の気持ちもよく判る。
この映画は、国中がパニックにより無法地帯と化していき、そんな中で露わになる人間の善と悪を捉えていた。

 

ジェラルド・バトラー主演だから、つい無双の父親が大活躍をして家族も地球も救う・・・かと思っていたら、まったく違っていた。
本作でのバトラーは、地球滅亡の危機に立ち向かうヒーローではなく、危機に慌てふためく普通の父親だった。
等身大の(しかし、意志は強い)主人公なので、事態を我が身に引き換えてみることができる。

 

空軍基地に着いたジョン一家だったが、息子の持病により受け入れを拒否され、家族は離れ離れになってしまう。
大混乱の中で、おお、どうしたらいいんだ?
奥さん役のモリーナ・バッカリンは初めて観たが、ちょっとエキゾチックな風貌の美人。
あのガル・ガドットの美人度と若さを少しずつ減らした感じ・・・と言っては失礼か。

 

政府から指名された人は、その証明となる腕輪をつけている。
自分だけは生き延びようとする愚かで怖ろしい人間性がむきだしになってくる。
彷徨っている奥さんと子供を親切にも車に乗せてくれた中年夫婦。
彼らは母子が腕輪をつけているのを知ると、強引に腕輪を奪ってシェルターへの輸送機に乗ろうとする。
あんなに人の好さそうな夫婦だったのに・・・。

 

一方で、死を覚悟して静かにその時を待つという人もいる。
さあ、シェルターに向けて飛び立つ最後の飛行機を目指して、ジョン一家はどうなる? 
そして隕石が落下する地球はどうなる?

 

タイトルのグリーンランドはどういう意味だろうと思っていたのだが、シェルターのある場所だった。
なあんだ。もっと意味深なのかと思っていたよ。

 

なんとなく、どこかで観たような設定ではあるし、主人公一家を追っているので結末はおよそ想像がつくし。
退屈することはありませんが、映画館でわざわざ観なくてもいいかなあ。

 

(ちょっとしたツッコミ)
惹き文句に「地球最後の2日間」とあったが、生き延びた人もいるわけだから、正しくはないよね。
なんだか、ノアの方舟を思い出してしまった。