「シャザム!」 (2019年)

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 2019年 アメリカ 132分
監督:デビッド・F・サンドバーグ
出演:ザカリー・リーバイ、 マーク・ストロング

DCコミックもの。 ★★☆

惹き文句は「見た目は大人、中身は子ども」。
この映画の面白さはこのギャップに集約されている。

 

これまでには、タイムスリップのような感じで幼い日の自分に戻る映画はあった。
つまり、見た目は子どもだけれども、精神状態は大人」というパターンである。
そして幼さ故に失敗した事柄を今度は大人の分別でちゃんと成功させる、あるいは修復する、という内容が主だった。
今回の設定はその逆。

 

孤独な里子の少年ビリーは、ある日、謎の魔術師に“選ばれし者”と認められてしまう。
魔術師に言われたとおり“シャザム”と唱えると、筋肉マッチョのスーパーヒーローに変身してしまう。
こりゃすごいぞ。なんだってできちゃうぞ。

 

ちなみに解説によると、”シャザム”というのは、S=ソロモンの知力、H=ヘラクラスの強さ、A=アトラスのスタミナ、Z=ゼウスのパワー、A=アキレスの勇気、M=マーキューリーの飛行力という6つのパワーの持ち主ということ。
こりゃすごいわ。

 

しかし頭は子供のままだから、倫理的には未成熟。
そんな状態の者が超パワーを駆使するって、危なくね?
ここがこの映画の見せ所。

 

しょうもないことで超パワーを使って嬉しがっているのだけれども(子どもだからね)、当然、主人公のパワーの秘密を狙う悪人も登場する。
結構マジな戦い場面も出てくる。
それに、里子に出された主人公がめぐり会う家族愛も描かれという好い話も盛り込まれている。

 

単純に楽しめる作品だった。
最後にちらっと登場したのは、おや、あなたはDCコミックのヒーローの・・・。

 

 

「キングダム」 (2019年)

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2019年 日本 134分
監督:佐藤信
出演:山崎賢人、 吉沢亮、 橋本環奈、 長澤まさみ、 大沢たかお

中国の春秋戦国時代もの。 ★★☆

 

まだ少年ののちの秦の始皇帝と、戦災孤児の少年が主人公の史劇。
原作は原泰久の同名のコミックで、こちらも大変に面白い。
まだ連載は続いているが、その5巻までを映画化している。

 

時代は紀元前245年。中国は春秋戦国時代で秦をはじめとした5つの国が、覇権を争っていた頃。
売られてきた戦災孤児の信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)は、大将軍になることを夢みて剣術の鍛練に励んでいた。
ある日、秦の王だった政(吉沢亮の二役)にうり二つだった漂は影武者として召し上げられ、そして王の身代わりとなって殺される。

 

原作に忠実に映画化されていた。
信は、腹違いの弟によってクーデターを起こされた政を助けて、王宮奪還に向かう。
仲間になるのは鳥の妙なかぶり物の少女(橋本環奈)。
そして力を貸してくれるのが、数百年にわたって交流を絶っていた山の民。

 

この山の神の首領が怖ろしい面をつけた人物。
しかし面を外すと美女だった、というのが原作では意外ポイントだった。
映画では長澤まさみが扮していたのだが、ちょっとイメージが違った。
もっと妖艶な、たとえば柴咲コウとか栗山千春あたりではどうだったろう?

 

王喜将軍という大柄なオカマおっさんが登場してくる。
めちゃ強いこのおっさんは、原作漫画でも分厚い唇にオネエ言葉で印象的だったが、映画でも大沢たかおが見事にその雰囲気を出していた。
登場人物の中では一番インパクトがあったのではないだろうか。

 

面白く観た。
しかし、あまりにも原作に忠実な映画化だったので、個人的には、ここまで物語が一緒だったら、原作を読んだ人はもう映画は観なくてもいいんじゃね?と思ってしまった(汗)。
その点をどう評価するかだな。

 

「ザ・ウォーク」 (2015年)

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2015年 アメリカ 123分
監督:ロバート・ゼメキス
出演:ジョゼフ・ゴードン・レビット、 ベン・キングスリー

高所恐怖症の人は要注意映画。 ★★★

 

フランスの大道芸人フィリップ・プティの記録を元にした実録もの。
彼は、実際にあのワールド・トレード・センターWTC)の間の綱渡りをやったのだ。
うへえ!

 

映画は、WTCを遠くに臨む自由の女神に上っているプティの回想という形ですすむ。
少年時代から綱渡りに生きる意味を見つけたプティ。
そしてある日、WTCが建設されるとのニュース記事を読み、そこで綱渡りを敢行することを夢見るようになる。
もちろん無許可の違法行為。そんなことは承知の上。

 

綱渡りも、場所が地上110階、400メートル以上の超高層ビルとなれば、尋常な準備ではすまない。
プティは恋人のアニーをはじめ、協力してくれる仲間を集める。
二つのビルの間の正確な距離は? ロープを支えるのに必要な力は? 支えのロープをどこに張る?
あれだけの高さとなれば風だって強いだろうに(映画ではこの点はあまり描かれていなかった)。
それに、まずどうやってロープを張る?

 

概要を聞いたときは、どうせビルの間の綱渡り場面だけに焦点を当てた映画だろうと思っていた。
しかし、そこに至る人間ドラマもちゃんと描かれていたし、監視の目をくぐっての現場の下見、道具の搬入、などなどの準備状態も緊張感があった。
そしていざ、ビルの間に張られた1本のロープに歩み出す。

 

上映はもちろん3Dでおこなわれたとのこと。
そりゃそうだろうなあ、3Dの画面を活かすこれ以上の素材はないぜ。
私はDVD観賞だったのだが、大画面の3Dだったら、高所恐怖症の私はとても正視できなかったのではないだろうか(苦笑)。

 

(以下、最終場面へ)

 

ぶじにわたりきったプティ。
そこで何を思ったか、彼はもう一度綱を渡って元のビルまで戻ろうとする。
おいおい、何をしてるんだ、もう成功したんだぜ、なんで危険を冒してもう一度わたるんだよ。

 

すごかったのはここから。
不法綱渡りを見つけた警官がビルの屋上へ駆けつけてくる。このままではプティは捕まってしまう。
と、なんと、彼は綱の上で180度の方向転換をしてみせる。
もう考えただけで失禁してしまいそうだぜ(笑)。
それにしても、ポールをああやって持ち変えるなんて、知らなかったなあ。

 

もちろんプティは逮捕されるのだが、言い渡された罰は温情に溢れたものだった。好かったね。
舞台となったWTCが今はもうない。
この物語とはまったく関係のないことではあるのだが、やはりなにか感慨を覚えてしまう。

 

「時間回廊の殺人」 (2018年)

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2018年 韓国 100分
監督:イム・デウン
出演:キム・ユンジン、オク・テギョン

オカルト? いえ、SFです。 ★★☆

 

1992年11月11日に夫が殺され、息子が行方不明となる事件が起きる。
現場にいた妻ミヒが犯人とされて懲役30年の有罪となる。
それから25年が経ち、仮釈放されたミヒは事件のあった屋敷へと戻る。
私は犯人じゃない、行方不明になった息子をなんとしてでも捜さなければ・・・。

 

前半は、これ、オカルト映画? それともホラー映画?と思わせる展開。
無人のはずの古い家には、誰かがいる気配がするのだ。
それに激しくドアを叩く音がしたり・・・。

 

もしタイトルで時間軸をいじっている物語だと思っていなかったら、(ホラー苦手の私は)観るのを止めていただろうなあ。
”時間回廊”というからには、タイムスリップものに違いない。
とすれば、後ろを幽霊のように過ぎた人影はあれだし、ドアの向こうにいたのはあれだよな。
これ、絶対にあんなふうになるぞ・・・。

 

ミヒを訪ねてきたのは、元受刑者のケアにあたるチェ神父
彼は25年前の事件の真相を解明しようと調べ始めると・・・・。
あれ、50年前にこの家では・・・。75年前にこの家では・・・。
全部11月11日の出来事だ・・・。

 

(以下、ネタバレ気味)

 

タイムスリップものであるのだが、この映画では現在と過去の一人の人物が同時に存在できるとしている。
始めの頃の人影はこういうことだったのだろうなと思っていたとおりだった。
チェ神父が実はある人物が成長した姿だったというオチは好かった。

 

しかし、この映画はツッコミどころ満載でもあった。
水死したはずの弟までも一瞬生きかえったように登場する。あれはどうして?
長男にあんなメモを託しても、それはなんの意味もなかっただろうに。
それに、過去に戻った現在のミヒは、過去の長男と一緒にどこへ行こうとした? 何か見落としている?

 

考えはじめればいろいろと気になる。
だいたいがこういったタイムスリップものはどこかしら気になるところが出てくる。
それでも面白い。
リメイク作品とのことだが、オリジナルはどんな風だったのだろう?

 

「ハンターキラー潜航せよ」 (2018年)

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2018年 アメリカ 122分
監督:ドノバン・マーシュ
出演:ジェラルド・バトラー、 ミカエル・ニクビスト、 ゲイリー・オールドマン

潜水艦もの+ネイビーシールズの活躍。 ★★★☆


潜水艦ものに外れなし、と私は思っている(苦笑)。
外界から遮断された空間での、刻一刻の判断、行動が物語を作っていく。
その閉塞感に支えられた緊張感がたまらん(笑)。

 

ロシア近海で米海軍原子力潜水艦が消息不明となる。
同時にロシア潜水艦も何者かの攻撃を受けて破壊される。
これは? いったい何が起こっている?

 

タイトルになっている“ハンターキラー”というのは、米国の攻撃型原子力潜水艦のこと。
4つの魚雷発射管と、12のトマホーク用発射管があるとのこと。
2隻の潜水艦事故、事件解明のために攻撃型原子力潜水艦アーカンソーが現場海域に出向く。
アーカンソー号の艦長ジョー(ジェラルド・バトラー)はたたき上げの人物だった。

 

実はロシア国内でクーデターが起こっていたのだ。
そしてロシア大統領も監禁されてしまい、全軍に命令を出す権限を狂信的な将軍が奪ったたことが判明する。
あの将軍に全権があると米ソは戦争に突入してしまうぞ。
なんとかロシア大統領を救出して戦争開始を防がなくては・・・。

 

この映画の特異だったところは、潜水艦の活躍と平行して、ネイビーシールズの地上部隊5人(ゲイリー・オールドマンら)の活躍も描いていたところ。
5人はパラシュート降下して、将軍が大統領を監禁している軍港へ潜入していく。
こうして海中と地上の両方が連携しての救出劇となっていく。
これは物語にダイナミックな変化をつけていて、大変に有効な展開だった。

 

アーカンソーは機雷とソナー網が張り巡らされたロシア海域に潜航していく。
ネイビーシールズは監視の厳重な施設に侵入していく。
どちらも緊張感いっぱいなのだが、地上は派手な銃撃戦アクションの動であり、水中は物音も立てられない息を凝らすような静。
この対比も好かった。

 

アーカンソー号は沈没していたロシア潜水艦から生存者数名を救出する。
ロシア側の艦長がミカエル・ニクヴィスト
絶体絶命の状況になったときに、彼の人柄が活きてくる。
ロシア駆逐艦がミサイルを迎撃したのは、ファランクスのような火器だったのだろうな。

 

ミカエル・ニクヴィストは2017年に亡くなっており、この映画が遺作とのこと。
好い俳優だったのに、残念。ご冥福をお祈りします。

 

事件が解決した最後に、ロシア潜水艦の艦長がジョーに「貴方のような剛胆な艦長には会ったことがない」という。
ジョーはそれに「いや、私の目の前にいる」と答える。好いねえ。

 

レッド・オクトーバーを追え!」や「クリムゾン・タイド」が好きだった人は絶対に気に入る映画。
漫画「沈黙の艦隊」が好きな人にも向いているだろうな。
お勧めの映画です。

 

「アイ・カム・ウイズ・ザ・レイン」 (2008年)

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2008年 フランス 114分
監督:トラン・アン・ユン
出演:ジョシュ・ハートネット、 木村拓哉、 イ・ビョンホン

 

宗教を主題としたドラマ。 ★★☆

 

サスペンス性の強いストーリーなのだが、実は宗教的な主題だった。
う~ん、微妙?・・・かな。

 

元刑事の私立探偵クライン(ジョシュ・ハートネット)は、大富豪から失踪した息子シタオ(木村拓哉)を探して連れ戻してくれとの依頼を受ける。
シタオの足どりを追ったクラインは、フィリピンで死んだはずのシタオが香港で生きているとの情報を得る。
その頃、香港のマフィアのボス、ス・ドンポ(イ・ビョンホン)も、拉致された恋人がシタオと一緒にいるということで、シタオを捜していた。

 

どうやらシタオは、キリストを体現する存在として描かれているようだ。
一度死んだ彼は再生し、今度は他人の痛みを自らが引き受けて助ける存在になっていたのだ。
彼は肉体的に痛み、苦しみながら他人を助けつづける。
彼のもとにやってくる苦しんでいる人は後を絶たない。シタオはどんどん自らが傷ついていく。

 

監督はベトナムの美しい風物を描いた「夏至」のトラン・アン・ユン監督。
村上春樹原作の「ノルウェイの森」も撮っていた。
しかし、今作はこれまでとはまったく違う感触の映画だった。

 

クラインが刑事だった頃に追っていた連続殺人鬼も登場してくる。
彼は死体を切り刻み、奇妙なオブジェを作りつづけている。
彼もまたキリストの受難を体現しようとしていたらしいのだが、よく判らなかった。

 

(最後のネタバレ)

 

嫉妬に駆られたドンポはシタオを撃ち殺すのだが、それでもなおシタオは死なない。
「私を怖れるな」と言うシタオの両手を、ドンポは釘で板に打ち付ける。
俯瞰すれば、それは十字架に打ち付けられたキリストの姿となっていた。
そして「あなたを赦す」と言うシタオに、「赦しなどいらない」と答えてドンポは泣きながら去る。
クラインは「”父”の元に連れて帰る」と言って、シタオを”十字架”から外す。

 

この映画はクリスチャンと、クリスチャン以外の宗教を信じる人と、私のように無宗教の人では、ずいぶんと感じるものが違うだろうと思える。
クラインは”堕天使”で、ドンポが”悪魔”をあらわしているとの解釈もあるようだ。
ふ~ん、それでもなお、私には伝わってくるものは判らないままだった。

 

「アニー・イン・ザ・ターミナル」 (2018年)

2018年 イギリス 96分
監督:ヴォーン・スタイン
出演:マーゴット・ロビー、 サイモン・ペッグ、 マイク・マイヤーズ

 

お洒落サスペンス? ★★

 

登場人物は5人だけ。
謎の女(マーゴット・ロビー)、不治の病を抱える国語教師のビル(サイモン・ペッグ)、足の不自由な老駅員クリントン、それに二人組の暗殺者アルフレッドとヴィンス。
映画の惹き文句は「映画史上最高の悪女が仕掛ける、極上のリベンジ・スリラー」。
はて、リベンジされるのは誰なんだ?

 

地下鉄の終着駅近くのダイナーの蓮っ葉なウェイトレスのアニー。
彼女は実はすご腕の暗殺者だったのだ。
そんなアニーはある人物への復讐を目論んでもいた。

 

ダイナーにやってきたビルが自殺願望を抱いていることを知ったアニーは、いろいろな自殺方法を示唆したりする。
またあにーは、競争相手の殺し屋二人組をなんとか亡き者にしてこの依頼業務を一手に引きうけることを企んでいたりする。

 

映画は雰囲気満点。
街は妖しげなネオンサインに彩られ、悪夢のような雰囲気を醸し出している。
アニーは、あるときは黒髪の殺し屋、あるときは金髪のウェイトレス、そして、ポール・ダンサーだったり、白衣の天使だったりもする。

 

しかし、残念なのことに見どころはそのマーゴット・ロビーの美しさを堪能することだけだった。
ストーリーはとってつけたようなもので、捻っているようで、その実あまり大したものではなかった。
まあ、時間つぶし程度のつもりでの鑑賞をお勧めします。

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