あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「ジャングル・クルーズ」 (2021年) インディ・ジョーンズ? ララ・クロフト? いや、ロック様だぜ

2021年 アメリカ 128分 
監督:ジャウム・コレット=セラ
出演:ドウェイン・ジョンソン、 エミリー・ブラント

楽しいアクション・アドベンチャー。 ★★☆

 

ドウェイン・ジョンソンはこのところ大活躍である。
ワイルド・スピード・シリーズで大人向けの大暴れをして、ジュマンジ・シリーズでは子供向けの大暴れ。
今昨はディズニーランドの人気アトラクション「ジャングルクルーズ」を映画化したもの。
これは単純に楽しめそう。

 

ストーリーは、アマゾンのジャングル奥深くに咲くという奇跡の花を巡る冒険アドベンチャーもの。
この奇跡の花は、手に入れた者が永遠の命を得られるというもの。
しかしその場所は恐ろしい伝説で彩られていたのだ。

 

その花を探しに行くのは、好奇心旺盛で行動力も半端でない博士リリー(エミリー・ブラント)。
彼女のお供をするのは頼りなさそうなお坊ちゃま気質の弟。ジャングルの生存競争などまず不向きこの上ない人物。
そして姉弟がアマゾン探検に雇ったクルーズツアーの船長がフランク(ウェイン・ジョンソン)。

 

おんぼろクルーズ船は、ジャングルの中を迷路のように分かれながら流れている河をさかのぼっていく。
アマゾン特有の珍しい動物や、野蛮な(と思われる 笑)先住民たちと遭遇しながらの旅は、たしかにディズニー・アトラクション風で楽しい。

 

あの「パイレーツ・オブ・カリビアン」は実際にカリブ海で撮影をしたとのこと。
しかし今作はなんと、ハワイでロケをした一部を除いて、ほとんどの映像を合成で作成したとのこと。
なに、全部グリーン・シートの前での演技か。すごい技術だな。
そのうちに映画の本物は人間だけで、あとは砂漠だろうが大都会だろうがすべてCGになるのかもしれない。。

 

それはさておき。
不老不死になれる花があるのなら、当然それを悪用しようとする悪役も登場する。
そう、無敵の軍隊を作って世界征服をもくろむドイツ帝国のヤアヒム王子が、奇跡の花を奪い取ろうとやってくる。
おんぼろクルーズ船なんかものともしない潜水艦でアマゾンの河に乗り込んでくるぜ。

 

さらには、そう、奇跡の花を探し求めて亡くなった探検隊のお化けまで出てくるのだ。
さすがにディズニーだけあって楽しさいや増しの設定。
フランクがどうしてクルーズ・ツアーをしていたのかといった隠された秘密も明かされたりして、なかなかひねった展開もある。

 

エミリー・ブラントはこういう映画でも無理なく頑張れるんだね。
家族で楽しめる健全娯楽映画のお手本でした。

 

 

「非常宣言」 (2022年) 汚染されたこの飛行機の運命は

2022年 韓国 141分
監督:ハン・ジェリム
出演:ソン・ガンホ、 イ・ビョンホン

航空機パニックもの。 ★★★☆

 

韓国映画は観る作品を慎重に選ばないと、ときにとんでもなくずし~んとやられることがある。
特に、人間の持つ悪意とか、狂気とか、執念とか、そんなものを描いた作品は、よほどこちらの精神状態が落ち着いているときでないと観るのは辛い。
この作品は一種のパニック映画であり、そういった点については問題がなかった。

 

バイオテロを画策した犯人が、ウイルスの入った容器を自分の体の中に埋め込んでホノルル行きの飛行機に乗り込む。
この犯人役が上手い。
ウイルス学の博士号を持っているような頭脳明晰な青年なのだが、怪しい、どこか精神がイッテしまっている感じを紛々とさせている。
自分と一緒に機内の人間はみんな死ぬんだぁ!

 

機内で次第に事件が露わになっていき、パニック状態に陥っていく様は好くできていた。
まず粉状にしたウイルスがまき散らされたトイレに入った男性が、急に苦しみだしてあっという間に死んでしまう。
その男性を介抱しようと接触したキャビン・アテンダントもあっという間に死んでいく。
えっ、これ、何? 何が起きたの?

 

主人公は、その飛行機に娘とともに乗り込んだジェヒョク(イ・ビョンホン)。
混乱する機内で犯人を追及するのだが、その犯人も自分が持ち込んだウイルスで死んでいく。
そしてもうひとりの主人公が、奥さんがその飛行機に乗った刑事イ・クノ(ソン・ガンホ)。
ウイルスの正体を突き止めようと、そしてその治療法を探そうと、地上で大活躍をする。

 

インターネットが発達した現在、犯人はバイオ・テロを起こす予告動画をアップしていた。
乗客たちは、自分たちがこのバイオ・テロの標的にされたことも、正体不明のウイルスの治療法が判らないことも、ネット情報で知ってしまう。
機内の様子を撮った映像を乗客がSNSにアップして、マスコミも大騒ぎをはじめる。
何も隠しておくことができないのが今のネット社会なのだな。

 

ここからが今作の真骨頂だった。
一刻も早く飛行機を着陸させて感染者の救助にあたらなければならないのだが、機内に蔓延しているのは治療法も判らない未知のウイルスである。
韓国の担当大臣は緊急着陸アメリカや日本に要請するのだが、自国内のウイルス汚染を恐れて両国はこれを拒否する。

 

誰だって病にかかった人を助けてやりたいと考える。
これは倫理的な人道に則った考え。誰もこれに異を唱える人はいないだろう。
しかし今の状況は通常ではない。自国民の安全を考えるのであれば、確かに着陸拒否という選択もあるだろう。
さあ、感染飛行機はどうすればいい? 韓国まで引き返せるか。

 

しかし操縦士は感染死してしまっていて、副操縦士が頑張っていたのだが、その彼も感染のために操縦ができなくなる。
さあ、操縦士不在飛行機はどうすればいい? このまま墜落してしまうのか。

 

この後の展開としては、機内ではイ・ビョンホンが、地上ではソン・ガンホが、それぞれに頑張る。
そしてやっと戻ってきた韓国で、国民は感染飛行機にどんな反応をしたのか・・・。

 

(以下、ネタバレ)

 

終盤、ああ、この情勢では仕方がないか、このまま自己犠牲の悲劇で終わるのか、と思いながら観ていた。
この過程を挟んだところが巧みだった。
これにより国民感情がひとつにまとまる結末を納得できるものにしていた。

 

かっての飛行機パニックものと言えば「エアポート」シリーズだった。
この映画はそこに、あの列車内感染パニックものの「新感染」を加味して、おまけに最後には「ハドソン河の奇跡」的なハラハラ感を付けていた。

 

大幅な2時間越えの長さだが、退屈する暇はなし。
人間的な葛藤のドラマ、それに少数への倫理観か多数への安全策かといった国家の判断なども盛り込んで深みを出していた。
韓国、エンタメ映画作りが上手いな。

 

「銀河」 (1968年) キリスト教はどうですか?

1968年 フランス 102分 
監督:ルイス・ブニュエル

宗教ロード・ムービー。 ★★

 

予備知識なしに観始めた人は、きっと途惑うに違いない。そんな映画。
浮浪者の風体の薄汚れた二人の男の、聖地へ向かう巡礼の旅を追ったロード・ムービーである。
そして、その途上では頻繁に宗教的な考察がおこなわれる。
宗教的なモチーフを具現化したと思われる珍妙な登場人物もいろいろとあらわれる。
なんだ、この映画は?

 

映画はパリからスペインの聖地サンチャゴ・デ・コンポステラを目指す二人を追う。
よくは知らないのだが、その地には聖者の遺体が葬ってあるらしい。
ヨーロッパの各地からその聖地向かう道は、かつては銀河をたどるようだと言われていたらしい。
で、映画タイトルも「銀河」。当然のことながら宇宙はまったくあらわれません(汗)。

 

その途上で二人は異教徒の群れに出会ったり、奇妙な宗教に誘われたりする。
酒場では警察署長が牧師にむかって、聖書に書いてある奇蹟は全部まやかしだと絡んだりする。
さまざまな宗教問答がくり広げられる。

 

ブニュエル監督は自らを無神論者といっていたとのこと。
少年時代に厳格なイエズス会の学校に通わされたことから、その反発もあって、キリスト教には複雑な思いを抱いていたようだ。

 

ということでこの映画は、肯定的、あるいは否定的、どちらでもよいのだがとにかくキリスト教に興味がない者には退屈な内容ともいえる。
キリスト教を茶化したりもしているようにみえるが、全面的に否定しているわけでもなさそうだ。
真摯な問題を扱っているのに、どこか滑稽感をともなった軽さがある。
そこがブニュエルらしさというところなのだろうか。

 

キリスト教という宗教がどんな顔を持っているのか、時間とか空間を無視した舞台設定で差し出される。
巡礼者二人はいわば狂言回しで、様々なエピソードが積み重ねられている。
そこには荘厳さとか敬虔さとかはまったくなく、ごちゃごちゃととりとめがない猥雑さがあふれている。

 

映画の終わり近くには、なんと普通の若者のようなキリストがあらわれたりする。
聖地の町にたどり着いた二人を誘惑する娼婦もあらわれる。
聖者の遺体には首がないのよ、だから訪れても意味がないわよ、それよりも私に赤ちゃんをさずけてちょうだい。
どうやら彼女はマグダラのマリアらしいのだ。

 

ブニュエル監督作品の根底にはキリスト教の問題意識が常に流れていると言われている。
それも単純にとらえるのではなく、諧謔的であったり、シュールレアリスティックであったり、一筋縄ではいかない描き方となっている。
それを楽しめる素養がないと、この作品などはなかなか評価しづらい。
私にはちょっと辛い映画だった。

 

しかしそんなことは別にすると、キリスト教という壮大なテーマをこんな風に自由自在に(自分の好き勝ってに)描いてしまう力業には感心してしまう。

 

同じ巡礼の旅を描いた作品に「サン・ジャックへの道」がある。
あちらはどんな描き方なのだろうか。

 

「ザ・ガンマン」 (2015年) お前よりもっと悪い奴は誰だ?

2015年 アメリカ 115分 
監督:ピエール・モレル
出演:ショーン・ペン、 ハビエル・バルデム、 ジャスミン・トリンカ

元傭兵の復讐アクション。 ★★☆

 

濃密なサスペンス映画「ミスティック・リバー」でアカデミー主演男優賞を受賞しているショーン・ペンである。
どこか沈鬱な表情の奥に深い感情の襞を感じさせるような、そんな性格俳優である。
その彼の、ばりばりのアクション映画である。
彼を起用して「96時間」の監督はどんな映画にした?

 

物語は8年前の国内情勢が不安定に揺れていたコンゴから始まる。
民間の軍事会社の傭兵だったジム(ショーン・ペン)は、指令で要人を暗殺し、そのまま恋人のアニー(ジャスミン・トリンカ)を残して国外へ逃亡する。
すべては指示役フェリックス(ハビエル・バルデム)の指図だった。

 

もうとにかく冒頭からハビエル・バルデムの悪者顔が圧倒的(顔もでかいし 笑)。
アニーに横恋慕している雰囲気も発散しまくり。
アニーを奪うために、お前、ジムに暗殺役を押しつけて国外へ追いやっただろ。
あくどい奴だな。なにせ「ノーカントリー」の殺人鬼だし、「007/スカイフォール」の悪役だし・・・(でも、ペネロッピーの旦那なんだよな)。

 

さて、時は流れて。
コンゴのNGO団体でひっそりと働いていたジムは、ある日何者かに襲われる。
これはプロ集団の仕業だな。誰が俺の命を狙ったんだ? 何が起きているんだ?
ジムはかつての仲間を訪ね歩き、敵の正体を探ろうとする。

 

あに図らんや、フェリックスは大会社の経営者になっていて、アニーと結婚していた。
ほらね、あいつ、悪賢い奴だったんだよ。

 

でも、本当に悪い奴、本当の黒幕はもっと上の方にいたのだ。
このあたりから本格的アクション映画となっていく。
舞台もロンドン、バルセロナジブラルタルと華々しく展開する。
何者かが差し向けた殺し屋たちを、仕掛けられていた爆薬を逆手にとってジムが反撃するところは見所だった。

 

クライマックスは闘牛場。
敵の黒幕は必死、なんとしてでもジムを殺して証拠の品を取り上げろ。
人質になっていたアニーも必死に敵の手から逃げ出す。
ショーン・ペンももういい年のはずだが、頑張っている。悲壮感がいい感じで漂っていた。

 

この映画、アラン・ドロンカトリーヌ・ドヌーブが共演した「最後の標的」のリメイクとのこと。
へえ、そんな映画があったんだ。知らなかったな。
今作より美男美女カップルだし(今作のヒーロー、ヒロインに失礼)、映画の雰囲気はずいぶん違っていたのではないだろうか。

 

インターポールも絡んできてジムの復讐譚は無事に終わる。

最後の場面のツッコミを。
ジムは一体何年の懲役を食らったのだろう? アニーとの再会が数日後のような雰囲気だったぜ。

 

「ファミリア」 (2022年) あの映画に似すぎていた・・・

2022年 日本 121分  
監督:成島出
出演:役所広司、 吉沢亮

現代日本の世情を背景にした人間ドラマ。 ★★☆

 

主人公は、山奥に窯を築き、独りで暮らしている焼き物職人の誠治(役所広司)。
奥さんは亡くなり、ひとり息子はエンジニアとして海外のプラントで働いている、という状況。
息子はアルジェリア人の妻を連れて帰省してくる
そしていざこざに巻き込まれたブラジル人青年が逃げてくる。

 

この映画は、現代の日本に存在する外国人問題を取り上げている。
息子の妻は、アルジェリアの紛争で両親を失った孤児である。
ブラジル人青年は虐げられている。この地方を牛耳っている反グレ集団に目を付けられ、麻薬の密売を強要されたり、恋人を奪われそうになったりする。

 

誠治はぶれない態度で息子を支え、ブラジル人青年に手を貸す。
寡黙でぶっきらぼうだが欲得もなく、ただひたすら焼き物を作っている、という人物像を役所広司が自然体で演じている。
上手いものだ。彼はどんな役でも自然体を感じさせてくれる。

 

また、共に施設で育った彼の幼なじみの警察官に佐藤浩市
二人が窯近くの椅子に座りお茶を飲みながら会話する場面がある。
何でもないような場面なのだが、この二人が並んで座っているだけで存在感があった。

 

ブラジル人に異様な憎しみを抱いて悪事を仕掛けてくる悪役半グレ役にMIYAVI。
本職はラッパーとのことだが、実に憎々しげで怪演だった。
彼にもファミリーを失っていたというそれなりの背景を持たせていたのはよかったのだが、ちょっと無理矢理感があった。
それに、娘が愛用していたピンク色の水筒はあざとすぎたのではないだろうか。

 

物語としては、いささかいろいろなものを詰め込みすぎた感があった。
息子の背景を広げすぎない方がすっきりしていたのではないだろうか。
しかしそうすると、次に述べる不満がさらに大きくなってしまうきらいはあるのだが。

 

そうなのだ、途中から、この展開はひょっとしたらクリント・イーストウッド監督の「グラントリノ」ではないか?と思っていた。
(映画の前半で、誠治さんは若い頃はずいぶん無茶なこともしていた、という話もあったし・・・ あれ、伏線だったよね)
そしてその通りになっていった。

ちょっとがっかり。せっかく役所広司が好い演技をしていたのに、あの映画と同じ展開にするのかよ。

 

最後、新しい家族の誕生、というのもとってつけたような感じだった。
せっかくの問題提起があったのに、活かせていなかったのは、残念だった。

 

「地中海殺人事件」 (1982年) 犯人はあなたですね

1982年 イギリス 117分 
監督:ガイ・ハミルトン
出演:ピーター・ユスティノフ、 ジェーン・バーキン、 マギー・スミス

王道の謎解きサスペンスもの。 ★★★☆

 

ご存じアガサ・クリスティ原作のエルキュール・ポアロもの。
多くのクリスティ映画の中でも名作の誉れが高いこの作品、そのように評価されるだけのことはあった。

 

舞台は地中海に浮かぶ絶壁だらけの孤島の、ただ1軒だけの高級リゾートホテル。
外部からは閉ざされた舞台で、役者はみんな最初からそろっている。
被害者も犯人も容疑者も、そして探偵も、この中にいるんですよ、途中から掟破りの人物が登場するなんてことはありませんよ、という王道の設定である。

 

ホテルの宿泊客たち、それにホテルの女性オーナー(マギー・スミス)も、みんなアリーナという女優に何らかのつながりを持っている。
このアリーナ、自分が花形で皆の注目を一身に集めていないと気が済まない派手な(高慢な)女性。
で、当然のことながら、みんな彼女に何らかの恨みを持っているわけだ。

 

地中海の明るい陽光、透明度の高い青い海。
そしてホテルから離れた人気のない浜辺で絞殺されたアリーナが発見される。
ホテルの女性オーナーに頼まれて、宿泊していたポアロピーター・ユスティノフ)が事件の謎を解明するぞ。
さあ、死亡推定時刻にみなさんはどこにいましたか?

 

容疑者は、ひと組の父娘、二組の夫婦、アリーナの暴露記事を書いたジャーナリスト、それにホテル・オーナー。
人間関係が錯綜しているのだが、見せ方が上手いので、観ている側は混乱することもない。

 

ポアロがひとりひとりにあたって証言を集めていく。ここが面白い。
ほほう、絵を描いていた奥さんがそのときに時間を尋ねたのですね。何時でした?
ああ、崖の上から手を振っているのが見えたのですね。それは正午の合図の大砲のどれぐらい前でした?
おや、読書している彼の姿が窓から見えていたのですか、それはそれは。

 

各自の証言をつなぎ合わせると、なんと容疑者全員にアリバイが成立してしまうのだ。
どうする、ポアロ・・・。
(もちろん、クリスティのことなので、列車のアレと同じトリックを使うなんてことはしませんよ。)

 

・・・誰かが犯人に騙されて決定的な思い込みをしているのです。
ほら、こういうことですよ。
犯人はあなたですね。

 

冒頭で、イギリスの荒地で婦人の死体が発見された事件を映していた。
これがどう関係するのかと思っていた(正直、途中までそんな事件のことは忘れていた 汗)。
最後にきちんと犯人に結びついてくる。
ポアロの茶色い脳細胞、恐るべし。

 

好い出来の映画だった。大満足(2回目の鑑賞だけれど)。
最近はケネス・プラナーが監督兼主演でクリスティものをリメイクしている。
しかし、この「地中海殺人事件」はよほど新しい視点を付け加えないと、リメイクしてもオリジナルにかなわないのではないかな。

 

「テンペスト」 (2010年) 良くも悪くも舞台劇の演出?

2010年 アメリカ 112分 
監督:ジュリー・テイモア
出演:ヘレン・ミラン、 フェリシティ・ジョーンズ、 ベン・ウィショー

シェークスピア劇の映画化。 ★☆

 

このシェークスピアの同名戯曲の映画化は、これまでに何度もおこなわれている。
主人公は、奸計によって国を追われて孤島へたどり着いた元ミラノ大公のプロスペロー(ヘレン・ミレン)と娘のミランダ(フェリシティ・ジョーンズ)。
妖精や怪物を操る力を持つプロスペローが、ナポリ王やミラノ大公の乗った船を難破させて復讐を果たすというもの。

 

元は男性だったプロスペロー役を女性に代えてはいるが、物語としてはよく知られているもの。
なので、それをどのように映画化したのか、ということになる。

 

以前にデレク・ジャーマン監督が1979年に撮った「テンペスト」を観たことがあった。
あちらは徹頭徹尾おどろおどろしい雰囲気のものだった。
わざと作り物らしくしていて、唐十郎状況劇場、あるいは土方巽暗黒舞踏を想わせるようなものだった。かなりの意欲作だった。

 

その30年後に作られたこちらは、当然ながらCG技術も進歩している。
しかし、どうもそれが上手く使われていない。物語世界が妙にせせこましいのだ。
あれ、なんだか薄っぺらいなあ・・・。

 

実は、こちらの監督のジュリー・テイモアはこの戯曲をオフ・ブロードウェイで上演した時の舞台演出をしている。
そのためか、画面構成をはじめとして、全体的にいかにも舞台を観るような感じなのだ。
お芝居を観に行った人ならそれで好いのだが、映画としてはなんとも中途半端なのだ。

 

終始、舞台劇を正面から固定カメラで撮りました(実際にはもっと動いてはいるのだが)、という雰囲気がある。
いささか退屈。
妖精がCG技術で空を飛んだりするのだが、どうも幼稚っぽい。
少し知能が薄弱なのでは、と思える怪物の行動もコミカルな線を狙っているのだろうが、浮いてしまっている。

 

ありゃ、こうして書いてくると、好いところがないなあ(汗)。

 

ヘレン・ミレンはさすがに風格があった。それにフェリシティ・ジョーンズは可愛かった。
折角の役者を使っているのになあ。
プロスペローに仕える(無理矢理働かされている)妖精役がどこかでみた顔だなと思っていた。
なんとベン・ウィショーだった。なんだ、007の秘密武器を作る前はこんな仕事をしていたのか(笑)

 

最終的にはプロスペローは仇であったミラノ大公を赦してしまう。
原作がそうなのでどうしようもないのだが、なんだかすっきりしない結末なのだ。
時代も変わっているのだし、現代的に大きく変更してみるというのもありだったのでは・・・。

 

ということで、私には全く駄目な映画でした。
この映画、原作を読んだり舞台を観たりした人が観たら、評価はどうだった?