あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。1800本余りの映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「ネバダ・スミス」 (1966年)

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1966年 アメリカ 132分
監督:ヘンリー・ハサウェイ
出演:スティーブ・マックィーン、 ブライアン・キース、 スザンヌ・プレシェット

復讐西部劇。 ★★☆

 

ポール・ニューマンを観たので、次にスティーブ・マックィーンを。
この映画は「大脱走」の3年後、「ブリット」の2年前のものである。
彼の最盛期の作品のひとつと言えるのではないだろうか。

 

白人の父とインディアンの母の間に生まれたマックス(スティーブ・マックィーン)は田舎でのびのびと育っていた。
しかしある日、両親は3人の殺し屋ジェシ、ビル、トムに殺されてしまう。
おのれっ、この仇は必ずとるぞ。マックスは1挺のライフルと共に3人に復讐するための旅に出る。

 

この映画のときマックィーンは36歳だったが、映画のなかでは初めは坊やと呼ばれている。
とてもそうは見えないのだが、両親が殺されたときにマックスは16歳だったという設定になっている。
ちょっと無理があったのではないかい(苦笑)。

 

それはさておき。
マックスは、町から町へと流れ歩く鉄砲鍛冶のジョナス(ブライアン・キース)にめぐり会う。
何も知らないただの少年だったマックスに、銃の扱い方から人生訓まで、様々なことを教えてくれる。
このジョナスが男気のある好人物だった。
マックスの恩人とでもいうべき人物で、彼との出会いがマックスのその後を作ってくれている。
よし、これでお前も一人前だ。後は自分でしっかりやれよ。

 

ある町で仇の1人ジェシを見つけたマックスは、激しい闘いの末に彼を倒す。
ナイフで最初のターゲットを倒すのはなかなかよかった。
マックスも大怪我を負ったのだが、彼は一人のインディアン娘に助けてもらう。
この映画は復讐譚なのだが、マックスが旅をしていろいろな人に出会い、次第に成長していく話でもあるのだ。

 

やがてマックスは、2人目の仇のビルが服役中であることを知る。
それなら俺も、とマックスは銀行強盗をたくらみわざと捕まる。
そして刑務所でビルに近づいたマックスは、彼ををそそのかして一緒に脱獄する。
だからといって、トンネルを掘ったり派手にオートバイで柵を乗り越えたりはしないよ(苦笑)。

 

毒蛇もいるような密林のなかの河を、静かに小舟で逃げるのである。
あたりの地理に詳しい娘(スザンヌ・プレシェット)が助けてくれる。

 

このように、マックスはやたらに女性にもてるのだ(笑)。
ここでも美女に助けられて逃げのびるのだが、その彼女は毒蛇にかまれて死んでしまうのだ。ありゃあ。

 

このように、物語はとても変化に富んだ展開をみせてくれる。
もう、人生のロード・ムービーである。

 

それからも何年かが経ち、ネバダ・スミスと呼ばれるようになっていたマックスは、遂に3人目の仇トムを探し当てる。
俺が誰だか判るか? そうだ、お前たちに酷い目にあわされたあの父母の息子だっ!
 

こうして、当初の思惑とは少し異なる形で過去の清算をマックスは終える。
そして、その気になったらまともな仕事を世話してやる、と彼に言ってくれていたジョナスを探しに行くのである。
おお、どこまでもジョナスは男気のある好い奴だな。

 

マックスは、3人の仇とはそれぞれ異なるシチュエーションで対峙する。
だから、まるで大河ドラマを見たかのように長大な物語を見た気分になる。
それに、マックスのこれからも明るいようで、さっぱりしたエンディングが好かった。

 

「ハスラー2」 (1986年)

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1986年 アメリカ 119分
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ポール・ニューマン、 トム・クルーズ

老いたハスラーの奮起。 ★★☆

 

ポール・ニューマンのビリヤード映画「ハスラー」の続編。
前作から25年後という設定で、映画自体も25年後に作られている。

 

かつては腕利きハスラーだったエディ(ポール・ニューマン)も今はもう50代となり、現役を離れていた。
若いハスラーの胴元になったり、酒のセールスをしたりする日々だったが、ある日、ビンセント(トム・クルーズ)という若いハスラーが目に留める。
彼の才能を見抜いたエディは、彼を最高のハスラーに育てたいという情熱に駆られる。

 

ハスラーというと、日本では単にビリヤードをする人という意味で使われているが、本来はビリヤードでギャンブルをする勝負師をさしているようだ。
この映画の”ハスラー"もお金を賭けてビリヤードをする人を指している。

 

だからビリヤード場でどうやって金を稼ぐかがハスラーにとっては眼目となる。
始めから強いことがバレてしまっては、だれも高い掛け金に乗ってこない。
適当に弱く見せかけておいて、最終的に高額な掛け金となったときに本領を発揮するわけだ。
エディは、人の心を操れるようにならなければ一流のハスラーではない、と言う。
さあ、どうやって相手に高い賭けに引っ張り込むかだ。そこでしっかり稼ごうぜ。

 

エディがビンセントを鍛えようとしたのは、衰えた自分の代わりとしての夢をみようとしたからだろう。
もうあの頃の自分じゃないという現役を引退した男の寂しさがそこにはあったわけだ。

 

初老にさしかかったポール・ニューマンが渋くて格好いい。
同時代のもうひとりの名優、スティーブ・マックィーンが野性的な魅力だったのに比べて、ニューマンは上品さが魅力的だった。
相方のトム・クルーズはまだまだ若造。青臭いなあ。
若さの特権である小生意気さや、自信過剰ぶりを上手く演じていた。

 

エディは中盤で黒人ハスラーにまんまとかもられてしまう。俺も焼きが回ったもんだぜ。
その黒人ハスラーは、おや、フォレスト・ウィティカーではないか。
この映画のころはまだそれほどの俳優ではなかったようで、クレジットでも後の方のその他大勢といった感じで表示されていた。
しかしこの頃から、どこか憎めない味のある演技をしていた。

 

しかし、プロたるものキューにはやはりこだわるのだということをあらためて知った。
若い頃に少しだけビリヤードをしていたのだが、店に置いてあるキューはどれもしなっていたものなあ。
あんなに歪んだキューでは正確なショットは出来ないわけだ。ま、当たり前か。

 

それはさておき。
観るまでは、この映画はエディによってビンセントが一流はスラーに育っていく物語だと思っていた。
まったく違う展開だった。
後半になると、エディ自身のハスラー魂に火がついてしまうのである。
おお、復活したレジェンド・エディも頑張るではないか。
ビリヤード大会のトーナメント戦で、エディもビンセントも勝ち進んでいくぞ。
これは、二人は準決勝で当たるぞ。どちらが勝つんだ?

 

(以下、ネタバレ)

 

クライマックスはいよいよ2人の師弟対決かと思っていた。
そして見事にエディが勝ったのだった・・・と思っていたのだったが・・・。
まさかのビンセントの手抜き、そしてそれを潔しとしないエディの決勝戦棄権・・・。
まことに渋い展開だった。

 

ポール・ニューマンは本作でアカデミー賞主演男優賞を獲っている。
決して悪い映画ではないのだが、個人的にはこの作品よりも主演賞にふさわしいニューマンの作品があったのではないかと思ってしまった。

 

「フライド・グリーン・トマト」 (1991年)

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1991年 アメリカ 130分
監督:ジョン・アブネット
出演:メアリー・スチュアート・マスターソン、 メアリー・ルイーズ・パーカー、 キャシー・ベイツ
    ジェシカ・タンディ

女の友情物語。 ★★★☆

 

「ジュリーとジュリエット」に続いて女性ターゲットの映画を。
この作品も2つの年代の物語が交互に描かれていくという構成になっている。

 

肥満気味の主婦エヴリン(キャシー・ベイツ)は、自分勝手な夫との生活にうんざりしていた。
そんな彼女は見舞いに訪れた病院で老婦人ニニー(ジェシカ・タンディ)と知り合う。
暇をもてあましていたニニーは、エヴリンに友だちの話だとして思い出話をきかせる。
こうして映画は、現代のエヴリンと二ニーの二人と、ニニーが語る1930年代の物語を交互に映していく。

 

未だ閉鎖的だった1930年代の南部の田舎町では、人種差別や女性蔑視が堂々とおこなわれていたようだ。
そんな町で育ったイジーメアリー・スチュアート・マスターソン)は男勝りで粗暴。
問題を起こしては周囲から呆れられるような女の子だった。
ジーが大好きだった兄バディには恋人がいて、それがルース(メアリー・ルイーズ・パーカー)。しかしバディは不慮の事故死をしてしまう。
ルースは、イジーとは正反対で淑やかで引っ込み思案の女性だった。

 

仲良く少女時代を過ごしたイジーとルースだったが、やがてルースはフランクという男と結婚して去っていく。
何年かしてイジーが訪ねてみると、ルースはフランクのDVに怯える毎日を送っていた。
おのれ、フランクめ、私の大事なルースになんてことをするのよっ!

 

さて現代。
家庭を省みない夫にうんざりしていたエヴリンは、ニニーの語る話に夢中になっていく。
ニニーが語ってくれるイジーの自分を貫く生き方に感銘を受けて、エヴリンは遠慮のし通しだった生き方を変えようとし始める。
キャシー・ベイツが上手い。
太った更年期おばさんだったエヴリンが、私はもうホラー映画の主人公じゃないわよ、と叫ぶようになる(笑)。

 

身ごもっていたルースをフランクのもとから助け出したイジーは、二人で「駅前カフェ」を始める。
そこの名物料理が、まだ青いトマトを揚げたもの。要するに、フライド・グリーン・トマトである。
酷い差別を受けていた黒人にも開放された店で、繁盛をしていた。
しかし、フランクにそそのかされた黒人差別集団KKKの襲撃を受けたりもするのだ。

 

黒人野郎が俺ら白人と同じ場所に出入りするなんてとんでもないことだっ!
やはりこの頃のアメリカ南部というのは黒人差別が大っぴらにおこなわれ、なかんずく、それを正義だと叫ぶような状況だったのだ。
そんな中でイジーとルースは周囲からの非難にも負けずに、黒人にも解放した店をやっていたのだ。
えらい。

 

やがてフランクはルースが生んだ子どもを奪い取ろうとして侵入してくる。
俺の子どもを返せっ! 邪魔をすると容赦しないぞっ!
しかし、その夜以来、フランクは行方不明になったのだ。
フランクは、いったいどうなったのだ?

 

映画の中で「トゥワンダ」という言葉が出てくる。
どんな意味なのだろうと思っていたのだが、どうやら南部の黒人たちの挨拶言葉で、「やるときゃやるよ!」ということらしかった。

 

死体は見つからないのだが、殺されてるであろうフランクの殺人容疑でイジーは裁判にかけられてしまう。
状況証拠はそろっている。
誰がみても疑いは濃厚。映画を観ている我々の疑いも同じ・・・。
さてどうなる?

 

映画の最後、ニニーの語っていたイジーの物語と、エヴリンの物語が重なりあう。
エヴリンはニニーと一緒に新しい人生に踏みだすことにしたのだ。
ほっとするような、好い結末だった。

 

映画を観た感じでは、イジーは、どう考えてもニニーその人に思えた。
そう考えれば映画全体のまとまりも大変によい。
しかし原作小説では、イジーとニニーはまったく別人物として書かれているとのこと。
おそらく監督は、映画では二人が同一人物に思えるように意図的に物語を構築したのだろう。
また映画では曖昧にされていたが、原作ではイジーとルースは同性愛の関係にあったとされていたとのこと。

 

今は廃線となった鉄道の駅前に建っていたカフェは、荒れ果てた状態となって残っている。
映画の冒頭の情景が、最後の情景と上手くリンクしていた。
雄々しい女性の生き方を映して、大変に面白いものだった。
(しかし、本当にバーベキュー、した?)
キャシー・ベイツジェシカ・タンディという二人の名優の演技も堪能できる映画だった。

 

 

「ジュリー&ジュリアン」 (2009年)

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2009年 アメリカ 123分
監督:ノーラ・エフロン
出演:メリル・ストリープ、 エイミー・アダムス、 スタンリー・トゥッチ

ほのぼの女性映画。 ★★☆

 

「めぐり逢えたら」「ユー・ガット・メール」のノーラ・エフロン脚本/監督の作品。
この監督は、女性には間違いなく受けるものを作る人というイメージがある。
本作も、50年前の遅咲きの料理家と、人生に悩む料理好きな現代の主婦が、レシピを通じて繋がっていく様を温かく描いている。

 

1949年、夫の転勤でパリで暮らすことになったジュリア(メリル・ストリープ)。
退屈だわ、何かしたいわ、そうだ、料理教室に通ってフランス料理を習いましょ。
名門料理学校に通い、その天衣無縫ぶりで作る楽しみ、食べる楽しみを追求していく。

 

ジュリアはちょっと変わった人物として描かれている。
思い込みも激しいようで、こうと思ったら他人のことなどあまり考えずに好きなことをしてしまう、そんな人物像。
そんなジュリアを夫(スタンリー・トゥッチ)は無条件に受け入れて愛してくれている。
ジュリアがあったのは、ひとえにこの献身的な夫がいてこそだった気がする。

 

さてその50年後、現代のニューヨークで鬱屈した生活を送っていたOLのジュリー(エイミー・アダムス)。
私も何か気分転換をしなくちゃ。そうだ、料理でもしてみましょ。
ということで、思いつきでジュリアが出版した料理本のレシピを作ってみることにする。
その本には524ものレシピが載っていたのだが、よし、このレシピを1年間で全部作ってみせるわ。
それを毎日ブログにアップしていくわよ。

 

エイミー・アダムスが可愛くてチャーミング。
時おりくじけそうになる彼女を、こちらも理解ある夫が支えてくれる。
そりゃ、こんな可愛い奥さんが毎日美味しい料理を作ってくれるのだったら、協力もするよな。

 

物語はジュリアが天真爛漫に料理を作り、念願のレシピ本を出版するまでと、50年後にそのレシピ本を参考にして料理を作るジュリーを、交互に描いていく。
単調にならずに物語がすすみ、これは上手いやり方だった。

 

自分だけの挑戦ということで始めたジュリア料理全調理だったのだが、やがてジュリーのブログは評判となっていく。
新聞に載るわ、TVのインタビューを受けるわ、の騒ぎとなっていく。
あら、あら、私は人気者になってしまったわ。やってみて好かった。

 

周りの友人たちも応援してくれて、1年後の最後の料理はみんなの拍手で迎えられる。
そんな友人の一人に、あれ、この女優さんはどこかで観た顔だなあ。
ああ、そうだ、「24」のクロエ・オブライエン役の人だ。あれは好い役どころだったので、よく覚えているぞ。

 

この映画は実話に基づいているとのこと。
実在のジュリアは、レシピ本と同時にテレビの料理番組の開祖でもあったという。
フランス料理の普及、そして料理人の育成に尽力したことで大統領自由勲章やレジオン・ドヌール勲章をもらっているとのこと。すごいな。

 

You tube で「Julia Child」で検索すると、ジュリア本人の実際の料理番組を観ることが出来る。
驚いたのは、メリル・ストリープがいかに大女優であるかということ。
その話し方、動作、雰囲気、どれをとっても本人そっくりなのだ。
なるほど、映画のなかでの(ちょっとヘンテコナ)あの癖のあるしゃべり方は、ジュリア本人風だったのだな。

 

そのジュリアがジュリーについて尋ねられて、不愉快だとのコメントを言ったというエピソードがあった。
実際にそう言ったのだろうが、その真意は何だったのだろう? ちょっと疑問として残った。

 

女性が観れば、ほのぼの感できっと満足すると思います。
そして、いつも優しく励ましてくれていたジュリーとジュリアの夫に比べて我が家の夫は・・・と思うかもしれません(苦笑)。

 

「セブン・リミット・キルズ」 (2020年)

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2020年 ポーランド 126分
監督:ブワディスワフ・パシコフスキ
出演:ボグスワフ・リンダ

初老男の渋いリベンジ・アクション。 ★★☆

 

ポーランド映画といえば、アンジェイ・ワイダ監督とかイエジー・カヴァレロヴィチ監督とか、政治映画や文芸映画のイメージだった。
これは珍しくアクションものである。
しかし、先入観があるのかもしれないのだが、映画全体に暗く陰鬱な雰囲気が漂っている。

 

かつて治安部隊の指揮官だったフランツが長い刑期を終えて出所してくる。
旧い友人であるモラヴィツを訪ねるのだが、その矢先に彼の息子トメクが殺される事件が起きた。
事件を知ったフランツは、友人モラヴィッツのために犯人を探し出そうとする。

 

元警官で正義感の強いヴィトコフスキが協力してくれて、ついに事件の真相を突き止めるフランツ。
なんと事件には汚職警官、マフィアが絡んでいた。
フランツは事件に関わる全員皆殺しを決意する。
よしモラヴィッツよ、お前の息子の敵は必ずとってやるぞ。

 

しかしフランツよ、お前はどうしてそんな危険なことをしてくれるんだ?
俺の命を有意義に使うためだよ・・・。

 

実は、フランツは出所してきたときに騙されて毒を飲まされていたのだ。
その毒によってフランツは7日間しか生きられない運命にあったのだ。
そんな毒があるのかよ、毒が効くその直前まで普通に動き回れるなんて、そんなことがあるのかよ。
・・・といったツッコミはなし。これは、もうそういう映画の設定なのだよ(苦笑)。

 

死を覚悟した、というか、死を怖れなくなった者ほど強いものはない。
どうせ死ぬんだからなんだって出来るぜ、イェ~イ、てなものである。

 

ということで、それまでは初老男の渋くも地味めなサスペンスものだったのだが、最後になってド派手な展開となる。
カーアクションはあるわ、激しい銃撃戦はあるわ、そして建物の爆破場面と続く。
これでもかと、いやあ、急にノンストップ・アクション映画になったなあ。

 

東欧の独得の歴史を感じさせるところも面白かった。
お前、警官時代に酷いことをしただろ。いや、あれは共産主義下だったからだよ・・・。
全体に重く暗い雰囲気もあって、それも悪くなかった。
繰り返しになるが、その暗い雰囲気も尻上がりに派手なアクションものになっていくよ。

 

しかし、この内容で2時間超はちょっと長かった。全体的にはやはり地味な印象だし・・・。
我が国では未公開映画だったはずです。
もう少し無駄なところを省けば好かったのに。

 

「アナ ANNA」 (2019年)

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2019年 フランス 119分
監督:リュック・ベッソン
出演:サッシャ・ルス、 ルーク・エバンス、 ヘレン・ミレン

美しき女性諜報員。 ★★★☆

 

リュック・ベッソン監督である。女性諜報員ものである。
とくれば、また「ニキータ」の焼き直しか、と思ってしまうところ。
実際、麻薬中毒でチンピラの情婦というすさんだ生活を送っていた女性がKGBで訓練を受けて一流の殺し屋になっていく、という筋書きは、おお「ニキータ」そのものではないか・・・。
しかし、それにもかかわらず、本作は面白く観ることが出来た。

 

モスクワの露店で売り子をしていたアナ(サッシャ・ルス)は、パリのモデル事務所にスカウトされる。
そして瞬く間にトップモデルとなった彼女は、下心丸出しの事務所の経営者に誘われて高級ホテルへ。
彼の裏の顔が武器商人だったという事を突き止めたとたんに、アナは間髪を入れず彼を撃ち殺す。
おお、きれいな薔薇には棘がある、美女が近寄ってきたときは私も気をつけなくては(笑)。

 

実は、アナの正体はKGBによって造り上げられた殺し屋だった。
彼女が勧誘されてモデルになるのも、敵がそうするようにKGBが仕向けた罠だったのだ。
なるほど。

 

アナに指令を出すKGBの幹部オルガ役にヘレン・ミレン
こういった冷酷無比な女幹部というと、「レッド・スパロー」でジェニファー・ローレンスに過酷な指令を出していた教官シャーロット・ランプリングを思いうかべる。
ヘレン・ミレンもランプリングも、どちらも怖ろしい迫力だった。

 

そしてそのモデル事務所経営者の暗殺は、オルガによって課された最終テストだった。
この暗殺指令が実はテストで、わざと逃げ道を困難にしておく、などというところも「ニキータ」を踏襲していた。
アナが指導教官と恋仲になるところも、そして一般生活に溶けこんでいるときに恋人を作るところもニキータと同じだった。
でも、この映画、面白いぜ。

 

ヒロイン役のサッシャ・ルスはロシアのスーパー・モデルだったとのこと。
ベッソン監督はモデル出身が好きなようで、「アンジェラ」や「アデル」のヒロインもそうだった。
細身、長身、金髪といったところが好みなのだろうか。

 

スパイものなのでいろいろな行動には裏がある。策略と陰謀が交差する。
で、事がおきると、その数ヶ月前に遡っての計画を説明してくれる。
なるほど、そういうことになっていたのか。
始めに、アナに騙されたり欺かれる敵を見せておくわけだが、敵と一緒に観客も驚かされるわけだ。
で、ちゃんとそれに至る裏も説明してくれる。なるほど、そういうことだったのか。
これは物語の流れに変化も入れられるし、判りやすくて親切な作り方だった。

 

しかし、その策略や陰謀は次第に複雑に絡みあってくる。
KGBとCIA、この二大組織の騙し合いにアナも巻き込まれて行く。
おい、我々に協力しないと命はないぞ、あちらを裏切って二重スパイになれ。
おい、まさか我々を裏切ってはいないだろうな、あいつらは何をしようとしたのだ?
さあ、アナよ、どうする?

 

(以下、ネタバレ)

 

最終近く、KGBとCIAの両方の彼氏を公園に呼び出したアナ。
その背後には重火器で武装した双方の戦闘員が潜んでいる。ちょっとしたことで激しい銃撃戦が始まりかねない状況。
はて、アナはどうするつもりだ? あれ、両方の彼にキスをしているぞ。

 

美しい女性にはやはり棘があるのだよ。
男は美しい女性にはコロリと手懐けられてしまう愚かな生きものなのだよ。

 

リュック・ベッソン、久しぶりの傑作エンタメ映画に仕上がっていました。

 

「リーサル・ストーム」 (2020年)

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2020年 アメリカ 100分
監督:マイケル・ポーリッシュ
出演:エミール・ハーシュ、 メル・ギブソン、 ケイト・ボスワース

クライム・アクション。 ★★☆

 

”リーサル”とくればメル・ギブソン
これは”沈黙の”とくれば無敵オヤジのスティーブン・セガールと同じような冠といっていいだろう。
しかし、この映画はまったくメル・ギブソンのものではない。
タイトルも役割も観客集めに使われたようなもの(汗)。

 

巨大ハリケーンが、プエルトリコの街に近づいていた。
警官のコルディーロ(エミール・ハーシュ)は相棒の女子警官と一緒に、避難を拒んでいる元警察署長の頑固老人レイ(メル・ギブソン)の説得のためにマンションを訪れる。
レイは看護師の娘と一緒に暮らしていたのだが、そのマンションにはまだ他にも居残っている住人がいた。

 

タイトルからは猛烈ハリケーンのパニック映画かと思ってしまう。
そうではなかった。ハリケーンは単に舞台となるマンションを孤立させるためだけのものだった。
マンションからは逃げ出すことは出来ず、応援が駆けつけることも出来ない、という状況が作られる。

 

実はマンションに居残っていた住人の老ドイツ人は高価な絵画を隠し持っていたのだ。
それをかぎつけた武装強盗団が襲ってくる。
孤立したマンションの中でコルディーロと、身体にガタがきているレイが強盗団相手に必死に戦う、というのがあらすじ。
(あの老人は元ナチスで、絵画をこっそりと隠匿していたのだろうか?)

 

そして居残り住民がもう一人。
何やら奥の部屋にペットを飼っているというのだが、そのペットの餌は何と10kgの生肉なのだ。
どんなペットや?と思うところだが、意地悪をして映してはくれない。仕方がない、想像するか・・・。

 

さて、武装強盗団は銃を乱射し、高価絵画を隠し持っている部屋を突き止めようとする。
レイたちも防弾チョッキを着込んだりして応戦する。
マンション内には、武器マニアが集めた火器が揃っている部屋とか、医療関係者の薬が揃っている部屋とかがちゃんとある。
敵に見つからないように、その部屋までたどり着けるか?

 

ちょっとゲーム感覚のようなところもある。
そして、例の危険な生肉大好きペットだが、警察嫌いの飼い主は警官の服装を見たら襲いかかれとしつけている。
これは伏線だな。最後にきっとこれが活きてくるぞ。

 

マンションから逃げ出すためにコルディーロの制服に着替えた強盗団のボスは、・・・ほらね・・・。
そして観た人は誰でも疑問に思うはずなのだが、制服のままだった相棒の女性警官はどうなった?
エンディングでは元気に笑っていたけど、どうやって大丈夫だった?(苦笑)

 

ハリケーンが過ぎ去り青空が戻ってきて、激しかった映画は終わっていく。
もうそれだけを楽しむB級映画だと腹をくくって観れば、それなりに面白い。
退屈するようなこともありません。
でも、高い入場料を払ってわざわざ映画館へは行かなくてよいです。DVDを待ちましょう。