あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「希望のかなた」 (2017年)

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2017年 フィンランド 98分
監督:アキ・カウリスマキ

難民三部作のひとつ。 ★★★☆

 

難民・移民問題、そして社会の底辺の弱い者同士の助け合いが描かれている。
カウリスマキ監督特有の、無口で真面目で、それでいてどこか滑稽さもただよう作品だった。

 

内戦の地シリアからヘルシンキへ密航(?)してきた青年カーリド。
長旅のあいだにたった一人の家族の妹とも離ればなれになってしまった。
そんな彼の望みは、その妹をなんとかしてフィンランドへ呼び寄せることだった。

 

アメリカではトランプ大統領が難民に対して冷たい処遇をとり続けている。
ヨーロッパの国々では、難民政策は国によって微妙に違うようだ。
たしかに大勢の難民がやってきた国は、自分の国の人たちの生活維持とどのようにバランスを取っていくか、難しい問題もあるのだろうと思う。
しかし、ことは命に関わることだしなあ。

 

カーリドの難民申請は却下されて、彼は収容された施設から脱走する。
そして、レストラン・オーナーのヴィクストロムに出会い、彼の店で働かせてもらえることになる。

 

このヴィクストロムがまた淡々とした、ちょっと捉えどころのないような人物。
無愛想な、人付き合いの悪そうな雰囲気なのだが、しかし実は人間味には溢れているのだ。
彼はアルコール中毒の妻と別れて、賭けでぼろ儲けをした大金でレストランを始めたのだ。
居抜きで雇った2人の従業員も、真面目なのだか惚けているだのかよく判らない。しかし、根っからの善人なのだ。
所々で響く音楽はとても素敵だった。

 

ヴィクストロムたちはレストランを流行らせようと、なんと日本食レストランに改装する場面が出てくる。
で、妙ちくりんな寿司を作り始める。
わさびの量なんて半端じゃないぞ。
こんなとんでもないずっこけを、大真面目にやっている雰囲気があるところがカウリスマキ監督らしい。

 

ゆっくりとした寡黙で地味な映画。
華々しいことは何も描かれない。暴力場面ですらひたすら静か。
それなのに飽きることはない。このゆっくりさ、静かさが心地よい。
自分たちも貧しく弱い存在なのに、それでも弱っている人に助けの手をさしのべる。
そういう人たちが描かれている。

 

最後、カーリドはネオナチに刺された体で浜辺で横たわる。
邦題は「希望のかなた」だが、英語題をそのまま訳すと「希望の反対側」となる。
”かなた”には希望があるのだろうか、それとも、希望はどこまでもかなたにあっていつまでも届かないものなのだろうか。

 

ベルリン映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞しています。


 

 

「ダーク・フェニックス」 (2019年)

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2019年 アメリカ 114分
監督:サイモン・キンバーグ
出演:ソフィ・ターナー、 ジェームズ・マカボイ、 マイケル・ファスベンダー
    ジェニファー・ローレンス、 ジェシカ・チャスティン

シリーズ最終章? ★★★

 

X-MEN」シリーズは何のかんのと言いいながらも、かなりの数を観てきた。
(ただしウルヴァリンに関するスピン・オフ作品は観ていない)
で、今作がこのシリーズの最終章とのこと。どうなるのだろうか?

 

X-MENのメンバーで誰が一番強いのだろう?とは、みんなが一度は考えるのではないだろうか。
マグニートーサイクロプスもすごいが、やはり最強はジーン・グレイだろう。

 

そんな最強のジーンが、宇宙空間での事故で悪人格の”ダーク・フェニックス”になってしまう、というのが今作。
おいおい、ジーンが悪役になってしまったら誰が阻止できるんだ?

 

このシリーズも出演陣がかなり交代している。
以前の俳優陣に愛着を持っている者としてはそのあたりはちょっと寂しい。
しかし、長い期間にわたって作られているので、俳優も歳をとるし、やむを得ないのだろうなあ。
そうはいっても、ジーンは、やっぱり最初に登場したファムケ・ヤンセンが好かった。
ミスティークもレベッカ・ローミンの方がなじみ深いし、ストームはやはりハル・ベリーだよなあ。

 

今回のジーン役のソフィー・ターナーが、予想以上にがっしり体型だったことには驚いた。
肩幅などもかなりありそう。何か体を鍛えるようなことをしていた?
前作の「アポカリプス」でも彼女が演じていたはずだが、あまり覚えていなかった(汗)。

 

X=MENでは世間から疎まれるマイノリティの問題が底部にはある。
今作でも、プロフェッサーXがよかれと思ってやってきたことが、果たして本人にはどうだったのか、といったことも問題となっていた。

 

(以下、ネタバレ)

 

当然、凄まじい闘いの場面があり、その迫力は満点だった。
ミスティーク(ジェニファー・ジョーンズ)が死んでしまったのには驚いた。
そしてジーン自身も真の悪役を倒すために自らの命を捧げて、物語は終わっていく。
そうか、これでX-MENも終わっていくのか。

 

アベンジャーズ」も区切りが付いて、あの「スター・ウォーズ」もこの秋には終わっていくことになっている。
永年続いたシリーズものが終わっていくのは、やはり寂しい。
「007」は主役交代でまだ頑張ってくれるようだ。
イーサン・ハント・トムはいつまで頑張ってくれる?

 

「アラジン」 (2019年)

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2019年 アメリカ 128分
監督:ガイ・リッチー
出演:メナ・マスード、 ナオミ・スコット、 ウィル・スミス

ミュージカ・ファンタジー。 ★★★

 

ミュージカルは苦手なのだが、あまりにも評判がよかったアニメの実写版ということで鑑賞。(アニメ版は未見)
もちろんこの実写版の評価も高いようだ。

 

砂漠の王国アグラバーで、貧しいが楽しく暮らしていたアラジン(メナ・マスード)。
相棒は猿のアブー。
そんなアラジンは市場で泥棒の疑いを掛けられた若い女性を助ける。
なんと彼女はお忍びで市場に来ていた王女ジャスミン(ナオミ・スコット)だったのだ。

 

もちろん二人は恋に落ちる。けれども身分違いの二人なのだ。
王女の結婚相手は、やはり王子でないといけないのだ。
身分違いの若者の恋、そして権力を嵩にきて王女と結婚して王国を乗っ取ろうと企む悪大臣が登場する。
うむ、役者は揃った。

 

で、そこに登場してくるのが魔法のランプから青い巨人のジーニー(ウィル・スミス)。
それに意志を持っているかのように飛びまわってアラジンを助けてくれる空飛ぶ絨毯(名前はない?)

 

アラブの街は喧噪に満ちていて楽しいし、流れる楽曲も好いものが多かった。
それにウィル・スミスがなんとも好かった。
不思議な力を持っているのだが、その一方でランプに閉じこめられていて、ご主人様の3つの願いを聞き届けなくてはならない。
そんな青い巨人を、お人好しのユーモアの持ち主でありながら、自由を奪われているという不幸も背負った者として、上手く演じていた。

 

物語は(もちろん、おとぎ話だから)正義が勝って、悪が滅びる。
それも、おお、ジーニーもそうなったかと、思わず頬がゆるむ結末へと続いていた。

 

エンドクレジットの時に、なんと、群舞の場面がおまけに付いていた。
それまでの出演者がみんな出てきて、ちょっとコミカルな軽快な踊りを見せてくれる。
そう、これはインド映画の乗りだぁ! 嬉しくなるよなあ。

 

甘~い映画だった。
どれぐらい甘いかというと、メープル・シロップをふんだんにかけたパンケーキにカスタード・クリームを乗せたぐらい。
家族で安心して楽しめる作品になっているところは、さすがにディズニーでした。

 

「マッド・ダディ」 (2017年)

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2017年 アメリカ 85分
監督:ブライアン・テイラー
出演:ニコラス・ケイジ

パニック・ホラー。 ★☆

 

ニコラス・ケイジ主演ということで、またコケているのだはないだろうか、と不安と興味半々で鑑賞。
で結果は、なんだ、こりゃ?
物語は単純明快。ある日突然、すべての親がわが子を殺そうとし始める、というものなのだが・・・。

 

2人の子どもにも恵まれ、平凡な結婚生活を送っているブレント(ニコラス・ケイジ)。
ある日、TVニュースで親たちが自分の子どもを殺していることを知る。
我が子は大丈夫かと心配して慌てて帰宅するブレント。
しかし無事だった子どもたちに会った途端に、ブレントはなぜか彼らを殺したいという衝動にかられる。

 

どの親も狂ったようにわが子を殺そうとする。そして殺す。
何故そんな事態になったのかは判らないまま。
そんなことはどうでもいいのだ、とにかく親はわが子を殺さなくてはならないのだ。
タイトルは”ダディ”だが、もちろん母親もわが子を殺そうと必死になる。
冷めかけた夫婦仲も、一緒にわが子を殺そうとすることで協力し合ったりし始める。

 

地下室に逃げ込んだ2人の子どもを、ブレント夫妻は万能のこぎりや包丁をかまえて襲おうとする。
反抗的だったクソ生意気な娘はどうする?

 

考えてみれば、中年も過ぎた親には現実は夢見た理想の人生ではない。
子供は自分の自由を束縛するものだし、反抗期の不良娘には腹が立つし、悪戯っ子は煩わしい。
そんな鬱屈した気持ちが極端な形で現れるとすれば、子どもを殺してしまえっ!という衝動に繋がるのだろうか。

 

TVニュースを見て心配したブレントの両親が訪問してくる。
と思ったら、その両親はブレントを見た途端に彼を殺そうとする。
なるほど、理屈から言えばそういうことになるよなあ。

 

さて、ここまでハチャメチャになって、どんな風に収めるのかと思っていたら・・・丸投げだった・・・(苦笑)。
まあ、内容のどぎつさで観てしまいますが、お勧めはしません(汗)。





「スノウ・ロワイヤル」 (2019年)

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2019年 アメリカ 119分
監督:ハンス・ペテル・モラン
出演:リーアム・ニーソン

怒りの父親キレル! ★★☆

 

ポスターに大きく記された惹き文句は、”キレル”。
その通りにリーアム・パパがキレまくるのである。
ノルウェー映画「怒りの雪上車」のリメイクとのこと。

 

主人公は真面目に除雪作業をするネルズ(リーアム・ニーソン)。
その勤勉で実直な人柄は町から模範市民として表彰を受けるほど。
しかし、息子が薬物の過剰摂取で死んでしまう。
うちの息子に限って薬物だなんて、そんな馬鹿なことがあるものか。何かの間違いだっ!

 

こうしてひとりで息子の死について調べ始めるネルズ。
すると、地元の麻薬王バイキング率いるギャング組織が、裏切り者と間違えて息子を殺したことが判ってくる。
おのれ、この恨みはらさでおくものか。

 

ここからのネルズの豹変ぶりがすごい。キレルのである(汗)。
まずは、ギャング組織の一番下っ端の奴を痛めつけて殺してしまう。
死体は雪に閉ざされた激流に放り込んでしまえば判らねえよ。おいおい。

 

ネルズが飄々と作業をするものだから(殺しと、遺体処理、ね)呆気にとられてしまう。
そしてこの映画では人が死ぬと、いちいち墓標のように画面に表示されるのである。
これは、コーエン兄弟を思わせるブラックなユーモア感が漂っているぞ。

 

そうやってネルズはギャングの下っ端から順に情報を引き出していき、少しずつ中枢部に近づいていく。
ギャング団の方も慌て始める。今度はあいつがやられたぞ。
次々にこんな殺しをしているのは誰だ?

 

やがてギャング団は、因縁の対立をしていたネイティブ・アメリカンの仕業だと思い込む。
おのれ、このまま黙っている訳にはいかないぞ。あいつらをやっつけろっ。
当然、これだけ事件が起きれば警察も黙っている訳にはいかない。両方の組織をつぶすいい機会だっ。

 

この映画にはブラック・ユーモア感があると書いた。
それは、ギャング団とネイティブ・アメリカンが勝手にお互いを敵だと思い込んで争い始めるのに、騒ぎの当の張本人であるネルズは我関せずにひとりで黙々と復讐を続けるところなどにもあらわれている。

 

終盤になるとかなりのアクション場面も現れる。
やはり「96時間」でなくてもリーアム・パパは強かった(笑)。
リメイクされるだけの内容を持った映画でした。面白かったですよ。

 

 

「ザ・ファブル」 (2019年)

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2019年 日本 123分
監督:江口カン
出演:岡田准一、 木村文乃

人気コミックの実写化。 ★★★

 

ファブル(岡田准一)は都市伝説とも言われるほどのすご腕殺し屋。
拳銃、ナイフ、体術、どれもすごくて、武器がなければその場にあるもので仕事を片付ける。

どんな相手でも6秒で殺してしまう。すごい。

 

原作は今も連載が続いている同名コミック。
写真を参考にして描いているのではないかという写実的な作風で、内容も文句なしに面白い。
主人公の殺し屋ファブルが超すご腕なのに、どこか世間知らずで純粋な一面を持っているところから来るコミカルな部分が楽しいのだ。
そんなファブルを岡田准一がどんな風に演じているか・・・。

 

ファブルはある日、彼の育ての親のボス(佐藤浩市)に一年間の休養を命じられる。
いいか、その間は絶対に人を殺してはいかんぞ。そんなことをしたら、俺がお前を殺すぞ。
お前は今日から佐藤アキラという一般人だ。
大阪の知り合いのヤクザに生活場所を頼んだから、相棒のヨウコ(木村文乃)と兄妹のふりをして暮らせ。

 

必死に一般人の振りをしようとするファブルが愉快。
ヤンキーに絡まれると、わざと殴られて痛い振りをする。よし、ここで額を殴らせて血を出そう、うん、完璧な演技だ。
そのくせちゃんと相手の拳が砕けるように仕向ける。やるなあ。

 

小さな広告会社でバイトを始めたり、そこの女子社員ミサキ(山本美月)や社長とも親しくなり、おお、これが普通の生活というものだぜ。
一方、一見純情そうに見えるヨーコは実は大酒豪。
言い寄ってくるチャライ男とウォッカの飲み比べをしては遊んでいる(汗)。

 

しかし、否応なしにトラブルに巻き込まれていくファブル。
世話になったミサキちゃんを助けてあげなくては・・・。
でも、人を殺してはいけないんだよなあ。そこが難しいなあ。

 

岡田准一のアクションは今回もキレッキレッで見事。
ヨウコもただの見張り役の女の子だと思って観ていたら、なんと、彼女もすごい体術の持ち主であることが判る。
ここは格好好い場面だった。

 

コミックものの実写版として充分に成功していると思う。
続編も期待してしまうぞ。

 

エンドクレジットの後には愉快なおまけ映像がついていた。
う~ん、ファブル、好いなあ、憎めないなあ。
マーベルと違って邦画ではエンドクレジットの後のおまけはないだろうと早々に席を立った人、残念でしたね。

 

「バッド¥ジーニアス」 (2017年)

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2017年 タイ 130分
監督:ナタウット・ブーンピリヤ

大胆カンニング作戦。 ★★☆

 

成績優秀だった私は(笑)、学生時代にカンニングしたことは一度もない。
しかし、世の中には実際にカンニングをする学生はいるのだろうなあ。
この映画も実際にあった大がかりなカンニング事件をネタにしているとのこと。

 

主な出演者は4人。
離婚した教師の父親に育てられたリン、そして女手ひとつで育ててもらったバンク。
この二人は家庭は貧しいのだが、頭脳明晰で特待生となるような天才。
かたや、美少女のグレースと、イケメンのパットは資産家の子弟なのだがまったくの凡才。
まともにやったら、とてもテストで合格点はとれない。

 

ということで、まずリンは友達のグレースを、つい消しゴムを使ったカンニングで助けてしまう。
それを知ったグレースの彼氏のパットは自分や仲間にもカンニングさせてくれと頼み込む。
1科目で1人が3000バーツ払うよ。このテストで及第しないと大変なことになってしまうんだ、頼むよ。

 

こうしてリンはクラス内でのカンニング請負業を始める。
どうもタイの試験はみんな4択の問題のようなのだ。
そこでリンが考えたカンニングの方法は・・・、なるほどなあ。

 

するとそこにリンのライバルであるバンクが絡んでくる。
話はさらに広がって、世界各国でいっせいにおこなわれる大学統一入試のカンニングとなっていく。

 

それはオーストラリアとタイの時差を使った大がかりな大作戦。
ここまでくると、たしかにこの映画の評に使われたように、”「オーシャンズ11」カンニング版”なのだ。
はたしてこの作戦は上手くいくのか?

 

はじめは垢抜けなかった主役の子は、次第に存在感が大きくなってくる。
元はファッション・モデルだったとのこと。道理で手足が長いはずだ。

 

この映画、アジア各国でかなりヒットしたとのこと。
たしかにスリリングな展開で、面白い作品だった。
カンニングもここまでやると、大金が動く立派な頭脳犯罪になる訳だ。