
1964年 93分 日本
監督:増村保造
出演:田宮二郎、 加東大介、 藤由紀子
ピカレスクもの。 ★★
1962年から大映で製作された「黒シリーズ」は11作あったが、これはその最終作。
「黒シリーズ」は企業間競争や、土地買収にからむ政界の陰謀などが題材となっており、当時の社会の光と影を描いていた。
本作も新幹線計画に絡む土地買い占めで大金を得ようとする悪事を描いている。
原作は梶山季之「夢の超特急」。
岡山で不動産業を営む桔梗(田宮二郎)を、東京の開発会社社長だという中江(加東大介)が訪ねてくる。
彼に頼まれて中江はそのあたりの土地を自動車工場用地として買収工作をする。
しかしその土地は新幹線の建設予定地だったのだ。
ということから始まる欲張りな悪人たちの争い劇。
実は中江は、金で雇った田丸(藤由紀子)という女を新幹線公団の理事の愛人にしたてあげていた。
そこからの情報で土地を買い占めていたのだ。
金がほしい桔梗は、うまい話にありつこうと執拗に中江の周辺を調べ、田丸の存在をかぎつける。
それにしても、付近の住人はいきなりやってきた桔梗に尋ねられるままに田丸の情報をもらす。
個人情報の保護など誰も考えていない。
それはそれはのどかな時代だったのだな。
なお、東京ー大阪間の東海道新幹線開業は1965年で、本作公開の年。
映画の題材となった大阪ー岡山の山陽新幹線開通は、その7年後の1972年だった。
原作にどんな風に描かれていたのかわ知らないのだが、ずいぶんと時代を先取りした設定のサスペンスだった。
主役の田宮二郎はこの「黒のシリーズ」にはかなり出ている。
彼にはダンディな悪の魅力が漂っているからだろう。あの「白い巨塔」の財前五郎役も見事なものだった。
田宮はこの映画のヒロイン田丸役の藤由紀子とはこの年に結婚している。
彼女は、田宮が若くして猟銃自殺をしたあとも、残された子を一人で育て上げたとのこと。
さて。
田丸に近づいた桔梗は、二人で共謀して中江から大金をせしめようとする。
公団理事との癒着の証拠を握ろうと、カメラを仕掛けてみたり、録音テープを仕掛けてみたり。
しかし中江の方も黙ってはいない。ついには実力行使に出たりする。
悪人同士が、この野郎と言わんばかりに相手をやっつけようとする。
この時代の空気感のようなものも、今の目で見ると懐かしい。
団子鼻の初代新幹線が(夢の超特急として)走る映像もあった。
肩肘張ってみる映画ではないが、今観てもそれなりに面白いものでした。





