1969年 フランス
監督:ジャック・ドレー
出演:アラン・ドロン、 ジャン・ポール・ベルモンド
(カメオ出演)ミレーユ・ダルク
深刻なところのないフランス・ギャングもの。 ★★★
1930年代のマルセイユが舞台。
偶然に出会って意気投合したチンピラのロッコ(アラン・ドロン)とフランソワ(ジャン・ポール・ベルモント)。
二人は友情と信頼を絆に暗黒街のボスへとのしあがっていく。
ごちゃごちゃとしたマルセイユの雰囲気、チンピラたちの薄っぺらい矜持。
よい意味で、現在のような病んだ社会を背景にしたどろどろとしたところがない。
それを底が浅くてつまらないと観るか、良き時代(今から40年前の映画である)の単純なギャング映画として楽しんで観るか、そのあたりで評価が異なってくると思える。
私は後者であった。
当時、ドロンと恋人関係にあったミレイユ・ダルクが娼婦に扮して、3回だけ画面に登場する。
乾いた石段を通りすぎる男にかけるセリフは、「あたしの部屋に来ない、海の見える部屋だよ」。
アラン・ドロンとベルモントの二人が並んで出てきただけで嬉しくなるのだが、この映画の真価は最後の10分間にある。
(以下、最後の場面のネタバレです)
すべての敵を倒してマルセイユの支配者に成り上がった二人。
しかし、いずれは二人で争うようになると言って、フランソワは身を引いて旅に出ようとする。
寂しそうな目つきで、出ていくフランソワを見送ったロッコ。
彼は一人でピアノを所在なげに弾く。
突然、表で響く銃声と、倒れるフランソワ。急いでかけよるロッコ。
このラストにフランス・ノワールの美意識の集約をみる。
このあと、残されたロッコの後日談を描いた「ボルサリーノ2」が作られたが、やはりベルモンド不在では映画にならなかった。