2009年 中国 144分
監督:ジョン・ウー
出演:トニー・レオン、 金城武
赤壁の戦い、本番。 ★★★☆
基本的には「レッド・クリフ Part1」と同じ感想。すなわち、「三国志」への強い思い入れを満足させてくれるほどの深さには乏しかった。
しかし、充分に堪能できる作品にはなっている。
Part 1に比べれば、当然のことながら、こちらが赤壁の戦いのクライマックス。
敵から10万本の矢をだまし取る計略も痛快であるし、爆発と炎の合戦場面の迫力は比べものにならないぐらいにすさまじい。
待ち望んでいた風向きの変化とともに狭い湾の中に集結した曹操軍の軍船に火を放つところから、陸上戦での決戦場面まで、映画はまったく気をゆるませずに突き進む。
すごい。
映画で活躍するのはトニー・レオンの周瑜、金城武の孔明、それに敵の曹操。
三国志演義では主人公であるはずの劉備玄徳は、この映画では影が薄い。途中で撤退すらしてしまう。
最後の方で、あれは策略だったのだと言っているが、なんか本当に戦から逃げていこうとする雰囲気だったがなあ。
劉備側の豪傑では、一般的な関羽や張飛よりも趙雲子龍が一番大きく描かれていた。
私も好きな人物なのでこれは多いに満足。
男たちはそれなりに格好良く描いて、合戦場面なども圧倒的に描いてみせるのだが、どうも女性の描き方には不満が残る。
小喬にしても尚香にしても、彼女らが登場してくるととたんに作品の流れが浅くなる。
どちらも作品の要を担っているのにあまりにも嘘っぽい。
とくに男装して敵陣に乗り込んで活躍する尚香の淡い恋物語はいただけない。
あのエピソードはない方がよかった。
(それに三国志演義では、尚香はのちに劉備玄徳夫人になるはずの人物だし・・・)。
ジョン・ウーは女性を描くことが下手なのだと思える。
面白く観おえたのだが、大の三国志ファンには不満の残る設定があちらこちらにある。
ライバルであるはずの周瑜と孔明は仲がよすぎる。
それに、「三国志演義」では主役である劉備があまりにも情けない。
いっそ、三国志ではない別物だと割り切ってしまえばよいのかも知れない。
最後につぶやかれる「勝者はいない」は、「七人の侍」の志村喬の台詞を彷彿とさせる。
あれは黒澤明へのオマージュだったのだろうか?
大画面で観たほうが楽しめる映画でした。