2005年 ベトナム
監督:グエン・ギエム・ダン・トゥアン
出演:ズーン・イエン・ゴック、 ホー・カイン・チン
ベトナムのロード・ムービー。 ★★☆
ハノイから旧サイゴンのホーチミンに向かう列車に乗り合わせた男女が、途中の駅で列車から取り残され、2人でヒッチハイクの旅をすることになる。
映画タイトルの1735kmというのはハノイからサイゴンまでの距離なのだが、日本に当てはめると青森から博多近くまでに相当するようだ。
これを新幹線ではない列車で移動するのだから、丸一昼夜かかるわけだ。遠い。
ベトナム映画を初めてみたが、コメディ・タッチのラブ・ストーリーにしようとしているようで、韓流ドラマの影響を受けているのでは、と思える雰囲気もかなりある。
ちょっと無理をしているなあ、と思える展開もいたるところにある。
彼が親切に買ってくれた夕食の弁当を、彼女は、こんなものは食べません、と拒否していながら、彼が寝入ったあとにむさぼり食べている場面、あまりにもわざとらしい。
ヒッチハイクで乗せてもらったトラックの運転手を、思わせぶりに怪しそうに描いておいて、実は気の善い人だったというオチや、彼女が刺されたと一瞬思わせておいて、実は赤いペンキがこぼれただけだったというオチなど、おいおいと、観ている方が恥ずかしくなってしまう。
ということで、全体にあか抜けていないのだが、最近の日本製のドラマのように妙に複雑にしないで直球勝負なので、たどたどしいのだが、観ていて清々しい感じがあるのは確か。
結婚を控えたヒロインを演じたズーン・イエン・ゴックは、モデルが本業の人とのこと。
建築学部を首席で卒業しながら放浪の旅をしていた彼のはにかんだような笑顔も、初々しい。
ベトナムの風景も美しく、若者たちが街で遊ぶ様子も描かれていて、親近感を抱かせてくれる。
(ネタバレ)
最後は、安易なハッピー・エンドになりかけたのを、ちょっとした仕掛けをして、3年後の再会という、まともなかたちのものにしている。
はじめからそうしていればよいのに、妙なところで凝ろうとしている。
やはり、どうもあか抜けていない。