あきりんの映画生活

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「花のあと」 (2010年)

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2010年 日本 107分
監督:中西健二
出演:北川景子、 甲本雅裕、 市川亀治郎

女剣士の純真時代劇。 ★★☆

 

父から剣術の教えを受けてきた以登(北川景子)は、女ながらにかなりの腕前となっていた。
彼女はある年の花見の帰りに、下級武士ながら剣の達人である江口孫四郎と出会う。
そして一度だけ彼と立ち会いをした彼女は、女と見くびらなかった彼にほのかな恋心を抱く。

 

原作は藤沢周平の短編。
小説の中の以登はそれほどの美貌ではないと書かれているようだ。
ということは、以登は映画とはかなり印象が異なっているのだな。
なにせこちらはとびきりの美貌といっていいほどの北川景子である。
10年前の北川景子がまだ少しふっくらとしていて、今よりも初々しい(当たり前か)。

 

さて、以登には結婚間近の婚約者・才助がいて、孫四郎にも逆玉の輿の縁談がきていた。
つまり以登のほのかな恋心は誰にも秘めたままで終わる宿命だったのだ。
このあたりはいかにも藤沢周平原作らしい。

 

しかし、孫四郎の結婚相手には藩の要職に就いている藤井勘解由(市川亀治郎)という不倫相手がいたのである。
この勘解由という奴がいかにも狡くて悪そう。
保身のためには他人を蹴落とすことを何とも思わないような奴。
ついに、勘解由の陰謀によって孫四郎は自害に追いやられてしまう。
才助の協力によってそのことを知った以登は復讐をしようとする。

 

才助はぬぼーっとして風采が上がらない男。
しかし以登の孫四郎に対するほのかな恋心を知りながらも、彼女のためにやることをちゃんとやってくれる。
なかなか好い味を出している好人物。

 

クライマックスは以登と勘解由の対決場面。
どこまでも悪賢い勘解由は3人の部下を秘かに連れてきていた。狡い奴だよなあ。
市川亀治郎がもうその雰囲気をよく出していて、こういう悪役がいると主人公が引き立つんだよねえ。

 

あわやというところで、父が与えてくれていた脇差しが役に立つ。めでたしめでたし。
(その脇差しは、結婚を目前にした以登に、父が武家の嫁たるものはこれで身を守れと渡してくれていたもの。
前半でこれが出てきたときに、ぜったいにこの脇差しは後で登場するなと思っていた 笑)

 

(さてツッコミ)
藤井勘解由の悪事が明かされたのは好かったのだけれど、その証拠となった書き付けには以登の署名があったはず。
そのあたりはどうなったんだろう?

 

(もうひとつ、ツッコミ)
北川景子は全編これ笑顔がなく、眉間に軽く皺を寄せている表情ばかりだった。
険しい表情の彼女は美しさも際立っていて、これはこれで好かったのだが、婿となるはずの才助はこの表情ばかり見せられて、結婚してからの将来が不安にはならなかったのだろうか?(笑)

 

そんな以登がその後どうなったのか気になるところ。
実は映画は、その50年後の以登が昔話を語っているという設定になっていた。
才助との間には7人もの子供ができたとのこと。
幸せは夫婦生活が送れたのだね、よかったよかった。