あきりんの映画生活

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「ブラッドダイヤモンド」 (2006年) 紛争ダイヤをめぐる人間ドラマ

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2006年 アメリカ 143分
監督:エドワード・ズウィック
出演:レオナルド・ディカプリオ、 シャイモン・フンスー、 ジェニファー・コネリー

紛争ダイヤをめぐる社会派ドラマ。 ★★★☆

 

タイトルの「ブラッドダイヤモンド」というのは、アフリカでの紛争の資金調達のため不法に取引されるダイヤモンドのこと。
そのために紛争ダイヤモンドとも言われている。

 

舞台はそのアフリカの1990年代のシエラレオネ
当時この国では反政府組織RUFによる略奪や襲撃が日常的におこなわれていた。
虐げられた国民を救うのだと言いながら無差別な殺戮を繰りかえし、捕らえた人々に強制労働を強いる。
怖ろしいのは無垢だった少年たちを洗脳して、殺戮をなんとも思わないような兵士に育ててしまうこと。これは怖ろしい。

 

さて映画は・・・。
漁師ソロモン(シャイモン・フンスー)は村を襲ったRUFに捕らえられ、ダイヤモンド採掘場で強制労働をさせられていた。離ればなれになってしまった家族は無事だろうか・・・。
ある日、彼は大粒のピンク・ダイヤを発見し、とっさに地中に埋めて隠す。
この何十億円もの価値のあるピンク・ダイヤをめぐって、いろいろな思惑が錯綜して事態が動いていく。

 

一方、元傭兵のダニー(レオナルド・ディカプリオ)は今は紛争ダイヤの密輸者だった。
万事に抜け目のない彼は、ソロモンが巨大ピンク・ダイヤを見つけどこかに隠していることをかぎつける。
そしてダニーは、家族捜しに協力する代わりにダイヤの隠し場所を教えろとソロモンに迫る。

 

もうひとりの主要登場人物は、アメリカ人ジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリー)。
彼女は武装組織の資金源となっている紛争ダイヤの取材に来ていたのだ。
彼女はダニーからの情報を得ようと近づいてくる。

 

こうして3人はそれぞれの思惑でピンク・ダイヤをめぐる争いに巻き込まれていく。
アフリカで生まれアフリカで育った白人のダニーは、幼い頃に父母が理不尽に惨殺され、自己中心的な人物となっている。
他人への優しさなど振り捨てて生きてきた人物。ふてぶてしく、傲慢。
そんな人物像をディカプリオはそつなくこなしている。上手い。

 

そんなディカプリオに負けない存在感を出していたのがソロモン役のシャイモン・フンスー。
モデル出身だという彼は立ち姿もすらりとしていて格好好い。
ただただ家族の無事だけを願っている善良な漁師。家族のためには危険を顧みない行動力をみせる。
動機が己の欲望だけのダニーと対比されることで、彼の存在が映画を引き立たせていた。

 

マディー役のジェニファー・コネリーは眉毛と目が印象的な女優さん。
どこかで観たと思っていたが、なんと、あのデビッド・ボウイも出ていた「ラビリンス/魔王の迷宮」の主役の少女だった。ああ、そうか。

 

密林をすすむアドベンチャー的な部分や、RUFとの激しい戦闘場面もある。
それに3人のそれぞれの目的と、それと絡みあうような相手への思いやりといった人間的な関わり合いが物語を支えていた。
2時間半近い長尺だが、だれることはなかった。

 

はたしてピンク・ダイヤは誰の手に渡るのか?
映画の後半になって、傲慢だったダニーが次第に他人を思いやるように変わっていく。
そしてダニーはソロモンを助けるのだ・・・。

 

社会問題を告発しながらもエンタメ的にも充分に楽しめるものだった。
スケールの大きい一大ドラマを観たような満足感が味わえる映画だった。

 

この映画の時代があってその後、ダイヤモンドが紛争地域の資金源にならないように、2002年になってダイヤモンドの輸出入が厳しく管理されることとなった。
しかし、きらびやかな装飾品であるダイヤのためにこんなにも人権が損なわれ、また人命が犠牲になっていたとは。
これからダイヤの指輪を買う人は、どうやってこのダイヤが店頭に並んだのかを考えるべき?