あきりんの映画生活

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「ミナリ」 (2020年) 移民一家のドラマ

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2020年 アメリカ 115分
監督:リー・アイザック・チョン
出演:スティーブン・ユァン、 ハン・イェリ、 ユン・ヨジョン

移住一家の物語。 ★★☆

 

農業での成功を目指し、アメリカ南部の田舎へ移住して来た韓国系移民ジェイコブ一家。
夫が移住先に決めた家は何と古びたトレーラーハウス。
こんな家に住むの? こんな荒れ果てた田舎でどうやって暮らすの? 妻のモニカは不満だらけ。
それでもジェイコブは、土地を耕して韓国野菜を栽培するんだ、きっと成功するぞっ、と張り切っている。

 

姉弟の二人の子供は屈託なく元気いっぱいに飛びまわる。
ちょっと奇妙な相棒を見つけたジェイコブは、農機具も買い込んで荒れ地を耕し、野菜を育てる。
頑張って収穫した野菜を買い取ってくれる店も見つけたぞ。
さあ、アメリカン・ドリームに向かってどこまでも頑張るぞ。

 

やがてモニカの母のスンジャを韓国から呼び寄せて一緒に暮らすようになる。
正直なところ、スンジャお婆ちゃんにはちょっと引いてしまった。
デリカシーのかけらもなく、口は悪い。料理も苦手だし、英語も話せない。
得意なのは花札だけで、片膝を立てて汚い言葉で罵りながら勝負に熱中する。
でも、これが韓国のお婆ちゃんの典型的な姿?

 

もちろんジェイコブの農作業には、思ってもいなかったような困難が降りかかってきたりする。
喧嘩をしながらも一家は頑張り続けるので、映画を見ている者も自然に応援する気持ちになってくる。
誰かが、この映画はハリウッド産・韓国版「北の国から」だ、と言っていたが、言い得て妙である。

 

映画タイトルの「ミナリ」とは韓国産セリのこと。
スンジャお婆ちゃんが韓国から持ってきて、森の中の川辺に植える。
ミナリはどこにでも根を張り、どんな環境でもたくましく育つとのこと。
異国に根を張り生きていこうとしているジェイコブ一家を上手くイメージしていた。

 

映画の公式サイトによると「ミナリは2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められている」とのことだった。なるほど、そこまでの意味があったのか。
監督のリー・アイザック・チョンと主演のスフィーヴン・ユァンは韓国にルーツを持つアメリカ人。
なるほど、彼ら自身が”ミナリ"だったのか。

 

サンダンス映画祭でグランプリと観客賞をダブル受賞しています。
スンジャお婆ちゃん役のユン・ヨジュンがアカデミー助演女優賞を獲っています。
たしかに、あのお婆ちゃんは印象が強かった(汗)。