1993年 アメリカ 97分
監督:ジョン・マクノートン
出演:ロバート・デ・ニーロ、 ビル・マーレイ、 ユマ・サーマン
ロマコメ? それとも男の友情? ★★☆
刑事のウェイン(ロバート・デ・ニーロ)がひょんな事から命を救ったマイロ(ビル・マーレー)は、実は街を牛耳っているギャングのボスだった。
マイロはウェインを自分の店に招待して、友達になろうという。
そしてその翌日、ウェインのアパートへ美しいグローリア(ユマ・サーマン)がやってくる。
ウェインは”マッド・ドッグ”という異名を持っているのだが、実は銃も満足に扱えないヘタレ刑事。
アパートの向かいの女性がDVにあっていても助けられず、グローリーのような美女と並んで座っていても手も出せない純情おじさん。
デ・ニーロがあたふたとした感じで演じていて、つい応援したくなる。
マイロ役のビル・マーレイはいつも澄ました顔をしている。
真面目な顔で自分のクラブで自ら漫談(?)を話すような人物。
それが得体の知れない怖ろしさを秘めているようにもみえる。でも実は、ギャングのボスのくせに寂しがり?
脇役がなかなかによい。
ウェインの同僚のマイクは短気でイケイケ派だが友情にはむちゃくちゃ熱い。
とてもいい奴で、ウェインの情けなさを浮き彫りにしてくれる(苦笑)。
一方、マイロの腹心の手下。ときどき脇役で見かける俳優さんだった。
体がごつく、いかにもギャングという感じで、こちらも好い味を出していた。
さて、表向きはクラブで火傷をしてしまったウェインを手当てするという目的で派遣されてきたグローリア。
実はマイロの情婦だった。
これ、友情の印に自分の情婦を寄越した? どうなっても知らんぞ。
案の定、ウェインはグローリアにすっかりのぼせてしまう。君を今の境遇から助け出したいっ!
グローリアも誠実なウェインに惹かれていく・・・。
しかし、ウェインもグローリアも本気になってしまうと、収まらないのはマイロ。
おいおい、人の女を本当に奪うつもりか。それなら誠意を見せろっ!
単純に考えれば、この映画のデ・ニーロとビル・マーレイは反対の役柄を想像してしまうところ。
デ・ニーロってマフィアのボス役がお似合いでしょ。
しかし、今作ではこの配役で成功していた。特にビル・マーレイのギャング役が雰囲気があって好かったのだ。
すったもんだの挙げ句、最後、一人の女性を賭けたウェイン、マイロの男同士の殴り合いが始まる。
周りを取り囲むのは、ウェインの同僚の警官たちとギャングの手下たち。
みんな手出しをせずに二人のタイマンを見守る。
これはもう、マドンナを賭けた殴り合い=おじさんたちの青春!ではないか。
この邦題は、デ・ニーロとメリル・ストリープの傑作「恋に落ちて」にあやかった?
ちょっと悪意を感じるなあ。配給会社よ、もう少し節度をわきまえてくれ。
ちなみに原題は「マッド・ドッグとグローリア」。
これもどうかね?というようなタイトルだよなあ。
うわべはいかにもロマコメ映画の様。
しかし、本当は刑事とマフィアの奇妙な友情の物語だったのではないかな。
喧嘩をしての帰り際にマイロは「友達になれたのになあ」と残念そうに呟く。
やっぱりあんた、寂しがり屋だったんだね。