あきりんの映画生活

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「ホリック」 (2022年) 極彩色ファンタジー

2022年 日本 110分
監督:蜷川実花
出演:神木隆之介、 柴咲コウ、 玉城ティナ、 松村北斗

極彩色ファンタジー。 ★★

 

原作は同名のコミックとのこと(未読)。
幻想ファンタジー的な物語だが、これを極彩色監督の蜷川実花が映画化した。
ビジュアルに凝った映画になっているのだろうなとの期待で鑑賞。

 

人の心の闇に寄り憑く“アヤカシ”が見えてしまう男子高校生の君尋(キミヒロ 神木隆之介)。
その(余分な)能力を嫌っている彼は、ある日、一匹の蝶に導かれて不思議な“ミセ”にたどり着く。
そこはどんな願いでもかなえてくれるミセだった。

 

ミセの内部はきらびやかで、現実離れした人々が蠢いている感じ。
そのミセの女主人の侑子に柴咲コウが扮する。
侑子は、どんな人のどんな願いでもかなえる代わりに、その対価としてその人の一番大切なものを差し出させる。
君尋は言われるままに侑子のもとでミセを手伝うことになり、様々な悩みを抱えた人たちと出会う。

 

この、願いをかなえるためには対価が要る、というのは物語の大きなポイントなのだが、残念なことに、それはあまり活かされていなかった。
君尋の悩み、そして彼の一番大切なものが、まったくかみ合っていなかった。

 

この映画の主人公は君尋なのだが、画面を占領していたのはやはり侑子の方。
侑子は登場するたびに、華やかで妖しげな異なる衣装で楽しませてくれる。なんでも16種類の衣装をまとったとのこと。
この感督のこだわりの美意識は凄いものだ。

 

ということで柴咲コウは好かったのだが、敵役の女郎蜘蛛役に扮した吉岡志保がミス・キャストだった。
可愛すぎて、まったくおどろおどろしくない。
ここはもっと不気味な雰囲気も抱えている美女(菜々緖あたり?)に演じて欲しかった。

 

蜷川実花らしい色彩美が素晴らしい映画だった。
それがこの映画のすべてといってもいいほど。
おどろおどろしく幻想的な物語も、その色彩美を出すために用意されたようなもの。

 

逆に言えば、それを除けばあとはどうということはない、ということにもなる。
とにかく蜷川実花の色彩美を楽しめればそれだけで好い、という人に。