2016年 イギリス 99分
監督:エラン・クリービー
出演:ニコラス・ホルト、 フェリシティ・ジョーンズ、 アンソニー・ホプキンス、 ベン・キングスレー
高級車でのカー・チェイス。 ★★☆
アメリカで自動車泥棒していた主人公ケイシー(ニコラス・ホルト)は、今はドイツでマフィアのもとで働いていた。
そしてジュリエット(フェリシティ・ジョーンズ)と知り合った彼は、足を洗って真面目に働こうとする。
しかし、ジュリエットは重病を患っていたのだ。その治療のためには大金が必要だったのだ。
ということで、ケイシーはこれが最後の仕事だと、ゲラン(ベン・キングスレー)の計画に参加する。
それは大量の麻薬が積まれたトラックを強奪するというもの。
しかしそのトラックは麻薬王のハーゲン(アンソニー・ホプキンス)のものだったのだ。
さあ、二人の悪の帝王の悪事の狭間でケイシーが絶体絶命になっていくぞ。
この映画、主役カップルのニコラス・ホルトとフェリシティ・ジョーンズも好いのだが、主役を完全に食ってしまっているのが悪役二人。
ベン・キングスレーはきんきら衣装でど派手サングラス。どうみても危ない雰囲気いっぱい。
気まぐれのように無茶を仕掛けてくるので、派手な怖さがいっぱい。
それに引き替えアンソニー・ホプキンスは静かな怖さ。
きちんとスーツを着て理詰めで話を持ちかけてくる。そこが恐い。
冷ややかな表情で冷酷な拷問を部下に命じたりする。やっぱりレクター博士だよ。
さて物語はめまぐるしく展開する。
麻薬トラックを奪ったと思ったらハーゲンに捕まったり、そこから逃げ出したと思ったらゲランがちょっかいを出してきたり。
二人の悪党にもみくちゃにされながら、ケイシーは500万ユーロが隠されていた高級車を盗み、逃げ回るぞ。
原題は”collide”で衝突するといった意味。
実際にアウトバーンを疾走するのはごく一部なのだが、邦題は映画の要はとらえているのではないだろうか。
ジャガー、アストンマーティン、メルセデスと次々に車を取り替えて、アウトバーンを時速240kmを超えるスピードで逃げ回る。車好きの人にはお勧め。
ガソリンスタンドなどでの情け容赦ない銃撃戦もあり、敵の隙を見てまた車で逃げ始めるケイシー。
ついにとある店でケイシーを挟んで二人の悪役が対峙する。
この場面でのキングスレーとホプキンスの、それぞれの貫禄あるたたずまいはさすがである。
100分と短めの尺で、全くだれることなく展開していた。
あらかじめケイシーが工作していた計画が功を奏してめでたしめでたしとなり、後味もすっきりしていた。
(でも、あの大金、ジュリエットの治療費に使っちゃっていいの?)
面白かった会話。
ハーゲンのある提案にケイシーが、その仕事はやばくないか?と尋ねる。
それに対するハーゲンの返事は、「危険な仕事が嫌ならイケアで働け!」
つい先日神戸・ポートアイランドの巨大イケアに行ってきたばかりだったので、これはツボだった。