2010年 128分 中国
監督:チェン・カイコー
出演:グォ・ヨウ、 ワン・シュエチー、 ファン・ビンビン
中国史劇。 ★★☆
本作の原案は、司馬遷が編纂した「史記」に書かれているものらしい。
京劇としても有名ということなので、中国では一般教養レベルのお話なのだろう(忠臣蔵レベル?)。
舞台は約2600年前の中国・春秋時代。
国の要職を占め栄華を誇る趙氏一族は、政敵である屠岸賈の謀略によって滅ぼされる。
跡取りの子を出産したばかりの荘姫(ファン・ビンビン)も生まれたばかりの男児を医師の程嬰に託して自害していく。
その程嬰の妻も出産したばかりだったのだ。
同じ時期に生まれたものだから、程嬰の実子は趙氏の跡取りと間違われてしまう。
そして程嬰の目の前で屠岸賈に殺されてしまう。・・・おのれ、我が子を殺されたこの恨みを晴らすぞ!
その一方で、孤児となった趙氏の跡取りが程嬰の子として育てられることになる。
程嬰は趙氏の孤児を程勃と名付ける。
従順なふりをして程嬰は屠岸賈の家臣となり、我が子を殺された復讐の時を待つ。
何も知らない屠岸賈は、程勃をかわいがるのだ。そして程勃も屠岸賈をもう一人の父親のように慕って育ったのだ。
どうなるのだ・・・。
屠岸賈よ、今に見ていろ、お前が可愛がってくれている程勃が大きくなったら、父の敵はお前だと教えてやるぞ。
それまで可愛がっていた程勃が、お前を親の敵として憎むのだぞ。ざまあみろ。
原題は「趙氏孤児」。京劇などで上演される時の題も同じようだ。
ポスターにはファン・ビンビンが大きく映っているが、早い時点で退場してしまう。
主人公の母親役なので、当然の退場ではある。
それなのに、ポスターでのこの扱いって、明らかに客寄せポスターじゃね?(苦笑)。
時は流れて、屠岸賈が実は親の仇だったことを知った程勃が復讐に立ち上がる。
でも、それまであんなに可愛がってくれたんだぜ、
やはりそこには人としての情の葛藤があると思うのだが、それがまったく描かれていなかった。
なに、奴が親の敵だったのか、恨みを晴らさなくては・・・。ちょっと単純すぎ(汗)。
この2000年以上も語り継がれてきた物語だが、なんとフランスのヴォルテールも翻案しているとのこと。へぇ~。
それだけにこの物語を映画化するにはなにか新味がないといけなかったのだろう。
しかし、名匠と言われたチェン・カイコー監督だが、本作ではそれほどの妙味を感じることはなかった。
たしかに手堅くまとめていて飽きさせることはないのだが、それ以上のものではなかった。残念。