2000年 126分 韓国
監督:ホン・サンス
出演:イ・ウンジュ、 チョン・ボソク
女と男の人間ドラマ。 ★★★
「カンウォンドのチカラ」で初めて観たホン・サンス監督の、第3作。
16章からなるモノクロ映画なのだが、同じ出来事を反対の立場から視たという2部構成になっている。
この監督はこういう物語構成が好きなのだな。
前半は男性のジェフン側からみた物語。
ホテルの部屋で恋人スジョン(イ・ウンジュ)を待っているジェフン(チョン・ボソク)。
しかし、スジョンは電話でホテルには行かないと伝えてくる。
どうして? 約束したのに・・・。初めての時を過ごすつもりだったのに・・・。
画廊経営者のジェフンは、テレビ番組のディレクターのヨンスと一緒に展覧会にやってきたスジョンと出会い、恋に落ちたのだった。
番組の構成作家のスジョンとジェフンはデートを重ねてきたのだった。
青年特有のセックスに対する性急さとともに、いささかぎごちなくスジョンに接するジェフン。
しかし、スジョンはなかなか最後の一線を越えようとはしてくれないのだ。
一緒にベッドに入っても、胸までは許したのだからもういいでしょ。あとは駄目よ、ここまでよ。
実はスジョンはヨンスと不倫関係だったらしいのだ。
後半は、同じ2人の状況を女性のスジョン側からみた物語。
ジェフンのホテルからの電話をスジョンが自宅で受けるところから始まるのだ。
そして、彼女からみたジェフンとの出会い、そしてこれまでの物語が描かれる。
ジェフンはあんな風に思って行動していたのだが、そのときにスジョンはこんな風に思っていたのだ・・・。
こうして同じ出来事がジェフンの視点とスジョンの視点と、二度語られることで、彼らのそれぞれの気持ちが浮かび上がってくる。
この映画は最初に日本公開されたときの邦題は、「秘花 スジョンの愛」だったとのこと。
なんか違うよなあ、その邦題は。
スジョン役のイ・ウンジュは、この映画の5年後に24歳で自死してしまったとのこと。・・・どうして?
(単純な)男心に比べて、どうも女心はよく判らない。
セックスについての思いも男と女では、おそらくまったく違うのだろう。
この映画を観た女性の方の感想を聞いてみたいところ。
あくまでも淡々とした描き方がホン・サンス監督作らしい(といっても2作しか観ていないのだが)。
大げさな出来事がおこらないモノクロ画面の会話劇、という雰囲気からなんとなくジム・ジャームッシュ監督の初期の作品を連想してしまった。
やはり、ちょっとくせになりそうな監督だな。