あきりんの映画生活

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「内海の輪」 (1971年) 私と一緒に死んでちょうだい

1971年 103分 日本 
監督:斎藤耕一
出演:岩下志麻、 中尾彬、 三國連太郎

サスペンスもの。 ★★☆

 

松本清張のシリーズ「黒の様式」の中の1編「霧笛の町」が原作。
一応はサスペンスものという分類だが、内容はどろどろとした男女の愛欲もの。
そしてそれに絡む断崖での(!)死亡事件。

 

ヒロインの西田美奈子(岩下志麻)は四国松山の老舗呉服屋の若い後妻。
夫(三國連太郎)はもう60歳近い老人。
それゆえに夫婦の閨房事は歪んだものだった(この場面は三国の演技もあって、岩下志麻がエロいことこの上ない 汗)。
で、美奈子は商用にかこつけての上京時に考古学学者の江村(中尾彬)との情事を続けていた。

 

岩下志麻はこの映画の時は30歳。
姐御の迫力充分だった「極道の妻たち」シリーズの15年前で、初々しさを脱して成熟女性の魅力に溢れる頃だった。
対する中尾彬も、このころは(少し濃い目の顔立ちではあるのだけれど)まだ美青年(笑)。

 

この映画鑑賞の誘因は瀬戸内海一帯のロケが豊富だということもあった。
美奈子が住む松山から始まり、互いの家族に嘘をついての密会旅行として尾道鞆の浦仙酔島、倉敷、蓬莱峡を旅する。
倉敷の場面では、ああ、あそこでロケをしたのか、と中橋や倉敷川の風景を見た。美観地区の風景は50年経っても変わっていなかった。

 

さて。
この映画は不倫旅行をしている男女の心の移り変わりが軸となっている。
年老いた夫には愛情が持てずに不倫相手を心底愛してしまっている女。
それに対して、出世のためには妻を捨てるわけにはいかずに打算が働く男(妻の父親が仕事上の権力者なのだ)。

 

二人は互いの身体を求めながらも、心が求めるものにはずれがあったのだ。
美奈子がだだをこねて旅行を1日余分にしてしまう二人。
しかし帰りの搭乗券を買いに行った伊丹空港では二人を知る人物に会ってしまったりもする。

 

私はもう松山には帰らない。私にはもう貴方しかいないわ。貴方はどうなの?
最後、嶮しい断崖絶壁となっている蓬莱峡に誘う男。
一緒に死んでちょうだい、いいえ、私を殺してちょうだい!と叫ぶ美奈子。
さあ、男はどうした?

 

男女の心理合戦は迫力があって面白かった。
ただ正直なところを言えば、時代の変化を考えたとしても、火曜日サスペンス劇場をはじめとするTVの2時間ドラマとそれほど違わない内容だった。
わざわざ映画にするほどの物語ではなかったなあ、と・・・。

 

(男性だけへの情報)
濡れ場は沢山あるのですが、もちろん岩下志麻の裸体がでるはずはありません。
しかし予告編では、本編では映らなかった岩下志麻のきれいな横乳を観ることが出来ます(汗)。