あきりんの映画生活

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「風と共に去りぬ」 (1939年) 身勝手女の半生記

1939年 アメリカ 231分 
監督:ビクター・フレミング
出演:ビビアン・リー、 クラーク・ゲーブル、 オリビアデ・ハビランド

テクニカルカラーの超大作。 ★★★☆

 

この映画のことを知らない人はいないだろう。
しかし、恥ずかしながらこれまで未見だった。
情報として漏れ聞くヒロインがあまりにも身勝手な女性のように思われて、あまり入り込めないのではないかなと勝手に思って、敬遠していたのだ。
そうは言っても、映画ファンの端くれとしては一度は観ておかなくては・・・。

 

生来の美貌と気丈な性格により我が儘いっぱいに育ってきたヒロインのスカーレット(ビビアン・リー)。
彼女の一途な恋心の物語なのだが、その背景には南北戦争があり、これにより大きく変化していく南部の白人貴族社会がある。
タイトルの「風と共に去りぬ」は、南北戦争という風によって南部白人たちの貴族文化社会が消え去っていく物語、ということのようだ。

 

それにしても冒頭からのスカーレットの鼻持ちならぬ傍若無人ぶりはどうだ。
自己肯定感が強いのはいいとしても、それが生き方の軸となってしまっている。
みんな私のために生きなさい!とでも言っているかのよう。
こんな女性が近くにいたらかなわんなあ。くわばらくわばら。

 

中盤からは南北戦争の影が大きくなる。
アトランタにも北軍が侵略(!)してきて、南部の優雅な(!)生活は一変する。
だが、歴史的には奴隷解放を目指した北軍に義があると考えられるのだろう。
この映画の大きな柱である南部の地主階級の優雅な生活は、すなわち奴隷制度による人権搾取の上に成り立っていたわけだから。

 

それにしてもいつまでも、アシュレー、アシュレーとわめくばかりで、スカーレットよ、お前はどこまで愚かなんだ。
そのアシュレーも煮え切らない。バトラーがアシュレーに向かって言う、お前は心では不義をしていながら実際には何もできない駄目な男だ。
スカーレットも何故こんな男にそこまで執着するんだ?

 

スカーレットの裏返しになるような存在なのがメラニー(オリビアデ・ハビランド)。
彼女の善意の塊のような生き方があるので、スカーレットの自己チューぶりがますます際だっていた。

 

渋いのは常に余裕を見せていたレット・バトラー(クラーク・ゲーブル)。
皮肉まじりにスカーレットを翻弄するのだが、次第に彼女に夢中になっていく。
しかし最後には彼女の前から姿を消していく。
彼も罪作りではあるのだが、純粋に人を愛したという点ではメラニーの次に来るのではないだろうか。

 

終始スカーレットに付きそう太った黒人のメイドがいる。彼女が大変に存在感のある役どころだった。
彼女は黒人初のアカデミー賞受賞者(助演女優賞)となっている。

 

私が長く映画の最後の場面だろうと思っていたのは、タラの真っ赤な夕焼け空に向かってスカーレットが、明日にはまた別の日がやってくる、と呟くものだった。
しかしこれはインターミッション前の場面だった。
本当の最後の場面はバトラーに去られたスカーレットが屋敷の階段に身を投げ出しながら、早くなんとかしなけりゃ、でも何も考えられない、明日考えましょう、と呟くものだった。
これ、絶対にインターミッション後の場面のほうが格好いいと思うのだが・・・。

 

ヒロインにはまったく共感できないのだが、映画そのものはさすがに大したものだった。
名作の名に恥じないどっしりとした作りだった。
やはり一度は観ておかなくては、ね。
アカデミー賞の9部門(10部門?)で受賞しています。