2004年 アメリカ 100分
監督:ウディ・アレン
出演:ラダ・ミッチェル、 クロエ・セビニー
二つの人生ドラマ。 ★★☆
ウディ・アレンの才人ぶりには、ほとほと感心する。
一人の女性メリンダ(ラダ・ミッチェル)が古い友人夫妻を訪ねるという同じ状況から、二つの展開の物語を見せる。ひとつは悲恋の物語で、、もう一方はハッピーエンドのラブ・コメディである。
二つの物語が交互に語られる。
この作り方は、「もし、あのとき・・・だったら」ということで、二つの場合の物語を同じ登場人物で展開していた「スライディング・ドア」と一緒である。
ただこちらでは、メリンダ以外の登場人物は異なるので、どちらの物語が語られているか混乱することはないようになっている。
二つの物語の絡まりぐあいも絶妙のバランスをみせている。
たとえば、パーティ会場のバー・カウンターに、アラジンのランプをかたどった置物が置いてあるのだが、二つの物語の登場人物がそれぞれ「願いが叶うと好いんだが」と言いながらランプをこすったりする。
また両方の物語でメリンダが心を惹かれる相手は、いずれも黒人のピアニストであったりする。
どちらのメリンダも、はじめに訊ねた友人の夫や妻と恋の鞘当てのようなことを起こす。
そして、悲劇に終わるメリンダと、幸せをつかむメリンダに人生が別れていく。
二人のメリンダを演じ分けたラダ・ミッチェルはたいしたもの(ポスターの上がポジティブな行き方のメリンダ、下がネガティブな行き方のメリンダ)
ウディ・アレンは才能があり余っているのか、巧みで余裕を感じる。
人生はなにが待っているかわからないぞ、ということを、コメディ・タッチで楽しませてくれる作品でした。