2009年 スゥエーデン 153分
監督:ニールス・アルデン・オプレヴ
出演:ノオミ・ラパス、 ミカエル・ニクヴィスト
暗く陰湿なミステリー。 ★★★☆
北欧の映画というイメージがあるからでもないだろうが、暗くじめじめとした感触の映画。
ヒロインはヘビ・メタか、パンクのロッカーとでもいうような装い(よくは知らないのだが・・・)。
ショート・ヘアに濃いアイメーク、鼻ピアスをつけ、背中にはタイトルにもあるドラゴンの刺青を背負っている。
こんなに暗くて可愛くないヒロインも珍しい。女っぽさなんてどこにもない。
雑誌『ミレニアム』の記者、ミカエル(ミカエル・ニクビスト)のもとに、大財閥グループの前会長から40年前に失踪した当時16歳の姪の調査依頼が来る。
1本の橋で本土とつながった島には、グループ一族が住んでおり、この島の中でミカエルは調査を始める。
調査に行き詰まったミカエルに、謎の天才ハッカー、リスベットがどこからともなく助言をしてくる。
そのヒロインのリスベット(ノオミ・ラパス)は驚異的な記憶力の持ち主。さらに天才ハッカー。
しかし、彼女の過去は暗い。
その断片の映像が、フラッシュバックとしてときおり挟み込まれる。
精神病院にも収容されていたようだし(現在も保護観察中の身分だ)、幼い頃から非道い虐待を受けてもいたようだ。
だから、人間嫌い。内向的、誰にも心を開かない。
ただ、なぜかミカエルにだけは心を許してくる。
二人が協力して姪の失踪事件を調べていくうちに、当時起こっていた猟奇連続殺人事件にいきあたる。
被害者たちは、首を切断されていたり、体肉の一部をえぐり取られていたりと、いずれもおぞましい殺され方をしていた。
ヒロインも暗いが、事件も暗い。暗くないのはどこかお人好しっぽいミカエルだけ(微笑)。
天才ハッカーのリスベットだが、決してきれい事のスーパー・ヒロインではない。
文字通り傷つき、ときにずたずたになっていく。そんなところが物語に陰影を作っている。
怨念が内へ内へと溜まって、彼女の人格を形作っている。
物語は陰湿なのだが、とても面白い。ぐんぐんとひきこまれる。
原作はものすごい話題作だったとのこと。3部作であり、順次映画化されてきている。
気持ちが良いとは言い難い展開があって、ああ、そんな悲劇があって、そのために・・・と事件は解決されていく。
それなのに、あっと驚く展開がもうひとつ待っていた。
ああ、そうだったのか・・・。
最後の最後、えっ!リスベットよ、そんなことまでしてしまったの?(笑)
こうなった以上は、リスベットのその後が気になって、続編を観ないわけにはいかんでしょう。
とにかくこの映画、これまでにないヒロインのリスベットにつきます。
強烈な印象。
虐げられた女性の怒りを代表した暗さです。