あきりんの映画生活

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「幸せのちから」 (2006年)

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2006年 アメリカ 117分
監督:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ウィル・スミス、 タンディ・ニュートン

ホームレスからの成功譚。 ★★☆

実話に基づいた感動的な話、と言うのがうたい文句。
ウィル・スミス演じる主人公のクリスは、どん底の生活から不屈の精神で這い上がり成功を手中にする。
たしかに”いい話”なのだが、期待したほどには惹き込まれなかった、なぜだろう?。

自腹をきって大量に購入した医療機器を売って歩くクリスには、5歳の息子クリストファー(ウィル・スミスの実の息子が演じている)がいる。
愛する我が子のために頑張るクリスなのだが、仕事は不調で、経済的な困窮から愛想を尽かした妻は家を出て行ってしまう。

惹き込まれなかった原因は、生活に困窮していたとはいえ、クリスが余りに自分勝手であったところ。
計画性がまったくないぞ。
根性論をふりまわしてばかりで、成功に向かう具体的な根拠がどこにもない。そんな根性論だけで家族を辛い目にあわせるいんかい。

この主人公、計算能力が高くて、努力もちゃんとするのに、何故、こんなに計画性がないのだろう?と訝しくなってしまう。
考え方にどこかおかしいところがあるのではと思ってしまう。

ペンキで汚れたTシャツ姿で面接に行ったときの、ウィットに富んだ会話といい、クリスはとても頭が切れる。
それに社交性にも富んでいる。
それなのに、奥さん(タンディ・ニュートン)には何故あんなにキレテしまうんだ? 17時間労働をしている奥さんが余りに可哀想。

一念発起したクリスは一流証券会社の研修生となる。
しかし、その間にも生活はますますひどくなり、毎晩の寝泊まり場所の確保にも苦労する状態となる。

クリスにタクシー代を踏み倒された運転手は、あの17ドルのためにとても辛い思いをしたのかもしれない。
クリスに家賃やモーテル代を踏み倒された人たちは、当てにしていた入金が滞ってとても困ったかもしれない。
そんな人たちを踏みつけて生活してきたわけで、挙げ句の果ては自分の息子に苦労を強いている。
お母さんの元へ普通はやるだろ、息子の幸せを思ったら。
なにせ、自分の勝手な希望のために息子にトイレ暮らしまでさせてしまったのだから。

結局、クリスは研修生20人の中からただ一人選ばれて正社員となる。
たまたまよい結果になったから好かったものの、駄目だったらどうするつもりだったのだろう。
実話であるだけに、それがかえって目に付く。

映画の出来の大きな不満のひとつは、クリスの努力があまり伝わってこなかったところ。
ホームレスになりながらも、息子と必死に生活して頑張ったのはよくわかる。
しかし、その頑張りがたまたま出会った人脈だけで評価される程度のものにしかあらわされていない。
どんな競争を勝ち抜いたのか、そこをもう少し見せて欲しかった。

ストーリーや人物造型にはいろいろと不満があるのだが、ウィル・スミス自身は熱演。
親子共演も自然な雰囲気で、それは好かった。
息子が失ったアメリカン・ジョーの人形は、また買ってあげたのだろうな。