1997年 アメリカ 155分
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:パム・グリア、 サミュエル・L・ジャクソン、 ロバート・フォスター、
ロバート・デ・ニーロ、 ブリジッド・フォンダ、 マイケル・キートン
おばちゃんが頑張るサスペンス。 ★★★☆
映画オタクのタランティーノ監督の第3作。
これまでの彼の作品を特徴付けていた時間軸の錯綜がほとんどなくて、非常に”まともな”作りになっている。
出演陣も何気に豪華。肝心のヒロインだけを知らなかった(苦笑)。
武器密売人の悪玉がサミュエル・L・ジャクソン。
その情婦がちょっとイカレたブリジッド・フォンダ(暗殺者アサシンが化けているわけではありません)。
刑務所帰りの冴えない中年オヤジにロバート・デ・ニーロ。
おどおどしていて何もできないくせにプライドが高そうで、実に味のある存在感を出している。
最後はやっちゃってくれるし、やられちゃってくれるし・・・(笑)。
ヒロインは、サミュエル・L・ジャクソンの隠し金の運び屋をしている二流航空会社のスチュワーデス、ジャッキー・ブラウン(パム・グリア)。
この映画の魅力は、なんと言ってもヒロインにこの40歳代半ばの黒人女性を起用したところ。
初めて見た女優さんだったが、背筋がぴんと伸びていて、若い頃はさぞかしセクシーだったろうなと思わせる雰囲気を持っている。
このおばさんが貫禄で、煙草をすぱすぱやりながら、自分を陥れようとした連中を逆に手玉に取っていく。
おばさんパワーで逆襲だぞ。
そのジャッキーを助けるのが保釈屋のロバート・フォスター。
この中年おじさんも最初はうだつが上がらないような感じなのに、後半では重要な役どころとなってくる。
温和しそうな顔をして、なかなかやるなあ。
ということで、魅力的な人物達が右往左往して、150分という長尺を退屈させない。
途中で、大好きなランディ・クロフォードの「ストリート・ライフ」が流れたりする。
音楽のセンスもとても好い。
エンディングも、タランティーノ作品らしからぬほのぼの系で、にっこりと観終えることができる。
そんなわけで、タランティーノ独特の”遊び”が少ないので、彼の熱烈ファンには物足りないかもしれないが、彼がちょっと苦手という人も充分に楽しめます。
正当派のクライム・サスペンスです。