あきりんの映画生活

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「ブラッド・ワーク」 (2002年)

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2002年 アメリカ 110分
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、 ジェフ・ダニエルズ

上質のサスペンス。 ★★★☆

かってはマカロニ・ウエスタンのガン・マンや、はみ出し刑事ダーティ・ハリーで活躍したイーストウッドだが、最近の監督作品はどれも素晴らしい。
いったいいつ頃からこんなに素晴らしくなったのだろう? この映画も彼自身の監督と主演である。

FBI心理分析官テリー(クリント・イーストウッド)は連続殺人犯を追跡中に心臓発作で倒れてしまう。心臓移植により何とか一命を取り留めたテリーは、クルーザーでの隠居生活を送っている。
そんな彼に、自分の姉を殺害した犯人を探してほしいと依頼してきた女性がいる。

まいった! ここまで奥行きのあるサスペンスに仕立て上げるとは、さすが。
もちろん、原作が面白くて脚本もよいのだろうが(「LAコンフィデンシャル」の人)、やはり監督が凡庸ではこうはいかない。

実は、移植された心臓が殺された女性のものであったことを知らされたテリーは、事件の調査を始める。
今は一介の民間人だが、さすがに元FBI心理分析官、警察が気にも留めていなかった事柄を拾い上げ、犯人の真の姿に一歩ずつ近づいていく。
やるねえ。

テリーは隣のヨットでぐうたらに暮らしている若者(ジェフ・ダニエルズ)に手伝いを頼む。
この青年が、親の金で昼間から飲んだくれているような奴なんだけれども、なかなかに味がある。
それにテリーに、なにやかやと親切(!)なんだよなあ。こいつ、案外好い奴?

殺された女性はコンビニ強盗の巻き添えに遭って殺されてしまっていた。
その2週間前のATM殺人もどうやら同じ犯人らしい。
その犯人はモニターカメラに向かってなにごとか呟いていることに、テリーは気づく。何を呟いているんだ?
偶然に殺されてしまった不幸な被害者と思われていたのだが、被害者に共通することとは何だ?

かっての連続殺人魔はただの愉快犯だったが、コンビニ/ATM強盗殺人者にはれっきとした動機があったところがすごい。
その動機が明らかになってきて、驚いたよ。犯人て、なんて奴だ!

心臓の提供を受けて生きのびることのできたテリーの複雑な心理にまで迫って、イーストウッド監督、やるなあ。
並のサスペンス映画ではない。
イーストウッド監督、あらためて見なおしてしまったぞ。