2010年 日本 107分
監督:中田秀夫
出演:藤原竜也、 綾瀬はるか、 北大路欣也、 石原さとみ
閉空間での殺人ゲーム。 ★★
「カイジ」や「ライアー・ゲーム」が意外に楽しめたので、これもその系統かなと思いながら鑑賞。
と、・・・なに、これ・・・?
もっと心理ゲーム、疑心暗鬼の犯人推理ゲームかと思いきや、単なる殺人ゲームじゃあないの(悲)。
法外な報酬につられて10人の男女が閉ざされた館での”心理実験”に参加する、というのが舞台設定。
7日間のその”実験”ではいくつかのルールがあるのだが、夜になると、誰かに誰かが殺されていく。
未読なのだが、原作の小説はとても面白かったらしい。
原作を読んだ人の映画の感想は、がっかりしたというのが大半のようだ。
たしかにこの映画は腑に落ちないことばかり。なんにも深みがない。
い出せばきりがないのだが、基本的な疑問点をいくつか。
殺人ゲームの映像を世界中に有料配信してお金儲けをするのが”機構”の狙い。
北大路欣也の息子のことからも、これまでにもこの”心理実験”はおこなわれていることが判る。
それなら世界中で視聴されているこの”心理実験”のことを、北大路以外の参加者が知らずに参加したこと自体がおかしいよなあ。
藤原君は「カイジ」と同じような演技なのだが、熱血漢の藤原君が、”生存者が2名になった時点で実験は終了します”と言う説明があったときに、どうして、”ということは、8人も人が死ぬと言うことかっ?”と絶叫しなかったのだろう(苦笑)。
他の参加者の平然とし過ぎ。自分が死ぬかもしれないと言われているのに・・・。
個室は完全に防音だということだったけれど、ノックの音は聞こえるようだし、廊下での物音も聞こえて皆が駆けつけたりしている。あれ?
それに、綾瀬はるかは、なんの目的で藤原君の凶器をすり替えたのか、さっぱり判らなかったぞ。
きりはないのだが、小道具の使い方にしても・・・。
テーブルの上の10人のインディアン人形は、ひとつずつ無くなるというのでなくてもいいから、なにか働きをして欲しかった。
せっかく 「誰もいなくなった」 のオマージュになっているのに。
各自の箱のなかに入っていたカード。
有名な推理小説のタイトルも書かれているのだが、これはなんにも結びついていかないところも肩すかしだった。
だいたいがあの小説の題名を知らない人にはなんのことやら判らずじまいだし、必ずしも殺人方法にも深みを与えていない。
(”まだらの紐”なんて、なんの関係もないように思えたぞ)
一番のがっかりポイントは・・・。
この物語の設定の面白いところは、参加者が犯人推理をおこなって、その真偽を多数決で決める、というところにあると思うのだ。
上手くやれば、あの「ライアーゲーム」の金のりんごの様な心理駆け引きも楽しめたはずなのだ。
その設定がまったく生かされていなかったなあ。
(それに、犯人にされてしまえば、身柄を拘束される代わりに自分は殺されることもなくなる。犯人と名指しされるデメリットがあまり無い、というのも奇妙な設定だった。)
残念な映画でした。