あきりんの映画生活

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「十二人の怒れる男」 (1957年)

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1957年 アメリカ 
監督:シドニー・ルメット
出演:ヘンリー・フォンダ

陪審員裁判ものの傑作。 ★★★★☆

さすがに名作だけのことはある。
終始、狭く蒸し暑いひと部屋の中での12人の男たちの議論だけ。もうそれだけ。
それなのに目が離せない。面白い。

12人の男とは、17歳の少年が起こした父親殺人に関する陪審員たちのこと。
裁判所の一室で初めて顔を合わせた彼らは、少年が有罪か無罪かを決める討論をおこなうのだが、全員の意見が一致する必要がある。
証言や証拠から12人全員が有罪と判断するだろうと思われたのだが、ひとりの陪審員ヘンリー・フォンダ)が無罪を主張した。

陪審員のなかには、こんな相談はさっさと終えて野球を観に行きたい人や、セールスのことばかりが気になっている人もいる。
いきり立つ彼らを説き伏せて、ヘンリー・フォンダはとにかくもっとよく話し合おうと提案する。
討論は、時には感情的に、時には論理的に展開される。

ある証人は、”殺してやる”という犯人の言葉を聞いたという。
また証人は、階段を駆け下りていく犯人を目撃したという。
向かいのビルに住む証人は、電車越しに殺人の瞬間を目撃したという。
ヘンリー・フォンダは、これらの証言に本当に意味があるのか否かをひとつひとつ検証していく。

そして決を取るたびに、少年の無罪に票を投じる人が、一人、また一人と増えていく。
最後まで有罪だと言い続けて陪審員も、ついに・・・。

12人の陪審員の人物像がきっちりと描き分けられている。
真面目そうで感情移入しやすい人物や、どう考えても嫌なやつだなという人物などがわかってきて、その巧みな組みあわせもドラマを飽きさせない要因となっている。

この名作に惚れ込んだ三谷幸喜が撮ったのが「十二人の優しい日本人」。
二番煎じとは言え、あれも充分に楽しめる作品だったなあ。