2008年 日本 102分
監督:内田けんじ
出演:大泉洋、 佐々木蔵之介、 堺雅人、 常盤貴子
サスペンス推理ドラマ。 ★★★☆
映画によっては、あっと驚く展開がある、とか、騙されますよ、とか言うこと自体がネタバラしになってしまうものがある。
典型的なところでは「***の***」とか (倫理上、はっきり書けないところが辛いぞ)。
この映画のキャッチ・コピーは、「甘く見ていると、ダマされちゃいますよ」というもの。
う~む、挑戦的だ。
で、結論を言うと、見事にダマされた。お見事。
借金の取り立てに追われてアブナイ仕事をしている探偵(佐々木蔵之介)に、いかにも胡散臭い人捜しの依頼が来る。
手がかりを求めて探偵は、その男、木村(堺雅人)の母校である中学校を訪ねる。
とそこには木村の親友で、母校の教師になった神野(大泉洋)がいた。
配役が実に好い。
このところお気に入りの堺雅人はやや出番が少なかったが、大泉洋と佐々木蔵之介の掛け合いは絶妙。
でも、その堺雅人演じる木村も、はたしてうわべ通りの奥さん思いの真面目な会社員なのか、それとも親友の神野も知らないような何か裏の顔を持っているのか、そのあたりをとぼけた表情で気を持たせて、実に上手い。
身重の奥さんが産気づいたというのに、何故か木村は連絡不通。
しかも木村が正体不明の美女と連れだってホテルへ入っていく写真まで隠し撮られている。
あれ、木村って、やっぱり裏の顔がある?
探偵と、何故かその手伝いをすることになった神野は、右往左往。
よく錬られた脚本だなあ。
冒頭に、中学校時代の回想シーンで、木村が女の子に告白レターを手渡される場面がある。
ああ、そうか、あの場面はそのままだったんだ、なるほどなあ(・・・と、この文章の意味は、見終わった人にしか分からないなあ・・・)。
木村が”謎の美女”と一緒にエレベーターに乗り込む場面ももう一度出てくる。
よく考えれば少しおかしいのだけれども、微笑ましいから許してしまおう。
ネタを知ってからもう一度観なおしてもいいかな、と思わせるほどに、良くできている。
こりゃ、内田けんじ監督のデビュー作「運命じゃない人」、それに新作の「鍵泥棒のメソッド」も観なくては。