あきりんの映画生活

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「藁の楯」 (2013年)

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2013年 日本 125分
監督:三池崇史
出演:大沢としお、 松嶋菜々子、 藤原竜也、 山崎努

サスペンスもの。 ★★☆

大財閥・蜷川(山崎努)の孫娘が清丸(藤原竜也)という性犯罪常習者によって陵辱されて殺された。
蜷川は“清丸を殺してくれれば10億円を支払う”と全国に宣言する。
逃亡を助けてくれていた友人からも賞金ほしさに命を狙われた清丸は、自分の命を守ってくれと、自ら福岡の警察に出頭してくる。

この清丸を無事に警視庁に移送するために、SPの銘苅(大沢たかお)や白岩(松嶋菜々子)をはじめとする5人のチームが結成される。
全国中から賞金目当ての連中が集まってくる。
さて、どうやって東京まで護送する?

この犯人の清丸が、実にいやな人物遺像。
自分勝手で、罪の意識は全くなし。それでいて自分の権利ばかりはしっかりと要求する。
本当にクズのような人物。
死んだ方がよっぽど社会のためになると思えるような人物。
こんな奴の命を守る意味はあるのか?と、観ているものは誰だって思う。

それでもSPの任務であるからには命を守らなければならない。
でも大変。
大人数の機動隊で取り囲んで護送しようとしたら、その機動隊員が賞金ほしさに襲ってくる。
新幹線でこっそりと護送しようとしたら、その情報は何故か筒抜けで、ヤクザが賞金ほしさにおそってくる。

護衛チームのメンバーは、クズのような清丸の命を守るために、ひとり、また一人と死んでいく。
あんな奴のために死んでいくのかよ!

現実的には首をひねってしまう場面は少なくない。
白岩が油断をしたすきに清丸が背後から襲いかかり、拳銃を奪い・・・という展開がある。
しかし現実的には、熟練のSPが行動が自由な護送犯人から目を離して背を向けるはずはないだろう。
明らかに無理な設定。

それに最後近く、大勢の警察官や報道陣が取り囲んだ真ん中に銘苅と清丸があらわれ、そこに蜷川がやって来て・・・と言う場面もある。
あんな衆人環視の中であんなことをしていることが許されるはずもない。
刀を取り出した時点で数十人の警官が折り重なって突進してくるはず。
明らかに無理な設定。

だから、この映画は現実的ではない展開を承知の上で、問題提起をしたかったのだろうと思う。
清丸が死刑判決を受けるのはおそらく誰にでも判る。
それでもその清丸の命を守る必要があると思いますか?という問題提起。
それは、人の命の価値は何で決まりますか?という問題提起でもあるだろう。

しかし映画としてそれが上手く表現できていたかというと、残念ながらちょっと雑すぎた。
もう少し練れば、設定自体は面白いので、もっと好く作れたのではないだろうか。
原作本はどうだったのかなあ?