あきりんの映画生活

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「遙かなる勝利へ」 (2011年)

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2011年 ロシア 150分
監督:ニキータ・ハミルコフ
出演:ニキータ・ハミルコフ、 ナージャ・ハミルコフ

感動大作。 ★★★★★

ニキータ・ミハルコフ監督の「太陽に灼かれて」「戦火のナージャ」に続く3部作の完結編。
なんと壮大なドラマであったことか。なんと心に残る重いドラマであったことか。
運命に翻弄された夫と妻の愛の在り方が哀しく、それ以上に父と娘の愛の在り方が切ない。

太陽に灼かれて」では、ロシア革命の英雄であったコトフ大佐の運命が大きく変わった様が描かれていた。
そのコトフは、今は懲罰部隊の一兵卒としてドイツ軍との最前線にいたのだが、あの秘密警察員だったドミートリが再び彼の前に現れる。
そして死んだと思っていた元妻マルーシャが生きていることを告げられる。
そしてスターリンの命令により名誉が回復されるものの、さらに辛い命令が下される。
一方で、父コトフとの再会を願い続けるナージャ従軍看護婦として戦場にいた。

時代は独ソ戦争の真っ最中。
きれいごとではない戦争場面はあくまでもリアルに描かれている。
戦場にかり出された兵士たちの恐怖も、使い捨てにされる人の命の理不尽さも迫力で描かれている。

物語の人物関係を理解するためには、やはり第1作から順に観る方がよいと思える。
コトフと妻マルーシャ、そして妻の元恋人のドミートリの関係などが、この最終作に押し寄せてきている。
それに、なんと言ってもあの無邪気で可愛かった娘ナージャのその後の運命に、心は激しく打たれる。

コトフが第1作の舞台となった田舎の別荘を訪れる場面がある。
そこでの、革命や戦争などによる皮肉な運命に翻弄された人たちが切ない。

主役のコトフはハミルコフ監督自身が演じている。重厚な演技である。
前にも書いたが、オマー・シャリフを思わせる鋭い眼光なのだが、笑顔には深いものがある。
そして娘ナージャ役は、これも第1作から続いて実娘、ナージャ・ハミルコフが演じている。

いつまでも重く心に残るような作品。
それにしても、ナージャよ、ナージャよ、父との再会は・・・!