あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「珈琲時光」 (2003年)

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2003年 日本 108分
監督:候考賢(ホウ・シャオシェン
出演:一青窈、 浅野忠信、 小林稔侍、 余貴美子

東京の片隅の静かなドラマ。 ★★☆

小津安二郎の生誕100年を記念して製作されたとのこと。
監督はその小津を敬愛していたという台湾の候考賢。主演に台湾人の父をもつ歌手の一青窈

フリーライターの陽子(一青窈)と、友人の古書店主(浅野信忠)、陽子の両親(小林稔侍、余貴美子)たちが、東京の片隅(とその周囲)で淡々と暮らしている様を、淡々と描いている。
小津安二郎作品にそれほど詳しくないので、どのあたりがオマージュになっているのかは充分にはわからなかった。

一部屋だけの陽子のアパート、狭い古書店、時間が止まっているかのような昔ながらの喫茶店、郊外都市(高崎らしい)にある陽子の実家。
それらを彷徨いながら、台湾にいる恋人の子を妊娠している陽子(子を産んでも、その彼と結婚するつもりはない)が生きている。

特別なことは何も起こらない。
ただ昨日から明日へ続く人生のなかのひとときをていねいに切りとった、という感じである。
会話にも特別な内容は何もない。
普通の日常を送りながら他人と交わす会話はこんなものだろうな、と思わせる。
一青窈の素人っぽい話し方が、いかにも普通の日常での会話を思わせる。

個人的に好きな、都電荒川線が走っている一帯の風景が舞台として映るのは嬉しかった。
それに、神田川に沿って走る中央線やら地下鉄やらが交差する風景が、なにやら人生を暗示しているようにも思えて・・・。

こういう映画だと納得してしまってみると、この何も起こらない穏やかさ、緩さのようなものが、次第に心地よくなってくる。
しかし、納得できなければ、ただ退屈なだけの映画?