1977年 イタリア 106分
監督:エットレ・スコーラ
出演:ソフィア・ローレン、 マルチェロ・マストロヤンニ
出逢い、惹かれ合い、そして。 ★★☆
ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの二人とくれば、名作「ひまわり」をはじめとして、いくつもの作品での名コンビ。
この映画は、登場人物はほとんど二人だけ、舞台もふたつの部屋の中だけ。
要するに二人の演技で魅せてくれる。
冒頭にヒットラーが民衆を鼓舞したりしている実際の記録映像が流れる。
この映画は、そのヒットラーがムッソリーニ支配下のローマを訪れた1日の、ひっそりとした片隅での物語。
ヒットラーがローマを訪れてとムッソリーニと会見をするというので街中は大騒ぎ。
ローレンのアパートの人たちも皆ファシスト集会に出向いていく。
ローレンの夫も6人の子供達も張り切って出かけていく。
家事と育児に追われているローレンは、誰もいなくなったアパートの部屋に一人残される。
中庭を挟んだ向かいの部屋にいたのがマストロヤンニ。
実は政治的な理由でその部屋に隠れ住んでいたようなのだ。
ひょんなことで、アパートに残っていた二人が出会う。
無理解な自己中心的な夫ととの生活にも飽き、ただただ育児に明け暮れる生活に疲れている主婦を、ローレンが実に好い雰囲気で演じている。
(このあたりは「マディソン郡の橋」のメリル・ストリープが家族を愛しながらも一時の恋に落ちたのとは異にしている。)
ただのお調子者のような雰囲気で、どこまでが本気か判らないようなマストロヤンニも、次にどうするのだろ?と思わせて、上手い。
ローレンの気を惹くようなことばかりしていたマストロヤンニだったが、実は彼は・・・。
描かれるのは朝から夜までの一日だけ。
まったく無縁だった二人の人生が一にだけ交差して、また離れていったわけだ。
しかし、二人のそれぞれに”特別な一日”だったわけだ。
背景にはファシスト政権下のローマがありますが、反戦映画といったものではありません。
純粋な大人の女性の恋愛映画でした。