あきりんの映画生活

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「ゆりかごを揺らす手」 (1991年)

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1991年 アメリカ 110分
監督:カーティス・ハンソン
出演:アナベラ・シオラ、 レベッカ・デモーネイ、 ジュリアン・ムーア

復讐サスペンス。 ★★★☆

産婦人科の医師が診察にかこつけて猥褻行為を働く、なんてことが実際にあるのだろうか?
プロであれば、仕事の場ではそんな性的感覚は麻痺しているのでは、と思うのだが。

まあ、それはさておき。
これは実に良くできたサスペンス。観始めたら一気見間違いなしという傑作。

産婦人科医師の夫が診察中に猥褻行為をしたと訴えられて、ついにピストル自殺をしてしまった。
残された身重の妻(レベッカ・デモーネイ)は流産してしまい、多量出血から子宮も摘出され、豪華だった邸宅も賠償請求で手放すことに。
こんな事になったのも、夫を訴えたクレア(アナベラ・シオラ)一家のせいよ。
絶対に許さない。復讐してやる!

妻はペイトンと名を変え、クレア家に子守として入り込む。
物語はペイトンの目線で進んでいく。
だから、観ている者はペイトンの復讐計画に沿って物語を追っていく。すると、つい、復讐が上手くいくように期待してしまうようになる。

そうなのだ、この映画のすぐれているところは、その復讐計画が非常に理知的で、短絡的な暴力行為がないところ。
たとえば、子守を任された赤ん坊に危害を加えるとか、小さな女の子を苛めるとか、そんなことは一切しない。
ペイトンは深く静かに一家の中にくい込んでいく。

タイトルは、”ゆりかごを揺らす手が世界を支配する”という格言(?)から来ているらしい。
子守として子どもの世話をまかせられたペイトンは、クレア一家の団らんの中に、あの手、この手で楔を打ち込んでいくのだ。
それが、なるほど、というような悪知恵(!)の積み重ね。
すごく悪賢い(しかし、繰り返しになるが、このあたりでは結構ペイトンを応援しながら観てしまっている 汗)。

仕事を依頼されてクレア家に出入りしている知恵遅れの黒人がいる。
柵を作ったり、家のペンキを塗り替えたりしているのだが、彼がかなり重要な役どころだったりする。
それにクレアの女友達でジュリアン・ムーアが出ている。
ちょっとケバイ感じなのだが、早くからペイトンにうさんくささを感じてクレアに忠告をしたりするいる切れ者
彼女も重要な役どころをしてペイトンと対決する・・・。

(以下、ネタバレ気味)

良くできたサスペンス。
それだけに、最後近くになってペイトンが真の狂気にとりつかれて暴走しはじめ、サイコ・ホラー的になってしまったのはちょっと残念だった。

最後をあんなに派手な展開にさえしなければ、満点(★4つ)評価だったのに。
でも、見応えのある映画でした。