あきりんの映画生活

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「川の底からこんにちは」 (2009年)

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2009年 日本 112分
監督:石井裕也
出演:満島ひかり

ダメ女の居直り奮闘。 ★★★

満島ひかりで見せてくれる。もうそれが素晴らしい映画。

駆け落ちをして出てきた東京で5年目の生活をしている佐和子(満島ひかり)。
男にはあっさりとふられ続け、5つめの職場もな~んも張り合いなし。
5人目のいまの彼氏はバツイチ、連れ子のいる職場の上司。この男も現実逃避の塊のようなダメ男。

彼女は、何かあっても「しょうがないでしょ」と始めからあきらめてしまう。努力する気はまったくなし。
人から責められても、まったく反省の色を感じない「あっ、すいません」を連発。まったく心はこもっていない。
「どうせ私は中の下だから」と、自分の人生にもな~んも期待していないヒロインは、観ているとイライラしてくるようなダメぶり。

感情移入できないヒロインなのだが、満島ひかりなのでつい観てしまう。
髪をぐしゃぐしゃとかき上げ、自分に苛立ちながらも自分にあきらめてしまっている、そんなヒロインの造形が巧みである。

そんな彼女だったが、長く不仲だった父が倒れ、一人娘である佐和子は実家のしじみ工場を継がなければならず、田舎に帰郷する。
すると、ダメ彼氏も会社を辞めて勝手に付いてきてしまう。
おいおい、佐和子もかなりだけれど、あんたもそれ以上にかなりのもんだな。

もちろん田舎に帰れば駆け落ちをして家をすてていった佐和子への周りの風当たりは強い。
工場のひと癖もふた癖もあるおばちゃん従業員たちは、佐和子を小馬鹿にしっぱなし。
おまけにしじみ工場は倒産寸前。
さあ、佐和子、どうする?

和佐子は、病に倒れた父が実は自分をとても大切に思ってくれていたことを知る。
このあたりから父娘の関係がお互いに思いやりのあるものとなって、ほんわかとしてくる。
そして、工場を建て直すために佐和子がとった営業戦略とは・・・。
このあたりから彼女が逆ギレしたようにダメだった自分を鼓舞しはじめる。
中の下なんだからがんばるしかないでしょっ!
工場のおばちゃんたちとも気持ちがつながっていく。

(ネタバレ?)

この映画を観たのは満島ひかり主演と言うこともあったのだが、それに加えて「川の底からこんにちは」という奇妙なタイトルにも惹かれたから。
このタイトルは、実は、しじみ工場の起死回生をかけて佐和子が作詩したコマーシャル・ソングの歌詞だったのだ。
この歌がとても馬鹿馬鹿しい文句。とても面白い。

ヒロインの、根性があるのだかないのだかよく判らないような感じを、さすがに満島ひかりが好く演じていた。
それにしても、あの彼氏はきっとこれからもダメ男のままだと思うよ。
佐和子、どうする?